
花組の全ツは4年ぶり。
明日海りおさんは月組時代の2007年以来、なんと9年ぶりなのですって。
宝塚歌劇花組 全国ツアー公演
ミュージカル 「仮面のロマネスク」
~ラクロ作「危険な関係」より~
脚本: 柴田侑宏
演出: 中村暁
グランド・レビュー「Melodia -熱く美しき旋律-」
作・演出: 中村一徳
出演: 明日海りお 花乃まりあ 芹香十亜 鳳月杏
花野じゅりあ 仙名彩世 音くり寿 ほか
2016年9月3日(土) 12:00pm 梅田芸術劇場メインホール 1階26列センター
「仮面のロマネスク」
舞台はナポレオン失脚後、王政復古した1830年のパリ。
社交界で虚飾に満ちた恋の駆け引きを楽しんでいる貴族たちの中でも注目を集めている美貌の貴公子ヴァルモン子爵(明日海りお)。
女性との醜聞が絶えないヴァルモンでしたが、かつて恋人であった若き未亡人・メルトゥイユ侯爵夫人(花乃まりあ)だけは特別な存在でした。メルトゥイユは以前の恋人であるジェルクール伯爵(鳳月杏)が若い令嬢セシル(音くり寿)と婚約したことを知り、ヴァルモンにセシルを誘惑するよう依頼します。また、ヴァルモンが貞淑なトゥールベル高等法院長夫人(仙名彩世)に興味を持ち始めいることを見抜き、トゥールベル夫人とセシルの両方を誘惑するよう持ちかけ、成功したら自分を褒美にすると提案します・・・。
これ、すみれコード大丈夫なのかしら、という物語ですが、2012年に観た宙組(大空祐飛・野々すみ花)版は、祐飛さんのクールでアンニュイな雰囲気がデカダンスなムードとも合って、官能的な大人の恋の物語となっていました。
あの退廃的な大人のオトコをみりおちゃんが?!
と、演目が発表された時には驚いたものですが、いささか若さは残るものの、女を落とすことには絶対の自信を持っているプレイボーイのヴァルモンを嫌味なく演じていました。
あんなに綺麗で軍服も似合っていい声で口もうまくて・・・そりゃモテるよね~。
トゥールベル夫人を落としにかかるところなんて、観ているこちらまでドキドキして、夫人の方が何だか可哀想になっちゃいました。
大人のオトコの色気もなかなかですが、前回 祐飛さんの時にも思ったのですが、ヴァルモンはこの髪型(ポスター画像の)しないといけないのかな?もう少しスッキリしていただきたいものです。
メルトゥイユ夫人は、宝塚のヒロインとしては異質で、相手役とも対等に渡り合わなければならず、下級生の娘役さんにはハードルの高い役ですが、花乃まりあさん、よかったです。
元々美しい人ですが、可憐な尽くすタイプより、心に裏を持つこんな強いがお似合いです。
歌もお上手。
ただ、メルトゥイユは、気位の高さや傲慢さだけでなく、華やかな笑顔の下に隠した哀しさ、苦しさも感じさせなければならない役。そのあたりはもうひと息だったかな。
鳳月杏さんのジェルクール伯爵が髭も似合って色気ムンムンの大人のオトコでとても素敵でした。
「今まで散々遊んできたから妻は何も知らない若い娘をもらって自分の好みに育てる」って光源氏が言いそうな台詞もいかにも似合っています。
鳳月さんのヴァルモンもいつか観てみたいな。
宙組ではジェルクールって誰だったんだろう、と幕間に検索していて、「ダンスニー: 北翔海莉」にひっくり返りそうなくらい驚く。
あの恋を知らない22歳の初々しい青年をみっちゃんが!?(観たはずなのに)。
(ちなみにジェルクールは悠未ひろさんでした。納得)
メルトゥイユ夫人より実はこっちの方がいい役なんじゃないかとかねがね思っているトゥールベル夫人の仙名彩世さんもとてもよかったです。
貞淑な妻だけど色っぽくて、どこか「触れなば落ちん」雰囲気もあって。
いけないいけないと知ではわかっていても情が傾いてしまう悩ましい感じ、切ない視線、苦しそうな声・・・。
ラストのヴァルモンとメルトゥイユのダンスシーンは本当に名場面だと思います。
鳴り響く砲声と燃えさかる火の手の中、微笑み合って踊る2人。
多分もう二度と会うことができない別れを前に、お互いにそれまでかぶっていた仮面をようやく外し、「楽しかったわ」「あなたが本当に好きだった」と真実の思いを告げながら。
大きな時代のうねりの中で、甘く切なく、破滅へと向かうラストシーン。
「Melodia -熱く美しき旋律-」
このショーは昨年10月に「新源氏物語」との併演で観てたのにほぼ忘れていましたね^^;
「メロディア どこどん・・」という太鼓があるはず、と観ていたら最後までなくて、「あれ?演出変わったのかな」と思っていたら、それはもう一つ前の公演 ♪ファンタージア どこどん だったというね(正式な作品名は「宝塚幻想曲(タカラヅカ ファンタジア)」)
一つだけ印象的だったシーンは中詰の「スペイン 熱き旋律」の場面。
ここでも鳳月杏さんのシブい歌声とダンスのカッコよさハンパないなと思いながら観ていたら、女装したべっぴんの男役さん(後でパンフ見たら聖乃あすかさんでした)が出てきたところで、「あ、この女装役(←ヘンな表現)、ちなっちゃんやったやん!」と蘇る記憶。
そう、本公演では男役が柚香光さんでそれに絡む美女が美脚を惜しげもなく披露した鳳月さんだったのでした。
鳳月さん、この場面に限らず、ほとんど三番手ポジで大活躍。フィナーレでも小さな羽根背負っていらっしゃいました。
中盤に、明日海さん、芹香さんと鳳月さん3人の歌いながらの客席降りでは、鳳月さんにばかりロックオンしてガン見してしまいましたワ。
そうそう、最後の方で男役1、娘役2で歌い踊る場面、娘役さんのお一人が顔にいっぱい汗かいてて、他の2人は涼しい顔して踊ってるのに、「出る前に汗ふくヒマもなかったのか?」と気の毒になりました。
(後で調べたら春妃うららさんだったらしい。ガンバレ)
独特な振付のロケット。
まだあんまり揃ってなかったけど、みんなキラキラの黒燕尾。
明日海さん、花乃さんの美しいデュエットダンス。
コンパクト版ながら見どころたっぷりの楽しいショーでした。
ただ、一つ気になったのは、最近全ツ観た組はどこも「○○と2チームに分かれているとは思えないくらい人材豊富」という印象を持ったのですが、今回の花組については、「あれ?これだけしかいなかったっけ。何だか寂しい」と感じました。
うーん、アインシュタインに人材投入しすぎ?
その「アイラブアインシュタイン」はチケット取れなかったから観られません の地獄度


