2016年08月04日

来年もまたきっと! 第二回あべの歌舞伎 「晴の会」


soranokai2016.jpg片岡松十郎、片岡千壽、片岡千次郎・・・上方歌舞伎塾を平成11年に修了した第一期生三人が、昨年立ち上げた「晴の会」。

昨年の第一回では、ひたむきに頑張る3人を周りで支える人たちはもちろん、客席もみんなで盛り立ようという温かさが感じられ、公演のおもしろさ以上に観終わってとても幸せな気分になれました。
今年、こうして第二回が開催され、またあの熱い舞台を観ることができて、またまた幸せ♪

第二回 あべの歌舞伎 「晴の会」
新作歌舞伎 「伊勢参宮神乃賑」 旅立ち~七度狐まで

(上方落語 「東の旅」より)
作: 城井十風
演出・振付: 山村友五郎
監修: 片岡秀太郎
出演: 片岡松十郎  片岡千壽  片岡千次郎  片岡りき彌  片岡佑次郎  

2016年7月30日(土) 11:00am 近鉄アート館 J列(5列目) 下手


昨年 第一回の感想はこちら


昨年は舞踊と新作歌舞伎の二本立てでしたが、今年は新作歌舞伎一本。
昨年同様、上方落語の「東の旅」をベースにして、城井十風こと落語家の桂吉坊さんが書かれた脚本を、山村友五郎さんが演出、振付されています。
松十郎さん、千次郎さん、千壽さんに加えて、昨年は後見を勤められたりき彌さん、佑次郎さんも大活躍で、楽しい舞台でした。

お話は、清八(松十郎)・喜六(千次郎)の二人がお伊勢参りの旅の途中、ひょんなことから七度狐と異名をとる悪い狐(千壽)を怒らせてしまい・・・
というもの。
弥次喜多道中+狐の化かし譚といった趣きです。


役者さんが自ら運ぶシンプルな舞台装置。
出演者もスタッフも限られた人数の中、演出には工夫がこらされています。
玉造・高井田・生駒・・・と馴染みのある地名が並んで、大坂を出発した旅が伊勢に向かって東へ東へと進んでいるのが感じられて楽しい。
アート館特有の三面客席を縦横に使うのも昨年同様で、客席通路が街道となって出入りしたり、階段上の通路を上って生駒山の山越えに見立てたり。

元になった落語を知らないのですが、終始笑いが絶えない中、散りばめられた歌舞伎風味。
笑いながら一番感心したのは、清八が煮売屋の婆の店で品書きを見る時が「勧進帳」のパロディだったところ。
松十郎さん清八と千壽さん婆、あの扮装のまま一瞬にして目つきまで弁慶と富樫に切り替わっていてさすがです。

それにしても千壽さんの変幻自在ぶりすばらしい。
松十郎さん、千次郎さんが一貫して清八、喜六を演じているのに対して、千壽さんは、小汚くて(笑)小狡そうな婆かと思えば、とても色っぽくて綺麗な遊女になったり、仙女だったり狐だったり、最後はあんな正体露わして全部持ってっちゃったり。
どのお役も本当にイキイキ楽しそうに演じていらして、相変わらず綺麗な海老反りも見せてくださいました。
・・・松十郎さんも海老反りやってたな。

女もお酒も大好きで要領よく立ち回るお調子者の松十郎さん清八。
ちょっと気が弱いけれども真面目で優しい千次郎さん喜六。
この二人のコンビネーションがとてもよかったです。

出発点の玉造稲荷の宮司と巫女に始まって、ちょいワル和尚や薄幸の人妻、実は狐の仲間たちと楽しい役替りを見せてくれた佑次郎さん、りき彌さん。

皆さん芸達者な上に上方ことばも完璧で、イントネーションに「あれ?」と思うことなくストレスフリー。
大向うさんは「松嶋屋っ!」の他に、それぞれのお名前でもかけていらっしゃいました。



IMG_7508.jpg

開演前や幕間にはロビーで笑顔をふりまき、上演中は一番後の席から厳しい目で舞台を見つめていらっしゃった秀太郎さん。
クラウドファンディングで支援された方々の名札やお花が並ぶロビー。
満員の客席からの割れんばかりの拍手。
そしてもちろん精魂込めた舞台を見せてくれる役者さんたちと支えるスタッフの方々。

たくさんの人の思いがあふれている舞台。
演目の面白さやクオリティの高さはもちろん、観終わった後本当に温かい気持ちになれる公演。
来年きっとまた第三回で、会えるのを楽しみにしています。



最後の清八、喜六と狐たちの追っかけ合いのドタバタが少し長くて、それだけが残念だったな~ のごくらく地獄度 (total 1607 vs 1610 ) 


posted by スキップ at 05:23| Comment(2) | TrackBack(0) | 歌舞伎・伝統芸能 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
skipさま
こんにちは。ブログ記事、愛読させていただいております。昨年「星逢~」号泣の翌日、「晴の会」で大笑いのコメントを入れた者です。
今年は「ローマの休日」で昨年にもましての大号泣をした足で「晴の会」へ。移動の御堂筋線では余韻をひきずり、どうなることやらと思いましたが、アート館に着いたらワクワク、ドキドキで楽しい時間を過ごしました。舞台と客席の一体感も大好きです。来年もきっとありますよね。楽しみです。
Posted by なでしこ at 2016年08月05日 12:29
♪なでしこさま

いつもブログ読んでいただいてありがとうございます。
はい!昨年の「晴の会」の記事にいただいたコメント、
よく覚えています。「星逢」→「晴の会」のハシゴが
偶然同じでとても印象的でした。

今年の「晴の会」もとても楽しかったですね。
「ローマの休日」私もチケット取っていたのですが、
家族の急病で行けなくなってしまって、別の意味で号泣です。
それにしても、なでしこさまと2年続けて「晴の会」+雪組が
カブるとは不思議なご縁ですね。
また来年もきっと!
Posted by スキップ at 2016年08月06日 09:08
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