2016年07月14日

ステージこそ夢  月組 「NOBUNAGA <信長>/Forever LOVE!!」


nobunaga.jpg月組トップスター 龍真咲さんサヨナラ公演。
宝塚大劇場での公演も残すところあと4日となりました。
これで100周年の各組トップは一人もいなくなっちゃうな。
時は、飛ぶように過ぎ去っていきます。


宝塚歌劇 月組公演
簡易生命保険誕生100周年 かんぽ生命 ドリームシアター
ロック・ミュージカル 「NOBUNAGA <信長> -下天の夢-」
作・演出: 大野拓史
シャイニング・ショー 「Forever LOVE!!」
作・演出: 藤井大介
出演: 龍真咲  愛希れいか  珠城りょう  凪七瑠海  美弥るりか  宇月颯  朝美絢   海乃美月  暁千星/沙央 くらま ほか

2016年7月3日(日) 3:00pm 宝塚大劇場 1階4列下手



「NOBUNAGA <信長> -下天の夢-」

龍さんが「どうしても退団公演で演じたかった」という織田信長の生涯を描いたロック・ミュージカルです。
宝塚で織田信長といえば、ずい分ずい分昔に、安奈淳さん主演で「うつしよ紅葉」という作品がありました。
うつけ者と言われながら、じいの平手政秀の命を賭しての諌めから人間として成長し、桶狭間の戦いに出陣するまでの若き日の信長を描いていましたが、今回の作品は、その桶狭間の戦いから、妹のお市を嫁がせた浅井長政とのいきさつ、比叡山の焼き討ち、明智光秀の謀反に倒れた本能寺の変まで、歴史的なポイントはほぼ押さえた生涯編といった趣き。

信長を中心に、正室の帰蝶をはじめ、明智光秀、羽柴秀吉、浅井長政、柴田勝家、前田利家、足利義昭といった歴史上お馴染みの人たちの中に、イエズス会の密命を帯びて日本を乗っ取ろうと画策するローマ人騎士 ロルテスを登場させたところにオリジナリティを発揮・・・という意図だと思うのですが、このオリジナルの部分が必ずしもうまくハマっていない印象でした。

孤高で一歩間違えば暴君とも映る信長に対して、ロルテスが家臣たちを扇動して、全員が信長を裏切る、という唐突感。
だけど結局みんなまた「お館さま~」となって、さらには当のロルテスまで大反省して信長に忠誠を誓うという展開。
そのロルテスの「取ってつけた」感。
この役必要だったかなぁ?(決して珠城さんの演技がどうとかではなくて、あくまでも脚本の問題。)
さらには、信長が帰蝶を斬るってどゆこと?とワタシの理解の範囲を超えておりました。

それぞれの役を演じるジェンヌさんたちは好演だったし、ロック仕立ての群舞や音楽、衣装もカッコよかったので、脚本・演出がハナハダ残念な感じです。


大セリの上にひとり白装束で登場し、「人間五十年~」と「敦盛」を舞うオープニング。
「俺様」のイメージのある龍真咲さんは信長役によく合っていました。
やりたかった役というだけあって、強い意志を持った自信に満ちた信長像を熱演でした。

帰蝶は愛希れいかさん。
美しく勝気で武芸にも秀でて、という役がぴったり。
故郷の美濃を滅ぼされたことで信長へ屈折した思いを抱えながら心の底では愛情を感じている、というあたりもよかったです。
信長に斬りかかろうとする光秀や秀吉に「光秀、秀吉 許しません。織田上総介信長は私の獲物。そして私がただ一人愛した男」と言うところ、カッコよかったな。

珠城りょうさんのロルテスは、先述したように役柄的にはどうかと思いますが、上背もあって立派な体躯、台詞も歌もしっかりしていて堂々。
ラスト 本能寺で「船を用意してるから大海に出ましょう」と信長を脱出させようとするところは、信長の亡骸が発見されていないといつ史実を鑑みて、ここにこそロルテスの存在意義が?(笑)

明智光秀は凪七瑠海さん。
品よく知的で頭脳明晰でいかにもデキる男な光秀、よかったです。
「敵は本能寺にあり!」という台詞もちゃんとあって、このあたりはさすがに押さえているのね。
凪七さん、専科へ異動が決まっていますが、前回の全ツからクリーンヒット続きだと思います。

羽柴秀吉は美弥るりかさん。
冒頭の武将たちを率いての群舞から、「サル」にしてはカッコ良すぎですが、温かい人柄や、やがて天下人になるというエネルギーが感じられる秀吉でした。
光秀と秀吉が上手、下手の花道で客席を挟んで向き合って「お館様に取って替るのは自分」と言い合う場面、結構意味深な台詞の応酬・・・というのは穿ち過ぎかな。

そういえば開演前の諸注意はこのお二人が役(光秀・秀吉)のまま掛け合いでやっていました。
これは新しいパターンでなかなか楽しかったです。

朝美絢さんは、光秀の妹で帰蝶の家臣である妻木という女役と森蘭丸の二役。
どちらも美貌が光っていました。
ちょっとくノ一ふうの妻木ですが、とても美人なのに手足がゴツゴツしていて男役さんだなぁと(笑)。

その妻木の恋人で信長の家臣 佐脇良之は暁千星さん。
月組期待のホープで、どこにいても目を引く可愛らしさ、華やかさを持っていますが、いつになったら精悍で男らしいありちゃんを見せてくれるでしょう。

専科から出演の沙央くらまさんの足利義昭がとても印象的でさすがの力量を示していました。
千海華蘭さんの宣教師オルガンティノがとても可愛いかったな。


シャイニング・ショー 「Forever LOVE!!」

永遠に輝き続ける“愛”をテーマに、様々な愛の形を綴るショー作品。
豊かな歌唱力、そして現代的でありながらクラシカルな面も併せ持った月組トップスター・龍真咲の魅力を存分に引き出すと共に、個性豊かな月組メンバーが多彩な姿を披露する、エネルギッシュでドラマティックな“愛”のステージ、ですって。

フィナーレで大階段を使った男役の群舞もなければ、ロケットも前半に登場、トップとトップ娘役のデュエットダンスもないという、ある意味斬新なショーでした。
そいえばいつも写真撮るタイトル幕もなかったな。


サヨナラ公演だけあって、龍さんはほとんで出ずっぱり。
プロローグすぐ後で、「ステージこそ夢 ステージこそ命 ステージこそ愛」と、これまで駆け抜けてきた宝塚への思いを込めた歌(いわゆる退団するトップの歌)を歌うのも新鮮だったな。
「バレエは苦手 だけど大好き」と歌っていたり、まさおらしくてカワイイ。
や~、その通り(笑)、ダンスより歌重視のショーでした。


印象に残った場面をいくつか。

龍さん中心に宇月颯、紫門ゆりあ、朝美絢、暁千星で「キサス・キサス・キサス」。
ここぞとばかりに皆キザっていてカッコよかったです。
でもこの曲、2年前に星組の「パッショネイト宝塚!」で、柚希礼音・十輝いりす・紅ゆずる・真風涼帆・夢咲ねね の5人で銀橋渡りながら歌ったのがとても印象に残っていてね~。

続いて龍さんだけが残り、愛希さん、珠城さんも加わって客席前方に降りたりしながら「ティコ ティコ」
ここで、「まさきを愛してくれてありがとう」って言ったのだったかな。
「ちゃぴはちゃぴで」とか「まさおばかりでなく珠城も・・」とか一人ずつ言ってましたね。

この後、男役の女装祭り(笑)。
龍さんにからんで、凪七瑠海、美弥るりかと女役になって歌い踊ります。
2人とも華奢でべっぴんさんなので女役になっていても違和感ないよねーと思いながら観ていたら、3人目が・・。
誰?!と思ったら、沙央くらまさんでした。
まぁ、前の2人よりはちょっとガタイはいいですが、沙央さんも美人さんです。

ロケットのセンターは萌花ゆりあさん。
今回龍さんと一緒に退団する同期の娘役さん。一瞬海乃美月さんかと思っちゃいました。美人さんですね。

「Persist LOVE」の場面は、やはりこの公演で退団する真愛涼歌さんのソロで始まる激しいダンス場面。
ダンスの振付もカッコいいけど、とてもデジャヴ。
前作「GOLDEN JAZZ」の「rhythm」の場面同様、センターで踊りまくる愛希さんを観ることができます。

次はヒョウ柄の衣装を着た龍さんが、夏月都さん・白雪さち花さんという熟女(?)を引き連れて歌う「愛の讃歌」のロックアレンジ。
3人ともカッコよかったです。

大介先生お得意のゴールド+白い衣装での全員群舞シーン。
龍さん中心に87期だけから始まって、退団者が一人ずつちょっと前に出てソロを歌うのですが、その歌詞がいかにもな感じでグッときました。
そして全員総踊りする中、一人その中から抜けて大階段を上っていく龍さん・・・。

龍さんはラストに黒燕尾で大階段で一人、「永遠」を歌います。
デュエダンないのはやっぱり少し寂しいけれど、ヴォーカリストとしての龍真咲の掉尾を飾るにふさわしい幕切れ。
最後銀橋で一礼するポーズがキザすぎてちょっと笑いも起こっていましたが、それも何だか龍さんらしくて、最後まで龍さんらしさを貫いた明るいショーでした。



ショーでは海乃美月さんの起用が印象的。NEXT 愛希を見据えてでしょうか のごくらく地獄度 (total 1593 vs 1598 )


posted by スキップ at 23:44| Comment(0) | TrackBack(0) | TAKARAZUKA | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください

この記事へのトラックバック