
その躍動する舞台をシネマ歌舞伎としては史上最多のカメラ19台を使って撮影されたのだそうです。
舞台を映像化したものが苦手な私でも、「これは特別」と張り切って公開初日の、それも朝イチの回を観てきました。
シネマ歌舞伎第24弾
「歌舞伎NEXT 阿弖流為」
作: 中島かずき
演出: いのうえひでのり
出演: 市川染五郎 中村勘九郎 中村七之助
坂東新悟 大谷廣太郎 中村鶴松 市村橘太郎
澤村宗之助 片岡亀蔵 市村萬次郎 坂東彌十郎 ほか
2016年6月25日(土) 9:15am なんばパークスシネマ シアター8
昨年、新橋演舞場で2回、松竹座で5回観た大好きな作品。
舞台の感想は散々書きましたので(とりまとめてこちら)、今回は「その舞台を映像化した作品」としての感想を。
7回観て、座席も最前列から2階正面、3階席まで、いろんな席、角度から観ましたが、さすがに映像となると、客席からは絶対見えない視点や、いくらオペラグラスを使ってもそこまでは、というような接写もあって、新鮮に楽しむことができました。
特にあの一幕の両花道の名乗り。
「次に会う時は戦場かな」
「もしその時は・・」
「死力を尽くして闘うのみ」
「参ったなぁ。俺も武士ということか。わくわくしてきたよ。
義にあらず大義にあらず、この身の滾りはただ武士の血の
なせるわざ」
「その武士の血が流るるは大和の男ばかりにあらず・・・阿弖流為だ!」
「坂上田村麻呂っ!」
新感線の「アテルイ」の時から、「どっち観ればいいんだよ~」状態だったあの場面をこんなアングルで同時に観られるのは映像ならでは(そして例にもれず泣く)。
今回特に役者さんのアップが多用されている印象で、表情は本当によく見えましたが、殺陣などではここは引きで観たいのに、と思う場面も。
そこスローモーションじゃなくていいし、という部分がなきにしもあらずですが、エフェクトもそれほど多用されていくて作品の全体観は保たれていると思います。
「朧の森に棲む鬼」がゲキXシネになった時、修羅と化したような染五郎さんライが鬼の形相で両手を広げて花道を駆け抜けていくところを舞台側から、つまり後ろ姿を撮った映像があって、「ほう

カットされている場面もいくつかありましたが、それもあまり気にならず。
ただひとつ、田村麻呂にわざと斬られた阿弖流為の、「滅びることで礎となる運命だ」という台詞、なかったと思うのですが・・?
撮影したのは演舞場公演の前半かな?
鮭リレーもなく、田村麻呂も随鏡様に「おいコラ、ハゲ」なんて言わないし、「性だ」というあたりのアドリブもあっさりめ。
そうそう、初日観た時、こんな感じだったよね~とちょっと初心に戻りました。
周りの声を聞いていると、今回初めて観る人、新感線版だけ観ていて歌舞伎版は初めてという方もチラホラいらっしゃった模様。
田村麻呂が稀継様に刺された時、隣席のおじさまが「えっ!!」と大声でわかりやすく反応していらっしゃいました。舞台を観ていない初めての人にも楽しんでいただけて喜ばしいことです。
この作品の前売券はこんな4枚の中から絵柄が選べます。

全部欲しいところですが(実際4枚セットで買う人周りに多かった)、上演期間中に行きたくても4回は観に行けないのではないか、と日程発表待っていたら、やはり2回が限度かなということになり、阿弖流為はマストとしてもう1枚はどれを・・と迷った末に田村麻呂にしました。

こちらは入口に用意されていた月イチ歌舞伎スタンプラリー。
集める気なんてサラサラないのに前の人につられて押したら「熊子だ!」と観る前からテンションあがりました。
映像苦手な私でも、この作品はぜひBlu-rayにしていただきたい のごくらく地獄度



