
芝雀さん時代から数々の舞台を拝見していますが、直接お話しを伺うのは初めて。
とても楽しい時間を過ごしました。
関西・歌舞伎を愛する会
五代目 中村雀右衛門襲名披露 茶話会
2016年5月28日(土) 3:00pm ホテル日航大阪 4階 白鳥
茶話会は2部構成で、第1部は文化プロデューサーで関西・歌舞伎を愛する会代表世話人でもある河内厚郎さんの講演 「雀右衛門にまつわるお話」。
当代の雀右衛門さんばかりでなく、先代、先々代のお話などとても興味深かったです。
雀右衛門さんは大阪にゆかりのある名跡で、二代目、三代目雀右衛門さんの墓所は大阪・阿倍野にあって、今日墓参されたのだそうです。
こちらに早々と記事になっていました。
「雀右衛門のお墓の近くには五代友厚の大きなお墓もあった」とプチ情報も。
先代雀右衛門さんのお話で印象的だったのは、「野崎村」で「お光は嫌い。いくつになってもずっとお染をやりたい」とおっしゃっていたというお話。
後で当代も「父はずっと若くて綺麗なお姫様役ばかりやっていた」とおっしゃっていましたが、ご本人が好きだったんだ。
今回の襲名披露で雀右衛門さんは歌舞伎の三姫(八重垣姫・時姫・雪姫)をすべて演じられるそうですが、魁春さんに教えていただくそうですが、「魁春は歌右衛門に教わったので、歌右衛門と雀右衛門の両方が入るjことになる」と。
「SLが好きで雀右衛門は中学生の頃からひとり旅していた」なんてお話も。
三津五郎さんもそうだったということで、「三津五郎さんはお城好きだったからかな」と思ったり。
第2部は雀右衛門さんご登壇。
盛大な拍手に迎えられて入場された雀右衛門さんは紋付袴の正装。
にこやかな笑顔でした。

関西・歌舞伎を愛する会事務局長の川島靖男さんの司会で、
会場からの質問にも答えてくださいました。
雀右衛門さんといえば魁春さんとともに私にとって「素顔はフツーのおじさんなのに舞台では劇的に色っぽく化ける」二大女方のおひとりですが、子どもの頃から女方を志していらしたそうです。
歌舞伎役者になることも、周りからも当然のように言われていて、ある時お母様に「どうして歌舞伎役者になるの?」と聞いたら、「なるからなるのよ」と言われたのだとか。
少年の頃コロコロに太っていて、何かを抜けなければいけない役だったのにギュウギュウで先代松緑さんに「女方がそれじゃダメだ」と言われて一念発起。その公演中に10キロ痩せたそうです。「あの時に女役をやっていく覚悟ができたと思います」と。
女方の仕草の一つとして、「胸を横に揺らす。八の字を書くように」を少しやってくださったのですが、あーら不思議、品のよいフツーのおじさん(笑)が色っぽい女性に。
目の前のコップをとる仕草も全く違っていました。
吉右衛門さん、仁左衛門さんや幸四郎さんとも組まれることの多い雀右衛門さん。
それそれ細かく教えてくださるそうで、立役さんは相手の女方さんの台詞や演技まで指導されるのだなぁと感心。
そんな「みなさん素晴らしい尊敬できる先輩です」と笑って話される雀右衛門さんはすっかり弟キャラでした。(もう60歳だけど

お父様の雀右衛門さんのお話もたくさんされていて、七月に松竹座で演じられる「夕霧名残の正月」も「鳥辺山心中」もかつて先代雀右衛門さんが演じられた役。
「鳥辺山心中」で相手役をされた仁左衛門さんが「雀右衛門さんのお染は本当に可愛かった」とおっしゃってくださって、今回の上演となったそうです。
「今後は『女殺油地獄』など上方の近松作品などもやっていきたい」とおっしゃっていた雀右衛門さん。楽しみです。

品よくほんわかしたお人柄がにじみ出るようなトークで、これまであまり接する機会がなかった雀右衛門さんですが、一気にファン度がアップしたのでした。
テーブルごと記念撮影(11人くらい)ではちゃっかりお隣の席に座らせていただきました のごくらく度


