
昨年は東京で”一夜限りのスペシャルコンサート” One Night Dream でしたが今回は東京・名古屋・大阪・福岡の4都市で開催。
Dream goes on 夢は続く・・・ですって。
「YOSHIO INOUE sings Disney
~Dream Goes On!」
構成・演出: 小林香
音楽監督: かみむら周平
出演: 井上芳雄
スペシャルゲスト: 望海風斗 (宝塚歌劇団・雪組)
ゲストコーラス: ジェニファー 真瀬はるか
2016年5月22日(日) 5:00pm フェスティバルホール 3階3列センター
コンサートは二部構成で第一部はストーリー仕立て。
電飾がついたシルクハットをかぶった井上くんが登場して、「世界中のこどもたちの手紙を受け取りに行く」と言って客席をまわり、受け取った手紙の中から1通を選んで読み始めます。
日本に住むアンという8歳の少女からのもので、鼻ぺちゃでずんぐりむっくりで歌も下手だけどミュージカルスターになりたい、というような夢が綴られていて、「夢は叶うってほんと?」というピュアな質問に、井上くん扮するイマジネーターが返信する中でいろんな曲が織り込まれる形。
手紙を読む井上くんはアンになったり、イマジネーターになったり、アンのママになったり、ちょっと一人芝居の趣きです。
ディズニーの曲は、こどもの頃には親しんでいたものの、この頃はほとんど聴いていなくて、後で望海さんとのお話にも出てくる2012年11月発売の「TAKARAZUKA plays Disney」収録曲がすべて、みたいなワタクシですので知らない曲も多かったのですが、そこはさすがの井上くんのヴォーカルで、とても楽しむことができました。
セットリストを文末に記しますが、印象に残った曲をいくつか。
「星に願いを」のようなオーソドックスな曲は井上くんの声質や歌い方にとてもよく合うなぁと思いました。
「ハクナ・マタタ」は逆に意外性があって楽しかったな。
「ラブ・マシーン」は2つのバージョンを聴き比べできて、井上くんって曲によって歌い方も発声も変えて、ほんとすごいなと改て思いました。
アナ雪でオラフが歌う「あこがれの夏」は、最近のディズニーの曲の中では知っている数少ない曲の一つで、うれしかったし、アナ雪の中でこの曲が選ばれたことが意外でした。
「強く願ってそれに向かって努力し続けれは夢は必ず叶う」というウォルト・ディズニーのスピリットは、大人になって疲れ果てた今の私にはちょっと遠い。
でも、最後に追伸の追伸として語られたアンのママの言葉・・・「あなたがいる場所を私もまだ覚えていましたから」・・・は、ピーターパンはもう見えなくなってしまった大人の私だけど、心の中にはずっと大切に持っているのかもしれない、と思わせてくれました。
ほとんどトークの入らない第一部でしたが、「ミュージカルスター」のくだりでちょっぴり井上くんらしさが。
「苗字に『い』がつく人 いるじゃない」
-いくさぶろう?
「それ名前だから。苗字は『や』だから」
-市村正親?
「そうそう、市村正親。大御所ね。そんな大御所じゃなくて中堅の・・・少し前まで若手だったんだけど今や中堅。30台後半だけどプリンスって呼ばれてる・・・脚が長くてスタイルいい・・」
といった具合(笑)。
第二部ではまず、2曲目に歌った「プラウド・オブ・ユア・ボーイ」。
これは前回のコンサートのテーマにもなった曲で、、あの美しい旋律と「これまで期待を裏切ってきたけれど、貴方の自慢の息子になるよ」っていう優しい歌詞を井上くんのあの声で聴くと泣きそうになりました。
それから、ゲスト登場前に歌った劇団四季の次回作「ノートルダムの鐘」からフロローのナンバー「罪の炎」(Hellfire)
「これからは王子様ばかりじゃなく悪役もやっていかないと食いっぱぐれるから」とご本人は茶化していらっしゃいましたが、迫力の歌唱。
ここは照明も赤ですごくカッコよくて悪役フェチの血が騒ぎました。
井上くん自身は歌いながらトート思い出しましたとおっしゃっていましたが、王子様ができなくなるという理由からではなく悪役もどんどんやって欲しいな。きっと魅力的な悪を演じ歌うことができると思うのです。
そしていよいよゲストコーナー。
ゲスト登場の前に井上くん、上着だけお召し替え。
「このジャケットも大阪公演のためだけのものなんだけど」と言いながら、それまで着ていたモスグリーンのジャケット脱いで黒燕尾に。
「まぁ、どうやったってかなわないんだけどね」なんて言いながら。
そして、大拍手に迎えられて望海風斗さん登場。
井上くんは黒地に白のドット、望海さんは黒地に赤のドットのシャツで2人揃って黒燕尾。
「今日は僕達 男2人だから」と井上くん。
井上くんの妹さんが宝塚で望海さんと同期だったので下級生の頃からお知り合いだった2人。
客席には妹さんもいらしていて2人でステージから手を振っていました。
「この期はみんな妹みたいな気がして・・・」と井上くん。
以前このブログにも書いたことがあるのですが、井上くんがディズニーのCDを出すきっかけとなったのは望海さんが「TAKARAZUKA plays Disney」のCDをプレゼントされたからですが、そのあたりのお話も。
井上くんがホテル阪急インターナショナルに泊まった時、お部屋でスカステを流していて、聞こえてくる「そばにいて」が上手いなぁ、と思ったら望海風斗だった→そのことを話したら気をよくした望海さんが調子に乗ってそのCDをプレゼントした→それを聴いた井上くんが僕もこんなディズニーの曲ばかりのCD出せませんかね?となって実現して、それが昨年のコンサートに繋がった、というお話。
ゲストコーナーの3曲はみんなよかったな。
全部宝塚のCDに入っていることもあって、耳馴染みもあったし。
2人で 「コンパス・オブ・ユア・ハート」
望海さんソロで 「You'll Be in My Heart」
もう一度2人で 「そばにいて」
望海さんは最初は緊張しているようにお見受けしましたが、1曲目を歌い終わった時、「声質が合ってると思う」と井上っくんに言われて左拳あげてガッツポーズして喜んでいました。
それを「おっさんみたいww」とツッコむ井上芳雄。
「だいもんがどんどんスターになって、その上不思議な色気まで醸し出して・・・その色気 どこで学んだんだよ、オレにも教えてくれよぉ」なんて言ったり。
ソロの 「You'll Be in My Heart」を紹介する時、「ヘラクレスの・・」と言っちゃって、望海さんが「え?」となって間違いに気づいた井上くん(本当は「ターザン」)。
「それは浦井健治が東京で歌ったやつだよぉ」と。
後でご自身が「ヘラクレス」の「ゼロ・トゥ・ヒーロー」歌う時、「これが『ヘラクレス』なんだよ。あの時『ヘラクレス』って言っちゃったのが今日唯一の痛恨・・」とまだおっしゃっていました。
井上くんは言わずもがな、ですが、やっぱり望海さん歌うまいなぁ。
音楽監督のかみむら周平さんも「音域が広い」とほめていらしたし、宝塚ファンとして誇らしかったです。
特にラストの「そばにいて」は2人のハーモニーもぴったりで、それぞれの個性もよく出ていて、もう一度聴きたいくらいでした。
歌い終わった後はこの日一番の拍手だったのではないかしら。
ただ、声量という点ではやはり井上くんに圧倒されます。
望海さんも「声の圧が凄い」とおっしゃっていましたが、本当に強くよく伸びる声。
しかも、望海さんとのバランスをはかってか、マイクかなり離して歌っていましたもの。
もちろん男女の違いもあるでしょうが、宝塚歌劇団屈指の歌い手の一人 望海さんをもってしてもこの差ですから、井上芳雄おそるべし。
新人公演のことを「新公」と言ったり、もみあげ生えてるの!?とか、男役ってミッキー的な存在、とか、炭酸せんべいの缶の話とか、ヅカに詳しく望海さんとも親しい井上くんならではの話がいろいろとツボでした。
「下級生の男役にどうしたら歌が上手くなりますか?と相談された時は、男性の上手いと思える人の歌を聴くといいと答えてます」 と望海さん。
「それがだいもんにとって僕だったということですね」
「ちなみに、僕が後輩に同じ相談された時は 、声っていうのは生まれ持った声帯だからね、て答える。見たことない様な悲しい顔するよね」と半笑いしながら言う井上くん。ヲイ(笑)。
「肩いからせて帰って行ったよ。ほんと、俺にも教えて欲しいよ」と望海さんを見送った後、
「美女と野獣からの3曲はどれも印象的でした。
特に、井上くんが「野獣とともに召使いたちもカップやいろんな道具に変えられるという理不尽なことが行なわれている訳です」と解説してくれた「人間に戻りたい」がお気に入り。
最後の曲は We Go On
「これは『続けていこう』という歌。誰もが夢を見たいし、叶うと信じたい。
一番大切で大変なのは夢を信じ続けることだと思います」と。
そう、夢を信じ続けることって、それに向かって努力する自分自身を信じることなんだよって、
改めて教えられた思いです。
ヴォーカリストしての井上くんの力量は折り紙つきですが、楽曲によって歌い方はもちろん、声の表情まで変えていて、とてもドラマチック。
本当にミュージカルやるために生まれたような人っだなぁと今更ながら感じました。
「爪に白い線が入るのは過労の印」なんて言っていたましたが、あののびやかな声でパワフルに歌い続けて、合間にはしゃべり続けて(笑)、2,700人の聴衆を一人で惹きつけて涼しい顔。
時にはチクリと毒も吐く(アズナブールとか、笑ったよね)けど、決して下品にはならない、笑わせたかと思えば、大人の言葉でとても丁寧にお礼の気持ちを述べることができる。
井上芳雄という人のスターっぷりが際立ったコンサートでした。
「ディズニーや僕たちの歌で、ほんのひと時夢を見る時間があってもいいんじゃないかと思います」という井上くん。
「劇場の外に出れば現実が待っていますから。言い換えれば現実逃避?(笑) でも、逃避と言ってしまうからおかしなことになってしまう。劇場は逃げ場ではないですし、何が現実で、事実で、真実なんて誰もわからないですから。そうやって夢を見ることで、また歩み続けていけるような気がします」と。
夢見る頃なんてすっかり過ぎてしまって、もう夢をみることなんて忘れてしまったような私でも、井上くんと望海さんのステキな歌声を聴いた夜は、One Night Dream よい夢をみて、また明日から現実をがんばろうという気持ちになりました。
ほんとに楽しかったな。大阪のゲストが望海風斗さんでよかった。
オファーした井上くんも受けた歌劇団もありがとう。もっと言えば、何年か前に「調子に乗って」TAKARAZUKA plays Disney のCDを井上くんにプレゼントした望海さん、ありがとう!
(そういえば、「ゲストは違うジャンルの人と思っていろいろ声かけたけど、結局違うジャンルから来てくれたのはだいもんだけだった」と井上くんおっしゃっていました。「歌舞伎とか」ともポロリと言っていたので、松也くんあたりも候補だったのかな?)
SETLIST (抜けがあるかも?)
Act Ⅰ
1. The Dream Goes On (東京ディズニーリゾート)
2. 狼なんかこわくない (3匹の子ぶた)
3. 星に願いを (ピノキオ)
4. きみもとべるよ! (ピーターパン)
5. いつか夢で (眠れる森の美女)
6. みんなネコになりたいのさ (おしゃれキャット)
7. 美女と野獣 (美女と野獣)
8. ハクナ・マタタ (ライオン・キング)
9. フレンド・ライク・ミー (アラジン)
10. アンダー・ザ・シー (リトル・マーメイド)
11. カラー・オブ・ザ・ウィンド (ポカホンタス)
12. ホエン・シー・ラヴド・ミー (トイ・ストーリー2)
13. ラブ・マシーン (プレーンズ)
14. あなたは私の心の音楽 (ハイスクール・ミュージカル2)
15. あこがれの夏 (アナと雪の女王)
16. 輝く未来 (塔の上のラプンツェル)
17. 魔法の鍵~The Dream Goes On (東京ディズニーリゾート)
Act Ⅱ
1. 逃げ足なら負けない (アラジン)
2. プラウド・オブ・ユア・ボーイ (アラジン)
3. 危険な冒険 (アラジン)
4. 罪の炎 Hellfire (ノートルダムの鐘)
5. コンパス・オブ・ユア・ハート (東京ディズニーシー)<井上・望海デュエット>
6. ユール・ビー・イン・マイ・ハート (ターザン) <望海ソロ>
7. そばにいて (魔法にかけられて) <井上・望海デュエット>
8. アロハ・エ・コモ・マイ (TDL 魅惑のチキルーム)
9. 愛せぬならば (美女と野獣)
10. 人間に戻りたい (美女と野獣)
11. A Change in Me (美女と野獣)
12. ゼロ・トゥ・ヒーロー (ヘラクレス)
13. We Go On (フロリダ ディズニーリゾート)
Encore
14. Someday (ノートルダムの鐘)
井上くんの歌をフェスティバルホールで聴けるなんて、ととても楽しみにしていましたが、チケットは大激戦。やっと一つだけ当たったものの発券してみたら3階・・・3階3列でS席って、A席やB席はどこなのかって話ですよ。

でもまぁ、フェスティバルホールは音響もいいし、上から見る照明はとても綺麗だったし、2階3階席からしか見えないという隠れミッキーも見られたからいいんだけど のごくらく地獄度



