2016年03月24日

愛する切なさ生きる激しさ 月組 「激情/Apasionado!!Ⅲ」


gekijo.jpg月組次期トップスター就任が発表された珠城りょうさん主演の全国ツアー公演。

月組の次期については、いろんな憶測が乱れ飛んでいましたが、昨秋の本公演「舞音-MANON-/GOLDEN JAZZ」を観た時、研8の若さで二番手に就任したばかりでしたが、特にショーは大活躍で、「あぁ、歌劇団はこの人をトップにするつもりなんだな」と思いました。
その時の感想にもそう書いています(笑)。

プレお披露目となったこの公演、珠城さんの開演アナウンスには客席から温かい拍手もおこっていました。


宝塚歌劇月組 全国ツアー公演
ミュージカル・プレイ  「激情」 —ホセとカルメン—
脚本: 柴田侑宏
演出・振付: 謝珠栄
ファナティック・ショー 「Apasionado!!Ⅲ」
作・演出: 藤井大介
出演: 珠城りょう  愛希れいか  飛鳥裕  憧花ゆりの  凪七瑠海  
宇月颯  早乙女わかば  輝月ゆうま  暁千星 ほか

2016年3月20日(日) 12:00pm 梅田芸術劇場メインホール 1階20列下手



「激情」 —ホセとカルメン-

メリメ原作でビゼーのオペラでも有名な「カルメン」をモチーフにした物語。
ドン・ホセ(珠城りょう)が宿命の女カルメン(愛希れいか)に翻弄され、彼女への愛ゆえに堕ちて行く様を情熱的に描き出したミュージカルです。
1999年 宙組 姿月あさと&花總まりで初演。2010年に星組の柚希礼音&夢咲ねねで再演されています。

「婚約者もいる真面目な青年がファム・ファタールと出会って人生を踏み外す」という設定が前作「舞音」とカブらなくもない・・その運命の女が愛希さんで婚約者は早乙女わかばさんというのも同じだし・・ですが、2人が出会ってから悲劇的な結末を迎えるまで、物語はテンポよく進み、フラメンコや闘牛など宝塚にぴったりの華やかな場面も盛り込まれ、充実した舞台でした。

カルメンを愛するがゆえに、身を持ち崩し人殺しまでして
カルメンの奔放さに惹かれながら自分だけのものにしたくて嫉妬に狂い
ついに彼女を手にかけてしまうホセ。

カルメンと出会わなければ、伍長から順当に出世もし
故郷で母の面倒をみてくれるやさしい娘と結婚し
ささやかながら幸せな人生を送ったであろうホセ。

だけど出会ってしまった、カルメンに。

自由奔放で激しく情熱的で
プライドが高く、決して自分の考えを曲げないカルメンに
抗えない魅力を持ったカルメンに。


珠城りょうさんのホセは、男らしい体躯に青い軍服が映える出だしから上々。
この役とてもよく合っていると思いました。
密輸団の中ですぐ頭角を表してリーダーになるのも納得の逞しさがありつつ、それと反比例するようにどんどん影を帯びてくる表情も印象的でした。
歌もダンスも演技も高値安定。
しっかし、あの大人の場面は・・・R指定ですかっ!?(笑)

愛希れいかさんのカルメンは、似た役柄ながらマノンよりはるかによかったです。
お色気という面では今一歩かなぁとも思いますが、自由奔放というだけでなく、ホセのような真面目な男も、エスカミリオのようなスターマタドールも惹きつけるような輝きと強い生命力に溢れていました。
勝気で奔放で野性味たっぷり。まぁ、私は周りにいたら嫌いなタイプの女性ですが(笑)。
フラメンコもとてもステキでした。

エスカミリオは暁千星さん。
例によって事前に配役を把握していませんでしたので、「え!エスカミリオ、ありちゃんなのっ!?」
とびっくり。
美形だし、長身にマタドールの衣装は映えるし、マントさばきもとてもうまい。
でもやっぱりまだ可愛さが残っちゃう。
男の色気とか、翳りとか、哀愁とか、暁さんに期待するものはいっぱい!

個人的にはこの人がエスカミリオでよかったのではないかなと思った凪七瑠海さんは
メリメとガルシアの2役。
過去の上演からみてもこの役が二番手の役ではあるのですが。
メリメは原作者でストーリーテラーという役回り。
男役にしては声が高いと言われていますが、台詞も歌も明瞭でとてもよかったです。
カルメンの夫であり密輸団のリーダーでもあるガルシアは、凪七さん、こんなワイルドな役もイケルじゃないと思いましたが、如何せん珠城さんと並ぶと線の細さが際立って、戦う前からこれ絶対ホセが勝つでしょ、と思ってしまいました。


「一緒にアメリカに行って2人で新しい暮らしをしよう」と言うホセに
「あたいは行かない」ときっぱり応えるカルメン
愛し合っていたはずの2人の噛み合わない心が切ない物語でした。


「Apasionado!!Ⅲ]

「アパショナード」はスペイン語で「熱い」「情熱の男」という意味。
「熱」をテーマに、熱いリズム、熱い血潮、燃え上がる恋、嫉妬の炎、命を賭けた情熱など、様々な「熱」の形を具現化した、情熱的でエネルギーに満ちたダンシング・レビュー。
フラメンコ衣装で始まるので、まるでお芝居の続きかフィナーレのショーのよう思えました。狙ったのかな?

こちらも3演目で、2008年に瀬奈じゅん主演の月組で、2009年に大空祐飛主演の宙組で上演されています。
宙組版を中日劇場で観ましたが、7年も前で1回しか観ていないにもかかわらず、♪アッパショナード~ 赤く赤く アッパショナード~ 燃えて燃えて という主題歌 今でも歌えるくらい強烈な印象。

歌はそれくらい覚えているのにショーの内容はほとんど忘れていて、男役が女装(笑)して次々出てきたのと、バレンチノの場面があったことだけが記憶に残っています。
この女装(何回も女装言うな!)調べたら、悠未ひろ・寿つかさ・北翔海莉・十輝いりす・鳳翔大・凪七瑠海・七海ひろき でした。なーんて豪華メンバーなんでしょ。
今回は暁千星さん先頭に宇月颯・貴千碧・輝月ゆうま・優ひかる・夢奈瑠音・蓮つかさ というメンバー。
宇月颯さんと大輝ゆうまさんとの”女装感”がハンパなく(笑)。
凪七さん、今回も出ていましたが、女装ポジではなく、白い衣装のオルキデアで珠城さんとデュエットダンス。もう娘役にしか見えない。

凪七さんはドラキュラもやっていて、これもとてもハマっていました。
今回、お芝居、ショー通じて凪七さんの活躍と力量が光った印象です。
ドラキュラの場面で大階段のところで歌っていた2人の歌がとてもお上手だったので後で調べたら
大輝ゆうまさんと晴音アキさんでした。ステキなヴォーカル。
あと、ドラキュラの餌食になるカワイイ少女が叶羽時さん。

珠城さんはもちろんセンターで大活躍だしバレンチノもカッコよく似合っていました。
ドーンとしているので(笑)すでにトップの風格さえ感じます。
客席から登場するライオン珠城さんと愛希さんのシマウマの場面もよかったな。
2人とも踊れるし歌えるのでいいコンビになりそう。
デュエダンで愛希さんがリフトされるの、久しぶりに見た気がします(汗)。

エトワールは宇月颯さん。
宇月さんはショーの中でも歌う場面結構あってご活躍。
この方も歌よしダンスより演技よしで、月組 人材豊富だなぁと思った次第です。


プロローグと中詰で2回客席降りがあったのですが、私の席が後ろの方であまりカンケイなかったこともあってか、客席がおとなしい・・お行儀よい印象。(星組だったらひゃあひゃあ大騒ぎだったと思うの) のごくらく地獄度 (total 1537 vs 1544 )

posted by スキップ at 23:16| Comment(2) | TrackBack(0) | TAKARAZUKA | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いよいよ明日観に行きます!
珠城さんトップ決定に地元は沸いてますよ~(私の周りだけ?)

初演も再演も観ていますし、先日の花總まりさんのソロコンでカルメンの歌を聴いたこともあり、楽しみで楽しみで。

お席も通路側だし、ショーの客席下りでは盛り上がるぞー!
Posted by めめねず at 2016年03月26日 19:19
♪めめねずさま

おー、名古屋公演!
珠城さんは蒲郡市出身でしたね。
カーテンコールのご当地出身者紹介で紹介されますね。

珠城さんのホセも愛希さんのカルメンもとてもよかったのでお楽しみに!
通路側うらやましい。
また今度ご感想聞かせてくださいね。
Posted by スキップ at 2016年03月27日 11:54
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