2016年03月20日

附けの會☆大阪 ”学びの一楽”

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附け打ちの山﨑徹さん主催のワークショップ
「附けの會」にお知り合いに誘っていただいて参加してきました。
以前から興味があったのですがなかなかスケジュールが合わず、今回初参加です。


附けの會☆大阪 ”学びの一楽”
二〇一六年弥生 花形役者×附け
出演: 尾上右近
学び人: 山﨑徹 と参加者

2016年3月19日(土) 5:30pm フォルテダンススタジオ


今回は「ワンピース」公演中の尾上右近くんがゲストということで大人気。
50名定員のところ、70名近くの参加となったそうです。
座席は当日受付で抽選だったのですが、なーんと、最前列を引き当てましたひらめき

山﨑さんは附け打ちの正装。
まずは迫力の附けを一節。
とにかく目の前なのものですから、音の響きの迫力、ハンパない。
ビンビン迫ってきます。

右近くんも着物に袴で登場です。
入場の音楽は「TETOTE」。
右近くんってば、両手を頭上でクラップして手拍子煽っていました。

山﨑さんが「未来」「過去」「挑戦」「同世代」「快感」などあらかじめ決めたテーマを壁に貼っていらして、その中から一つずつ選んで右近くんに語ってもらうという趣向。

右近くんの当意即妙なトークもさることながら、一方的に聴くばかりでなく、山﨑さんも附け打ちさんの立場から話を広げられ、ひとつの動きやツケについても附け打ち、役者、双方の視点からのお話、とても興味深かったです。

たとえば、山﨑さんが「附け打ちは音楽ではないので、はみでたほうがおもしろい。足音とかもきれいにぴったりだったらかえっておかしい。傍若無人なところがないと」とおっしゃったら、右近くんも「確かにそうです」と。

右近くんは以前四国で大衆演劇に出演されたことがあるそうですが、「歌舞伎との違いは?」という質問に、「それは音の違いですね。僕らは生演奏で合わせて貰って見せ場作るんですけど、大衆演劇はテープですから」とおっしゃていました。

右近くんは「対面」の五郎と船弁慶の引っ込みをやってくれたのですが、船弁慶の時は山﨑さん、「好きな時に始めて」とおっしゃっていました。
それでも動きにピタリと合う附け、凄いです。
ちなみにこの船弁慶、私の目前でぐるんぐるんだったのですが、右近くん、何だかいい匂いしました(笑)。

以前、山﨑さんに教えてもらったという附けも披露してくれました。
「まだ覚えてた」ですって。
南座に出演中に朝9:30ごろから練習していて、玉三郎さんに「バタバタやってんの誰だい?」と言われたのだとか(笑)。

それまで話していた声が台詞になると(当たり前だけど)ガラリと変わるのにも感心。
右近くんは女方もされるので、その両方の声もやってくれましたが、ほんと、歌舞伎役者さんの声って凄いな。

ここで右近くんプチ情報
1. 実は人見知り
2. ほんとは高い所苦手

今回のワンピースが初めての宙乗り。
三階から舞台への逆方向宙乗りなので「急に高いんですよ」と。
「絶対安全が保障されていないとイヤなんです」とおっしゃていました。
「でもお客様の前だと怖くない」ですって。
あの回転している時はそれに注力しているので高さは忘れて楽しいのですって。

ワンピースつながりで言えば、好きな場面は「お前に助けられる日が来るとはな」のところだそうです。
エースがルフィに言う台詞ですね。
「いつか先輩たちに言われてみたい」と。

スーパー歌舞伎「ヤマトタケル」では猿翁さんが「宇宙の音を出してください」と附け打ちさんにおっしゃったのだとか。
言われた附け打ちさんは鉄板で練習したりしたそうです。
「猿翁のおじちゃま素晴らしい」と右近くん。

附けは基本的に音より「間」です、と山﨑さん。
どれくらい間を取るかで附けも変わってくる、というお話に納得。
バーッタリのツケが役者さんやお家によっていろいろ違うというお話もおもしろかったです。
中村屋さんには特有の「カスミ打ち」というのがあって、それを山﨑さんが実際に打ってくださいました。


IMG_3847.jpg附け板の右に重ねられているのが柝。
試しに持たせていただきました。
結構ズシリと重い。
「阿弖流為」ではこれをあんなに連打するなんて・・・。


右近くんは昨年「研の會」という自主公演を始めて「鏡獅子」を踊ったのは「鏡獅子」は歳を重ねたらその時なりの踊りを踊りたいけれど、逆算すると今の年齢のうちに始めておかないと、と思ったからだそう。
まだ23歳と若いのにしっかりしていて聡明で、謙虚によく勉強していて、先々いろんなことを考えているのに感心。
先日の松也くんのトークの時にも感じましたが、気負うでもなく、物おじするでもなく、とても自然体で、今の若者はほんとトークがお上手。

「同世代」というテーマでは
「自分は歌舞伎役者の子として生まれたわけじゃなくて、清元と歌舞伎との選択肢の中、歌舞伎役者を選んだ。いわゆる御曹司で歌舞伎に“選ばれた”というのとは違う。教えてくれる親がいないのは悔しいし負けたくない。切磋琢磨して、互いにないものを見つけていこうよと言い合っています」と。
右近くんと同世代の歌舞伎役者さんはたくさんいますが、学校も同じという米吉くんと種之助くんの名前を挙げていらっしゃいました。

「予期しないことのかたまりで今がある。思い通りにいかないことのほうが面白い」なんて、若いのに何て示唆に富んだ言葉なのでしょう。
若い頃の話をしていて、「波打ち際にいて海を泳いでいると思っていた。海の広さとか全然知らなくて」という表現をしていらっしゃったりも。
本当に聡明な人だなぁと思いました。

そして「快感」というお題・・・歌舞伎役者としての快感は?という問いに
「こうして皆さんが僕のことを好きでいてくださることです」って言ってにっこり笑うとか、ほんと、おばちゃん殺しわーい(嬉しい顔)


集合写真を山﨑さんがfacebookにアップしてくださっています。
例によって私もしっかり映り込み(笑)


追記: こちらにTwitterに投下された感想をまとめていただいています。


「研の會」 染五郎さんが出演するからだけでなくほんとに観に行きたいな のごくらく度 わーい(嬉しい顔) (total 1535 わーい(嬉しい顔) vs 1542 ふらふら)
posted by スキップ at 21:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 歌舞伎・伝統芸能 | 更新情報をチェックする
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