2016年03月10日

人ではなく鬼でもなく 「刀舞鬼 -KABUKI-」

kabuki.jpgEXILEのパフォーマーだったMATSUこと松本利夫さんが昨年独立して立ち上げた「劇団EXILE 松組」の旗揚げ公演。

松本利夫さんといえば、NHKのドラマ「神様の女房」(2011年)で、常盤貴子さん演じる松下幸之助夫人の弟にして後の三洋電機創業者となる井植歳男役を演じていた時、「誰?この人」「EXILEの人なんだって~」と言ったことが印象に残っているくらいで、EXILEのこともMATSUさんのこともほとんど知らない私です。
お目当ては早乙女太一くんでしたが、開演前のロビーはEXILEファンと太一ファンが入り乱れてさながらカオスでした。


劇団EXILE 松組 第1回旗揚げ公演
「刀舞鬼 -KABUKI-」
ゼネラルプロデューサー・演出: EXILE MATSU
作: 渡辺啓
音楽: 中野雄太
出演: 松本利夫  早乙女太一  島袋寛子  丸山敦史  早乙女友貴  
黒川忠文(アンバランス)  山本栄治(アンバランス) ほか

2016年3月6日(日) 5:00pm 森ノ宮ピロティホール L列下手


物語: 戦乱の世にまるで刀で舞っている鬼神の様だと怖れられた忍びの集団「刀舞鬼」。
人間を寄せ付けず人里離れた場所で静かに暮らす刀舞鬼一族の舞の名手 鬼丸(松本利夫)と一族随一の剣の遣い手 数珠丸(早乙女太一)はともに菜切(島袋寛子)に思いを寄せていましたが、ある日2人の体に異変が。
刀舞鬼一族の血を引くものは人間に慈愛を抱くと徐々に五感を失い皮膚はただれてやがて鬼と化してしまう、それを避けるためには愛した相手を喰らわなければならないことがわかります。菜切は実は人間なのでした。
人間と協調し、ともに生きることを理想とする鬼丸と、人間を恨み、皆殺しにすることが自分たちの生き残る道と考える数珠丸。
菜切をはさんで対立する2人は・・・。


「パフォーマーとしての経験を活かした音楽とダンスに溢れたエンタテインメントな舞台」
「テーマは殺陣と舞の融合」
なのだとか。
ダンス、殺陣、歌、それに和太鼓と、それぞれに秀でた人が秀でたスキルを披露。
MATSUさんのダンスとか島袋寛子さんの歌とか、こんな機会がなければナマで観たり聴いたりすることもなかったのではないかなと思うと、よいものを見せていただきました。
殺陣はともかく、いきなり踊り出すのはどーよ?と思ったものの、宝塚歌劇を見慣れていることもあってかそれほど唐突感なく物語の中にうまく収まっている印象でした。

オープニングで、「鬼丸」「数珠丸」と書かれた大垂れ幕がステージ上にザッと降りて来て、それに合わせて上手から鬼丸、下手から数珠丸が客席通路を歩いて登場・・・というのはテンション上がりました。下手通路側だったし。「きゃ~揺れるハート」という歓声もあがっていて、「ライブのノリか?」と少しビビりましたが。物語は桃太郎の鬼退治の原典と言われいる「温羅伝説」をベースにしているようです。
数珠丸が記憶を消されて生まれ変わった人物が吉備津彦(きびつひこ)という名前で、桃太郎みたいな扮装してって、ワカリヤスイ。

いろいろ盛りだくさんありつつも、まぁこうなるだろうと予想通り進む物語の中で、MATSUさんが一番訴えたかったテーマは、「争いは争いを生むだけ」ということでしょうか。
鬼丸、何回も言ってたし。
人間との共存を目指す鬼丸が、「俺はお前を殺す」と言っていたのは、文字通り数珠丸の命を奪うことではなくて、数珠丸の角を切る、つまり鬼ではなく人間として生きさせるという気持ちだったということも、いかにもヒューマンな鬼丸らしい行動でした。

ただ、報復の連鎖とか争いの虚しさ的なことはこれまで古今東西数々の物語のテーマとなっていて、「知っているよ」感満載な上に、それを延々と直球の台詞で語られてもなぁ。
五感のうち四感まで失って、数珠丸に何度も何度もズバッ、バシッと斬られて、瀕死の鬼丸・・・いつまで語るねん、と(ファンの方、ごめんなさーい)。

それにしても、鬼丸も菜切も仲間もみんな死んじゃって、一人生き残ったけれど角を切られて自分が忌み嫌っていた人間として生きなければならない数珠丸はこの先どうするのかとても心配(完全に贔屓目線)。
ラストでも「うん。鬼丸、お前の言う通りだ!」と改心したようには見えませんでしたし(笑)。

舞台の構成でいえば、客席いじりとか自由にやってもいい楽屋落ち的なお笑いコーナーが、この舞台に限らず、個人的に甚だ苦手。
この日はスペシャル公演でしたのでゲスト登場したりして特に長かったあせあせ(飛び散る汗)
大包平さま(アンバランスの山本さんの方?)が飲むお水が日本酒にすり代わっていたなんていうのは千秋楽らしい愉快なイタズラとしても、公開プロポーズとかマジ勘弁していただきたいです。

飛び入りゲストは、EXILEの橘ケンチさん、小林直己さん、世界さん、そしてATSUSHIさん。
(まぁワタシはATSUSHIさん以外の3人はわからなかったのですが)
ATSUSHIさんはさすがに大物感あって、登場した時の会場の歓声がハンパなかったです。
カーテンコールの時、MATSUさんも「あっちゃんは本当にびっくりした」とおっしゃっていましたので、リアルサプライズだった模様。


MATSUさんこと松本利夫さんはさすがに身体能力高くて、お得意のダンスはもちろん、ラストの数珠丸との殺陣もよく動いて迫力たっぷりでした。
うん、エンタティナーという感じ。
私がイメージしていたよりワイルドな印象でした(記憶の中では井植歳男のままだったし)。
それから、ATSUSHIさんとの会話やカーテンコールのご挨拶などから滲み出るいい人感がハンパない。きっと組長として周りからも慕われ頼りにされているのだろうな。
この打ち上げでの1枚に添えられた太一くんへのコメントも泣かせてくれます。
太一くんの穏やかな笑顔からも心許している感が・・・。


早乙女太一くんの殺陣を観るのは何だか久しぶり~と思ったのですが(2014年春「蒼の乱」と秋の「ALL JAPAN TOUR」以来でした)、相変わらずキレッキレで見惚れます。
久しぶりに観た扇遣いも剣舞もステキでした。
もちろん、運命を背負った哀しい鬼としても舞台に息づいていて。
劇中劇?のジュリエットでは女声も聴かせてくれたり。

冒頭、”人間”3人組と激しい殺陣があって、キャストもよく知らないし、動き速くて顔もよく見えなかったのですが、2人で対決始めたらその相手が友貴くんだとすぐにわかりました。
やはりこの兄弟の殺陣は他を寄せ付けないものがあって、いつ観てもゾクゾクします。
今回、太一くんが殺陣師と殺陣をつけ、殺陣指導もされたということですが、友貴くんが相手の時は本気度がアガっているように感じます。
それにしても友貴くん、太刀筋ばかりでなく佇まいまで太一くんに似てきたなぁ。

「また新しいことを勉強してこうして皆さんとお会いできるようがんばります。次の舞台は・・まだ何も決まっていないんですけど・・次の舞台がある時はまた観に来てください」とカーテンコールの太一くん。
もっともっと活躍の場が広がることを切に願っています。


カーテンコールの時にMATSUさんが「ファンクラブのためにいいですか?」と言ってみんなで撮った写真がInstagramにアップされていました。
座席にいる自分を発見して爆笑わーい(嬉しい顔)
会社の後輩にも「スキップさん、こういうのに写り込む確率高いですよね~」
と言われましたが、我ながらそう思います。
よい記念になりました。

kabukifinal.jpg



楽しかったけど終演1時間押しってどーなん? の地獄度 ふらふら (total 1529 わーい(嬉しい顔) vs 1535 ふらふら)
posted by スキップ at 23:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 演劇・ミュージカル | 更新情報をチェックする
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