オスカー・ワイルドの「まじめが肝心」という喜劇をを原作に、1960年にオフ・ブロードウエイで上演されたミュージカル。
宝塚歌劇では2005年に月組の瀬奈じゅん・彩乃かなみコンビの披露公演として上演され、花組の樹里咲穂・遠野あすかコンビで再演されたそうですがいずれも観ておらず、昨年、明日海りお・花乃まりあのプレお披露目公演として東京国際フォーラムで上演されましたがこちらも観ていなくて今回初見。
花組の次回大劇場公演「ミー&マイガール」と似た雰囲気の古きよき時代のミュージカル。
ちょっとラブコメっぽい明るいハッピーミュージカル。
明日海さんの雰囲気にもぴったり。
宝塚歌劇花組公演
ミュージカル 「Ernest in Love」
Book and Lyrics by ANNE CROSWELL
Music by LEE POCKRISS
原作: オスカー・ワイルド 脚本・作詞: アン・クロズウエル 作曲: リー・ポクリス
日本語脚本・歌詞・演出: 木村信司 翻訳: 青鹿宏二
出演: 明日海りお 花乃まりあ 芹香斗亜 鳳月杏 城妃美伶 花野 じゅりあ
夕霧らい/悠真 倫 ほか
2016年2月11日(木) 12:00pm 梅田芸術劇場メインホール 1階15列下手
今回、アルジャノンとセシリィが役替りとなったことも話題ですが、鳳月杏さんのアルジャノンを観たかったので、Cパターンを選びました。
アルジャノン: 鳳月杏 (芹香斗亜)
セシリィ: 城妃美伶 (音くり寿)
舞台は19世紀末のロンドン。
田舎に住む青年貴族ジャック(明日海りお)はロンドンの貴族令嬢グウェンドレン(花乃まりあ)と恋仲です。
グウェンドレンが従兄弟でジャックの親友でもあるロンドン育ちの貴族アルジャノン(鳳月杏)の家に母親のブラックネル夫人(悠真倫)とお茶に来ると知り、今日こそプロポーズしようとしていました。
ブラックネル夫人からはシャックが孤児であった出自のため結婚を反対され、また彼はロンドンでは「アーネス」トという架空の弟の名前を名乗っていたため、騒動が持ち上がります・・・。
ミュージカルらしく舞台上のオーケストラの演奏から始まり、そのオーケストラが天井から下りてきた鳥かごにすっぽり収まるというセット。
一幕はロンドン、二幕はアーネストの故郷ハートフォードシャー・ウールトンで物語は進みます。
アーネストを名乗っているジャック。
「ジャックなんていう名前の人とは結婚しない」と言うグウェンドレン。
アーネストになりすましてセシリィの前に現れるアルジャノン。
アーネスト(ジャック)の婚約者だというグウェンドレンにアーネスト(アルジャノン)は自分のものと敵意を見せるセシリィ。
誤解が誤解を呼んでややこしい騒ぎになりながらも最後には「実は・・」などんでん返しもあって絵に描いたようなハッピーエンド。
少し怖めのブラックネル夫人はいるものの、本当に悪い人は誰もいなくて、明るい気分になる軽いタッチのコメディでした。
セットもどことなくパステルカラーで、この時代の貴族の衣装も宝塚にはぴったりです。冒頭は、執事レイン(芹香斗亜)が狂言回し的な役で登場人物などを紹介。
この芹香さんが長身に黒服が映えて、とてもカッコよかったです。
去年はアルジャノン シングルキャストだったのにどうして今回役替り?と物議をかもしていましたが、このレインも素敵な役だと思います。
芹香さん、余裕でこなしている感じ。
2階でプロポーズどうしよう、膝をついて・・とか一人であれこれやっている明日海さんアーネストはすごくキュート。
いかにも好青年で、ちょっと能天気でヘタレだけど決して頭は悪くなくて グウェンドレンが「こどものようなひとがスキ」と歌う、そのままの本当に愛すべきキャラクター。
明日海さんがトップになってから演じた役の中では一番というくらいにハマっているのではないかしら。
のびやかな歌はもちろん、クルクル変わる表情を見ているだけでも楽しかったです。
グウェンドレンの花乃まりあさん。
ちょっと勝気な貴族のお嬢様がよくお似合い。
花乃さんは、楚々とした悲劇のヒロインよりこんな役の方がよく合う気がします。ミーマイのサリーもイケそう。
歌もお芝居も上手いし、美人さんなのですが、いつもながらメイクと髪型が惜しいなぁ。老けて見えて損をしている感じ。
そうそう、セシリィと一緒階段を上って行くとき、ちょっとつまづいて転びそうになってヒヤリとしましたが、次に2人で登場してその階段を降りる時には、「気をつけるのよ」とセシリィに言ってました。
そのあたりの機転の効き方もなかなかでクレバーな人なんだろうな。
城妃美伶さんのセシリィは18歳で田舎の貴族でグウェンドレンより少し野暮ったくつくっていたのが成功。
でも結構したたかで、グウェンドレンをお姉さまと持ち上げたり、バチバチやったりしていてもセシリィの方が一枚上手のように見えました。
もちろんアルジャノンとの恋の駆け引きも。
グウェンドレンとセシリィ 2人だけのナンバー「初めて見たときから」楽しかったな。
「ガイズ&ドールズ」サラとアデレイドのシーンでも感じたのですが、こんなふうに娘役だけのナンバーがあるのは海外ミュージカルならではだな。
男役中心の宝塚オリジナル作品ではなかなか見られない場面です。
そしてアルジャノン 鳳月杏さん。
芹香さんのアルジャノンを観ていないので比較はできないのですが、とてもよかったです。
いかにも都会の貴族といった洗練された物腰。
あの長い脚は武器ですが、何だかとても色っぽいです。
私だったら断然アルジーだなぁと思わせるものが鳳月さんから出ている(笑)。
歌も上手いし、無表情の時のちょっとクールな感じと笑顔とのギャップもいいです。
鳳月さんの執事レインも観てみたかったです。
キュウリサンド食べたりマフィン食べたり大変そうですが、この日のキュウリサンドの場面。
アーネスト: キュウリを毎日食べるとインフルエンザにならないんだ。
アルジャノン: ほんとに?
アー: ウッソ~(笑)
アル: ・・・
アル: えぇ~っと、どこまでやったっけ?
・
・
アー: でもちょっと立ってみて。
アル: (黙って立つ)
アー: キュウリを毎日食べると脚が長くなるんだ。
アル: (照れ笑い)
奔放 明日海りおに翻弄される鳳月杏。2人とも可愛かったです。
この5人以外に印象に残ったのは何といってもブラックネル夫人の悠真倫さん。
まりんさんの威厳のある貴婦人役は昨年の宙組バウホール公演「相続人の肖像」に続いてかしら。
本当にハマリ役でした。
台詞も歌も迫力たっぷり。
「ハンドバッグは母親じゃない」「手荷物預かり所は父親じゃない」ってちょっと笑っちゃうけど。
フィナーレの男役群舞では男役に戻って黒燕尾で踊ってらしたと思うのですが、アレまりんさんじゃなかったかな?
そのフィナーレ。
最初に、明日海さん、そして芹香さん、鳳月さんと一人ずつ加わって3人で踊るとこ超カッコよかった!
デュエットダンスは、明日海・花乃 & 芹香・城妃 の2ペア。
ここは役とは関係ないのですね?
いや、役替りなんだから、ここも鳳月さんでよかったのでは・・(別にキキちゃんをdisっている訳ではありません)。
このシーン、乙羽映美さんの綺麗なソプラノも聴き応えありました。
ダンスといえば、劇中、金髪のロケットガール出て来て「やたら大きい。あれ、男役?」と思ったのですが、それが名物コーナーだったのですね(笑)。
とにかく明るいアーネスト。安心してください、ハッピーエンドですよ のごくらく地獄度 (total 1521 vs 1522 )
2016年02月18日
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください
この記事へのトラックバック