
少人数のキャスト、全曲オリジナルナンバーと一流ジャズメンの生演奏、小粋でお洒落な大人のミュージカルですが、残念なことに第3弾の今回がファイナルなのだそうです。
パルコ・ミュージカル・シアター
「恋と音楽 FINAL」 ~時間劇場の奇跡~
作・演出: 鈴木聡
音楽: 佐山雅弘
出演: 稲垣吾郎 真飛聖 北村岳子 福本伸一
杉ありさ 小倉久寛
演奏: 佐山雅弘 (Pf.) 高橋香織 (Vn.) バカボン鈴木 (B.) 三好“3吉”功郎 (Gt.) 仙波清彦 (Perc.)
2016年2月6日(土) 7:00pm シアター・ドラマシティ 14列センター
毎回シチュエーションが異なるミュージカル。
私は、2013年1月に第1弾を観て、第2弾は予定が合わず、今回が2度めの「恋音」です。
開演前に佐山さん率いる生バンドの演奏が始まるのもいつも通り。
一流ミュージシャン揃いのバンドですが、ドラムなんて仙波清彦さんですよ。
この演奏を聴くだけでもとっても贅沢な気分になります。
第1弾でミュージカル作家、第2弾ではマネージャーを演じた稲垣吾郎さん。
今回の役どころはミュージカル俳優。
舞台はとある地方都市の劇場 グッドタイムシアター。
全国をツアーでまわり、今宵千秋楽公演の幕が上がろうとしている劇場の楽屋が舞台です。
このミュージカルの主演コンビ修司(稲垣吾郎)と麗子(真飛聖)は、周囲には犬猿の中を装っていましたが、このツアー中に熱烈な恋に堕ちていて、この舞台が終われば、修司は麗子にプロポーズしようと考えていました。
2人が楽屋の片隅にあった大きな時計を壊してしまったところ、突然、謎の中年男(小倉久寛)、続いて中年女(北村岳子)が現れ、2人に「絶対結婚してはダメ」と言います。やがては若い女の子(杉ありさ)まで現れて・・・。
「時間劇場の奇跡」というサブタイトルがぴったりの物語。
時のマジックと大人のファンタジー。
寓話的だけど、本当にこんなことあるかも、あったらステキね、と思わせるストーリーです。
シェイクスピアメモリアルイヤーらしいエッセンスも散りばめ、もちろん歌と踊りと音楽もたっぷり。自分たちの不幸な未来を見せられて、それでも敢えてその同じ道を選択する修司と麗子。
今の自分たちの気持ちを信じて。
舞台がはねてから楽屋で指輪を渡してしようと思っていたプロポーズを、カーテンコールで、観客の前ですることに・・っていうのもシャレていました。
そうして迎える30年後のハッピーエンディング。
とても勇気づけられ、幸せな気分になれるラストでした。
出演者6人のカンパニーですが、皆さんイキイキ。
真飛聖さんはもうすっかり綺麗なお姉さんだし、小倉さんは熊みたいだし(笑)、杉さんは驚くようなヴォーカリストだし。
カンパニーとしてのアンサンブルもよくてとても温かい雰囲気でした。
そして、稲垣吾郎さん。
シェイクスピアの古典劇風の衣装もよくお似合いでリアル王子様。
ちょっと自信家だったりとぼけていたり、傲慢だったり繊細だったり可愛かったり
という修司のキャラクターがどこかゴローちゃんに重なって見えたりも。
歌も相変わらずいいお声です。
この公演は、SMAPの例の騒動の直後の舞台で、精神的にもハードな時期だったのではないかと想像しますが、「え?何かあったっけ?」とでも言うように飄々と涼しい顔して最高のパフォーマスを見せてくれるゴローちゃんに惚れ直しです。
カーテンコールでは、客席の男性から「がんばれっ!」の声も飛んでいました。
カーテンコールといえば、稲垣さんは舞台奥のドラムスペースから出てくる仙波さんに手を差し伸べてエスコートしていました。なんてジェントルマン!
かと思えば、最後に一人再登場して「遅い時間なので気をつけて帰ってくださいね」とやさしい言葉を発した後、下がり過ぎてセットにぶつかって客席から笑い声が起こると、「わざとだよ!」と捨てゼリフ残して去るという・・・。
この二面性にみんなヤラレるのね。

大阪公演2日間だけでしたが、ロビーは色とりどりの祝花でとても華やか。
FINALなんて言わずに、スローペースでも続けてくれたらいいのに のごくらく地獄度



