2016年02月08日

この世界は劇場 人は誰もみな役者 宙組 「Shakespeare/HOT EYES!!」

shakespeare.jpg今年はシェイクスピア没後400年ということで、宝塚大劇場2016年の幕開けはそのメモリアル公演。
スケジュールの都合で、千秋楽近くの同じ日に2回観ることになってしまったのですが、この作品、とても好きでした。

シェイクスピア好き、演劇好き、英国王室もの好きにはツボがたくさん。
あの出会いの木とかバルコニーとか、舞台美術(二村周作さん!)もステキ。スモーキートーンの衣装も好み。
もっと早く観て、リピートしたかったな。


宝塚歌劇 宙組公演
シェイクスピア没後400年メモリアル
ミュージカル 「Shakespeare 〜空に満つるは、尽きせぬ言の葉〜」
作・演出: 生田大和
ダイナミック・ショー 「HOT EYES!!」
作・演出: 藤井大介
出演: 朝夏まなと  実咲凜音  真風涼帆  寿つかさ  純矢ちとせ  澄輝さやと  
愛月ひかる  桜木みなと/美穂圭子 沙央くらま ほか

2016年1月30日(土) 11:00am 宝塚大劇場 1階8列下手/3:00pm 2階5列センター



「Shakespeare 〜空に満つるは、尽きせぬ言の葉〜」

シェイクスピアの作品はほぼ読んでいて、舞台化されたものも好んで観る方なのですが、シェイクスピア自身についてはそれほど詳しくなくて、アン・ハサウェイという年上の妻がいたことくらいは知っていました。
この物語は、シェイクスピアとアンの夫婦愛を中心に、エリザベス一世統治下のロンドンで繰り広げられる人間模様。
親子の葛藤あり、宮廷の権力争いあり、権謀術数あり、役者たちの芝居への情熱あり。
そこにシェイクスピアの数々の名作が劇中劇としてうまくはめこまれていて、とても楽しく見応えありました。

物語の冒頭はロンドンの劇場。
今まさにウィリアム・シェイクスピアの新作が上演されようとしています。
新作のタイトルは「ロミオとジュリエット」

故郷のストラットフォードから息子のハムネットとともにやってきたシェイクスピアの妻 アンは舞台で繰り広げられる物語を観ながら驚いたようにその台詞を口にします。
そこに現れるシェイクスピア。
「これは僕たちの物語なんだ」と。
このオープニングの演出がとても洒落ています。
舞台上につくられたステージで演じるロミオとジュリエット。
シェイクスピアとアンが立つのは銀橋。

そこから舞台は一気に6年前、2人が出会った時に遡ります。あふれ出る言葉を台詞に託し、劇作家を夢見るも周囲の理解が得られず悶々とした日々を送るシェイクスピア。
意に染まぬ相手(名前はパリスわーい(嬉しい顔))との縁談から逃れ、木の上に隠れるアン。
2人の出逢いの場となった大きな木も、あのお祭りの場面の色とりどりの長いリボンも、アンの家のバルコニーも、本当に好き。
このバルコニーでアンが、シェイクスピアが話す言葉がそのまま「ロミオとジュリエット」の台詞と重なるところも、とてもよくできた脚本だなと思いました。

シェイクスピアの父は手袋職人で、領主に紋章を申請して賄賂を贈り、「ジェントルマン」の身分を得ようとしていました。
それを大衆の面前で侮辱される父。
日頃は父に反発していたシェイクスピアでしたが、
「夢を見て何が悪いんだ!」と飛び出していきます。
このシーンもすごくよかったな。
そして自分の劇作家の夢までバカにされて、
「いつか、女王陛下だって跪かせる」と。

領主を殴って大暴れして追われる身となり、アンにプロポーズしたもののついに捕らえ、追放処分となるシェイクスピア。
そんな彼を救ったのロンドンの貴族ジョージ・ケアリー。
ケアリーはシェイクスピアの書いた台詞の切れ端を拾って読んで、彼の才能を見抜き、ロンドンの自分の劇団で劇作をするよう勧めます。
「追放になったんだからどうしようと俺の勝手だ」って真風くんカッコイイ。

ところが、ジョージは政敵を打ち負かせようとシェイクスピアの言葉の力を使って大衆を扇動しようとしていて、「自分の望むものを書け」とシェイクスピアに強要。
シェイクスピアもそれに従って次々作品を書いて・・・
というところで、劇中劇でいろいろ演じられるのも楽しかったぁ。
「ジュリアス・シーザー」「夏の夜の夢」「マクベス」「ハムレット」・・。
ちゃんと役者はすべて男性という当時に則って、女役も男役が演じていて(ややこしい)、宝塚だからみんな女性なのですが、男役が女役を演じると何となく蜷川さんのオールメールみたいな趣きにもなって、ほんとおもしろかったです。

仕事の忙しさと裏腹に、アンとの心はすれ違い、アンはハムネットを連れて故郷へ帰ってしまいます。そこに息子のハムネットが病気で亡くなってしまうという不幸が重なり・・・。

ついに国王反逆罪で捕らえられ、ロンドン塔送りになるところを、ケアリーの必死の弁護で、もう一度芝居を書くチャンスを与えられるシェイクスピア。
「シェイクスピアの才能は宝です。自分たちはいいので、シェイクスピアだけでも助けて」と女王に訴えるケアリーに、「利用しようとしたばかりじゃなく、本当に才能を認めていたのね」と感心したり。

「妻も息子も失った自分にはもう言葉も出てこない」というシェイクスピアに、
宮内大臣一座の俳優 リチャードは言います。
「『この世界は一つの劇場。人は誰もがみな役者』とお前は言った。ならばお前がこの世界で演じるのは何の役だ?」

「芝居を書く」と答えるシェイクスピア。

こうしてエリザベス一世の前でシェイクスピア自身もケアリーや仲間も出演して披露されることになったお芝居。
でもまだ心に傷を抱えたままのシェイクスピアはラストがうまく書けず、
実際に演じてみて、女王にも「何だか中途半端だ」と言われてしまいます。
そこで、仮面をかぶって立っているだけの役のはずだったアンが話し始めます。

これ、すぐに「冬物語」だとわかって、唐沢寿明さん演じるレオンティーズ王と田中裕子さんの王妃ハーマイオニがありありと目に浮かんできました。
後で調べたら、2009年2月に観ていました。
もう7年も前なのか(遠い目)

とにもかくにも、2人の夫婦愛にエリザベス女王は心打たれ(ここの美穂圭子さんの表情よかったな。最初は見定めるようにツンとすまして観ていたのに、だんだん泣き顔になって・・)、シェイクスピアはジェントルマンの紋章も与えられてめでたしめでたし。
この時、女王がケアリーに言った言葉もとても印象に残っています。
「才能を見抜くのもまた才能」

沙央くらまさん演じるリチャードが時の精で、登場人物たちのその後を語ってくれるラストもちょっぴり切ない余韻があってよかったです。


朝夏まなとさんはとてもバランスのとれたトップスターだと思います。
元々お得意のダンスに加え、歌、演技ともハイクオリティに安定。
長身で長い手足、輝く大きな瞳、ビジュアルも完璧。
長髪を束ねた髪型もとてもよくお似合い。
荒削りだけど情熱と夢を胸に抱いた青年シェイクスピア。
売れっ子作家となって、時に自分を見失ってしまうシェイクスピア。
自分にとって本当に大切なものを見つけ出すシェイクスピア。
どのシェイクスピアも等身大に感じさせてステキでした。

実咲凜音さんも穴がない美しい娘役さん。
特に歌は本当にうまいばかりでなく、とても耳に心地よい歌声です。
シェイクスピアと出会った娘時代と、妻となり母となって落ち着いた雰囲気との演じ分けもお見事でした。

髭をたくわえたジョージ・ケアリーの真風涼帆さんは、ほんと、いいオトコになって。
(これ、何回言ったことか)
星組でビジュアルいいのにちょっぴりヘタレ(笑)時代からずっと観てきたので、
あのカッコよさには感無量です。
朝夏さんとの太陽と月といった雰囲気のバランスもよくて、とてもいい1、2コンビだと思います。

バランスよいといえば、真風さんと伶美うららさんのカップル。
伶美さんの圧倒的な美しさは、ともすれば男役が負けてしまうように感じることもあるのですが、真風くんにはもちろんそんなことなくて、互いに引き立て合ってとてもゴージャスなカップルでした。

ちょっとマクベス夫人入ってるクールビューティうららさん。
「ベス 君はいつも僕を奮い立たせてくれる」には笑わせていただきました。
銀橋の2人のシーンで、真風くんだけしか歌がなかったのは、理由はわからないでもないですが、さすがにちょっと・・・。

もう一人、忘れちゃならない美穂圭子さんのエリザベス一世。
あのラスボス感ね(笑)。
女王としての威厳も存在感もたっぷり。
歌はもちろん圧倒的ですが、ビジュアルもよく研究されていて、まるで肖像画から抜け出してきたようなエリザベス一世でした。


IMG_0531.jpg


「HOT EYES!!」

朝夏まなとさんの大きく真っ直ぐな“瞳”。
その瞳に宿る、輝きや情熱から受ける様々なイメージをテーマにしたショーなのだとか。
全場面大階段使用(33年ぶりなんだって)ということでも話題のショーです。

オープニングが実咲凜音さん中心に娘役さんワラワラで、朝夏さん登場までに結構時間があって新鮮。


IMG_6942.jpgワタシ、11:00公演は8列目ながら下手の、本当に端っこの席だったのですが、着席してふと見ると横にこんな階段が。
「えっ!もしかしてここから客席降り?」とヒソカに楽しみにしていたら、いきなりガンガン降りてきたよね。
このあたりは下級生ばかりなので、お名前は全然わからなかったのですが(ごめんなさい)、笑顔のジェンヌさんたち何人とハイタッチしたことか。
いや~、テンションあがりました。

テンションあがったといえば、「瞳」をテーマにしたメドレーは、「め組のひと」「ダイヤモンドアイズ」「天使のウインク」「君の瞳に恋してる」・・と私たち世代にはちょっと懐かしい曲揃いで、ここでもテンショングッド(上向き矢印)

朝夏さんが客席降りしながら歌うのは「キッスは目にして」。

11:00公演は七海ひろきさんが観劇されていて、七海さんといえば元宙組で朝夏さんともよくコンビを組んだ仲。
一瞬通り過ぎて「からまないの?」と思わせておいて、 ♪あ~なたの 鼓動を~ のところで 七海さんのお顔を両手でガバッとつかんで引き寄せ、左右にブンブン振っていました。
かいちゃん 大喜びわーい(嬉しい顔)

ドラマ仕立ての場面が「Dark EYES」「Mysterious EYES」の2場面。
Dark・・・の方では、伶美さんを巡る朝夏・真風の三角関係と思いきや、最後、朝夏さんが真風くんにキスして真風くんが椅子の上フニャッとなって終わるという・・どういう設定?(笑)
「Mysterious・・・」の方は、朝夏さんジャガーが死んでしまった後、光の精の場面を経て、生まれ変わり?のように現れるダンサーが印象的。
「Forever EYES」というこの場面、ショパンの「ノクターン」の曲にのせて、裸足で踊る朝夏さん。
こんなダンス見たの、柚希さん以来かしら。やっぱり踊れるトップっていいな。

歌ではやっぱり美穂圭子さん。
曲によって歌い方や声もガラリと変えていて、正統派の歌もロックなビートも何でも完璧。

大階段については、時々幕が降りていたりするので、それほど「大階段常時出っぱなし」という印象はありませんでした。


3:00の部 ANA貸切 朝夏まなとさんご挨拶
「・・・私も飛行機を利用する時はいつもANA様です。これからもANA様と宝塚歌劇を、特にANA様とご縁のある そらぐみ をよろしくお願いいたします」
ウマイぴかぴか(新しい)



お芝居方が好きすぎて、ショーの印象弱まっちゃったかなぁ のごくらく地獄度 わーい(嬉しい顔) ふらふら (total 1513 わーい(嬉しい顔) vs 1515 ふらふら)
posted by スキップ at 23:24| Comment(0) | TrackBack(0) | TAKARAZUKA | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください

この記事へのトラックバック