2016年01月29日

こんな竜也くん、新鮮 「とりあえず、お父さん」

toriaezu.jpgイギリスの国民的喜劇作家 アラン・エイクボーンが1965年に発表した傑作4人芝居。
藤原竜也くんはこの作品が翻訳コメディ初挑戦。

どういう経緯でこの仕事をすることになったのか(笑)わかりませんが、とにかく、絶叫したり、絶望の淵に沈んだりしない藤原竜也くん 新鮮でした。


「とりあえず、お父さん」 
(原題: Relatively Speaking)
作: アラン・エイクボーン
上演台本: 藤井清美
演出: 綾田俊樹
出演: 藤原竜也  本仮屋ユイカ  浅野ゆう子  柄本明 


2016年1月23日(土) 12:30pm シアター・ドラマシティ 3列上手

物語: 舞台は1960年代のロンドン。
グレッグ(藤原竜也)はパーティで出会ったジニィ(本仮屋ユイカ)に夢中で結婚も考えていました。ジニィも同じ気持ちでしたが、彼女は過去に年上の不倫相手がいて、関係の清算に揉めている様子。
そんな中、実家の両親に会いに行くというジニィに、グレッグは両親に結婚の挨拶をしようとジニィに内緒で後を追います。柳の木が目印のフィリップ(柄本明)とシーラ(浅野ゆう子)夫妻が暮らす家に、グレッグが先に到着して・・・。


現代翻訳劇も少人数のシチュエーションコメディも実は苦手。
竜也くんのコメディが観てみたいというだけでチケット取ったのですが、思っていた以上におもしろかったです。

場面は2つに分かれていて、まず最初はジニィの部屋。
ベッドから起き出す竜也くんグレッグ、いきなりセミヌードなのですが、サービスショットですか?(笑)
肌がキレイ。そして二の腕が意外にたくましくてちょっとドキリ揺れるハートとしました。

実家に帰るジニィに「絶対ついて来ちゃダメ!」と言われて、すったもんだの挙句、出かけたジニーを追いかけてグレッグも住所メモを頼りに向かうまで。
ここの2人の会話が活き活きしていて楽しい。
「朝は紅茶を飲まないと目が覚めないの」といういかにもイギリスっていう台詞も。
竜也くんが何だか素朴というか、今イチイケてなくて人はいいけど頭は・・・みたいなキャラクターでかなり新鮮。

2人が別々にロンドンから Buckinghamshire へ向かうまで、セットチェンジの間にスクリーンが降りてきて、列車の車窓を流れるイギリスの田園風景の映像が映し出されるのですが、観ている私たちも一緒に旅しているような気分になるステキな演出でした。

そうして到着したフィリップ邸の緑あふれるイングリッシュガーデン。
とてもつくり込んであって、これもステキでした。
ここで展開される物語。フィリップとシーラをジニィの両親と思い込んで疑わないグレッグ。
フィリップこそがジニィの不倫相手で、彼の方はまだジニィに未練タラタラ。
なのにグレッグを妻のシーラの不倫相手と勘違いして嫉妬したり。
グレッグに本当のことを知られたくなくてその場を取り繕うジニィ。
夫とジニィの関係も、みんなの勘違いにも全く気づかないシーラ。

それぞれの会話が微妙にすれ違ったりしながらも、言葉のキャッチボールで会話が成立し、差し出された言葉の意味が全く別物として受け止められ、誤解が積み重なっていくおもしろさ。
気づかないのがまどろっこしくて、ちょっとイラッとすることもありましたが、おかしさに声をあげて笑うこともしばしば。
いろいろツッコミどころもありながら、最後はハッピーエンドで明るい気分にもなりました。

天然というか、フィリップとジニィが取り繕った嘘に全く気づかない、いかにも裕福な奥様然としたシーラが、スリッパの一件だけで、フィリップもグレッグも知らない、ジニィの別の男の存在に気づいてひとりニンマリする、なんていうラストも気が効いていました。

それにしてもなかなかしたたかなジニィ、実際に結婚することになってグレッグを本当の両親に会わせる時はどうするのかしら。


役者さんはさすがに洗練。
頭ボザボサだったり、デレデレしたりヘラヘラしたりしている藤原竜也くんがとにかく新鮮。
いつもと全く違うタイプの役なのですが、冴えない男に見えてしまうところがさすが。
すごく声を張ったりする台詞もないけれど、ちゃんと聞き取れる台詞術も健在。
もしかしたら、もうこんな役の竜也くんを観ることはないかもしれないと思うと貴重でした。

ジニィは気が強くてしたたかで、ともすればイヤな女に見えてしまうのですが、そう感じさせないのは本仮屋ユイカさんの清潔感と凛とした雰囲気の賜物かも。
舞台を拝見するのは初めてで、よくも悪くも映像(TVドラマ)と印象が変わらないのですが、声もよく出ていたし、舞台上での動き方も自然でした。

柄本明さんのフィリップは少しデフォルメし過ぎかなぁと感じる部分もなきにしもあらずですが、若い女の子を思い通りにしたい中年男の狡猾さを見せつつ、どこか憎めない雰囲気がよかったです。

そして浅野ゆう子さんのシーラ。
最後にひとり勝ちです(笑)。
おっとりとしていて品もよくて、いかにも裕福な家の奥様といった泰然とした雰囲気。
実は、しっかりしていて強くしたたか、というハイソなマダムがハマっていました。
台詞を言う時、「ちょっと」という感じで相手の方へ手を出す仕草がやたら目についたのですが、あれはゆう子さんの癖かな。

これ、演出は誰だろう、と観ながらずっと思っていて、後で東京乾電池の綾田俊樹さんだと知りました。
原題の「Relatively Speaking」って、相対的に言えば、とか、言ってみれば、というニュアンスだと思うのですが、それがどうしてこの邦題になったのかも聞いてみたいな。
ま、柄本明さんフィリップが苦笑いしながら竜也くんグレッグに、「とりあえず、お父さん」と握手の手を差し出した時にはまんまと笑っちゃったのだけれども。



グッズのトートバッグがおしゃれだったので買いそうになって危うく思いとどまりました のごくらく地獄度 わーい(嬉しい顔) ふらふら (total 1507 わーい(嬉しい顔) vs 1509 ふらふら)
posted by スキップ at 23:23| Comment(2) | TrackBack(0) | 演劇・ミュージカル | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは。
これ、面白かったです。四人のテンポもいいし、それぞれの魅力が十分出ていて大満足の舞台でした。

冒頭の、竜也クンのシーツにくるまった場面では、後ろの席の女子が、「ウソ!細っそ~」と思わず声を漏らしてましたよ。
いい舞台でした。
Posted by ケンボウ at 2016年01月31日 21:06
♪ケンボウさま

おもしろい舞台でしたね。
個性の異なる4人がうまくハマって、それぞれ活き活きしていて
観ていても楽しかったです。

そうそう、竜也くんってカラダは細いのに、腕は結構たくましくて
そのギャップに萌え♡でした(笑)。
Posted by スキップ at 2016年02月01日 23:50
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