2016年01月23日

国立劇場 初春歌舞伎公演 「通し狂言 小春穏沖津白浪―小狐礼三―」

koharunagi.jpg国立劇場の新春を彩る菊五郎劇団の初春歌舞伎。
毎年楽しそうだなぁと思ってはいたのですが、なかなか遠征に組み込むことができず。
今年も、当初は歌舞伎座を昼夜通しで観るつもりでいたのですが、初日開いてTwitterで拾い読みした感想がどれも本当に楽しそうで、これはやっぱり観ておかねば、とチケット取り直して初参戦となりました。


国立劇場 初春歌舞伎公演
河竹黙阿弥生誕二百年 
「通し狂言 小春穏沖津白浪 ―小狐礼三―」
序 幕 上野清水観音堂の場
二幕目 (雪) 矢倉沢一つ家の場/(月) 足柄越山中の場/(花) 同花の山の場
三幕目 吉原三浦屋格子先の場/同 二階花月部屋の場/隅田堤の場/赤坂田圃道の場
大 詰  赤坂山王稲荷鳥居前の場/高輪ヶ原海辺の場
作: 河竹黙阿弥 
改修: 木村錦花 
監修: 尾上菊五郎
出演: 尾上菊五郎  尾上菊之助  中村時蔵  坂東彦三郎  市川團蔵  河原崎権十郎 片岡亀蔵  尾上右近  坂東亀三郎  市村萬次郎  市村橘太郎  中村萬太郎  中村梅枝 ほか

2016年1月16日(土) 12:00pm 国立劇場大劇場 1階3列上手



いや~、これほんとに楽しかったです。
歌舞伎座昼の部に未練は残るものの、持っていたチケット手放してまで観ることにした自分にでかしたと言ってやりたい(笑)。
  
お話としては、傾城に入れあげた若殿がお家乗っ取りを企む悪臣に陥れられお家の重宝も盗まれて勘当され・・・というよくあるお家騒動に三盗賊がからむという他愛のない筋立てですが、そこに狐の妖術をつかう礼三を持ってきたことでケレン味がグンとアップ。
一人ひとりのキャラが立っていて、そこにそれぞれの役者さんがよくハマって、原作が河竹黙阿弥ということっもあって、「三人吉三」だったり「弁天小僧」だったり、いろんな名場面を思い起こさせるところもあり、時代ものあり世話物あり、チャリ場もケレンも立廻りも、と歌舞伎の楽しさたっぷり。
それに加えて舞台装置のすばらしさ(美術: 国立劇場美術係)。特に大詰のあの鳥居の場面は、「ほんとこれ、観に来てよかった!」と観ながら何度も思いましたよね(笑)。


まず序幕。
一面真っ黒の中に舞台上から桜の花びらがはらはらと舞い散ります。
そこに白い狐を携えた菊之助さん登場。
舞台から花道へと狐を遣いながら華麗に舞うように。幻想的で美しい場面でした。
桐竹勘十郎さんが人形指導に入られたとか。ナルホド。

いかにも優男の月本家の若君・梅枝くん数馬之助が美しい姫君(右近)をナンパ?(笑)しようとするところからもう楽しい。
この若君、自分の恋人がお姫様に変装しているのも見破れないくらいだから推して知るべし。ワキの甘いことこの上なく、亀蔵さん三上一学にまんまと弱みを握られて陥れられてしまいます。
このピンチのためにひと肌脱ぐことになる三人の盗賊-日本駄右衛門(菊五郎)、小狐礼三(菊之助)、舟玉お才(時蔵)-の月本家との結びつきが強引といえば強引なのですが、そこはまぁ、歌舞伎だし黙阿弥だし。七五調の美しい台詞をはじめとする黙阿弥のよさも随所に見られ、緩急つけた演出はどの場面も楽しく美しい。
役者さんは見映えよし声よし演技よしの達者揃いで、盤石。
華やかな立廻りの後、めでたしめでたしで明るい気分で打ち出されます。

雪→月→花と鮮やかに場面が変わる二幕。
花吹雪がパ~ッと散ったり、パタパタパタとあたり一面桜の花になったりという転換にもワクワク。

そしてあの大詰の鳥居ですよ。
客席どよめいていました。
伏見稲荷の千本鳥居を思わせるような幾重にも重なる鮮やかな朱塗りの鳥居。
それがセリと盆で舞台全体とともに立体的に動いて、目の前に迫ってきます。
鳥居の朱色、小狐礼三の白、捕手の黒。
計算しつくされた色彩美。

ほんっとっ、国立劇場の美術さんに大拍手贈りたいです。

鳥居の上を縦横無尽に飛び跳ね立廻る菊之助さん礼三。
鳥居の上もろともせず軽やかにとんぼを切る捕手。
アクロバティックかつ美しい。
ずらりと並ぶ鳥居の間を駆け抜けていく礼三と捕手が、コマ送りの画面のように見えたり。
ポンと破裂した狐から、吹き出す桜吹雪。
最後に鳥居の上で礼三を囲んで立つ捕手の顔が狐となってキマリ。

観ている間じゅうずーっとドキドキワクワクしっ放しでした。
できることなら、あの場面、二階席からもう一度観てみたかったな。


菊之助さんはこれまで、あまり「殺陣」というイメージは持っていなかったのですが、身体能力も高い人なのだと認識。
女方もいなせな男衆姿も、もちろん狐も、美しさも極まって、花も実もある堂々の主役でした。

菊五郎さんは脇にまわって出番も少なめ、座っていることが多くてあまり動きませんが(笑)さすがの存在感。
時蔵さんお才と菊之助さん礼三が争っていて、ここぞという時に登場するあのラスボス感。

いかにも鉄火肌な姐御の時蔵さんお才、なーんとびっくり礼三の思い人の花魁・深雪太夫は萬次郎さん。
梅枝くん右近くんの若いカップルは文句なく綺麗だし、亀蔵さんは嫌味な感じだし(笑)、狐に騙される橘太郎さんのチャリ場は愉快だし、亀三郎さんは相変わらずいい声響かせてくれるし、菊五郎劇団おそるべし。


IMG_0467.jpg迎春ムード漂うロビーにはいつもくろごちゃんがいて、カメラ向けるとザ・ポーズしてくれました。名刺もくれたわーい(嬉しい顔)
終演後は白い狐を持って玄関でお見送りも。




亀三郎さん、手ぬぐい投げでは2階席にまでポンポン放り投げてやんやの喝采受けていました のごくらく度 わーい(嬉しい顔) (total 1503 わーい(嬉しい顔) vs 1505 ふらふら)
posted by スキップ at 22:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 歌舞伎・伝統芸能 | 更新情報をチェックする
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