
ま、去年もそうでしたが(笑)。
今月の松竹座は、コンパクトな座組ながら昼夜とも馴染みある楽しい演目が並んでいます。
まずは昼の部を拝見しました。
松竹座 壽初春大歌舞伎 昼の部
2016年1月3日(日) 11:00am 松竹座 3階2列センター
一、歌舞伎十八番の内 鳴神
出演: 片岡愛之助 中村壱太郎 片岡松十郎 片岡千壽 ほか
愛之助さんの鳴神上人に雲の絶間姫は壱太郎くん、という配役は知っていたのですが、幕開きに登場した白雲坊、黒雲坊が松十郎さんと千壽さんで、ワタシ的に何て豪華なのと口もと緩みました。
「晴の会」三人衆のうちのお二人。さすがに息もあって達者です。このお二人なら上人と絶間姫もできそう。いつか「晴の会」でやっていただけないかしら。
愛之助さんは硬軟併せ持つ雰囲気が鳴神上人によくハマっていました。
最初の登場は美しくて品がありますし、絶間姫の話に夢中になって転がり落ちる → 修行一筋、女にはウブで絶間姫の策略にマンマとひっかかる → だんだん酔っ払う → 怒り心頭 までの流れが自然。
元より口跡よくて台詞もしっかり。隈取してぶっ返ってからも迫力たっぷりでしたが、更に大きさが加わると申し分ないと思いました。まだ2日目ですからね。
初日に先立って行われた鏡割りにただ一人 絶間姫の拵えで登場した壱太郎くん。
Twitterのお仲間がツイートしてくださった画像のあまりの可愛さに思わずリツイートしたほど。
(歌舞伎美人の紹介記事はこちら)
実際観ても美しく可愛かったです。
鳴神上人に胸を触らせておいて「それは乳じゃわいなぁ」と恥ずかしそうに言ったり、妻になるよう言われてうれしそうに「なるわいな」と答えるなどなかなかコケティッシュな策略家。
もう飲めぬという上人に「私のついだ酒が飲めるのか」って急に早口で逆上するところは思わず笑っちゃいましたが、少し情より理が勝ったように感じたかなぁ。
日数を経たらますます色っぽっいスナイパーになりそう。
今月の松竹座は演目ごとのポスターも制作、販売されていて、昼の部はこの3枚。



出演: 中村扇雀 中村未輝 中村翔馬
女方の石橋もので、この「枕獅子」をもとに「鏡獅子」がつくられたことは知っていたのですが、「鏡獅子」は何度も観ているのに、「枕獅子」は実は今回初見。
前段が傾城、後段が女の獅子となる舞踊です。
牡丹が咲き乱れる金襖。
扇雀さん傾城弥生のお着物にも鮮やかな大輪の牡丹。
鳴物も賑やかで、いかにも初春にぴったりの華やかな幕。
「鳴神」で黒雲坊・泊雲坊がご馳走だったように、この幕にもうれしいオドロキが。
胡蝶が、中村未輝くん(「少年H」の吉岡竜輝くんね)・翔馬くんご兄弟でした。
私は踊りの巧拙はあまりよくわからないのですが、二人だけでかなり長い踊りの場面をこなしていて、すごいなぁ。
上方歌舞伎の貴重な部屋子くんたち、これからも見守っていきたいです。
扇雀さん 後ジテの獅子は女なので、どことなくやわらかな雰囲気。
長身なので華やかで毛振りも映えます。
三、らくだ
初代桂文枝 口述
脚本: 堀川哲
改訂・演出: 奈河彰輔 演出: 今井豊茂
出演: 市川中車 中村亀鶴 中村寿治郎 片岡松之助 片岡愛之助 ほか
「らくだ」は、勘三郎さんの久六、三津五郎さんの熊五郎、亀蔵さんのらくだが私にとって極めつけです。
だから、他の誰が演じてもハードルを上げてしまいがち。
(シネマ歌舞伎にもなっていますが、自分のブログで感想探してみたら短いものがありました。)
楽しかったです。
中車さんはさすがに芝居がお上手。
いろいろな約束事に縛られる時代物よりこういった世話物の方がまだ自然にできるのかもしれません。
愛之助さんとのコンビの相性も良さそうで、大阪弁もほとんど違和感なくてさすがだなと思いました。
やたけたの熊五郎の愛之助さんもキリリとしていて、いかにもちょっと小物の侠客といった雰囲気。台詞もとても安定。
寿治郎さんと松之助さんの大家さん夫婦(典型的なノミの夫婦です)がとてもよかったです。
寿治郎さん、やわらかな物腰で情に厚い人もお得意なのに、こんな嫌味な大家さんもよくハマって。
そして亀鶴さんらくだの死体がね(笑)。
たくさん笑って、かんかんのうで楽しく打ち出され幸先よい観劇はじめとなりました。
昼の部は全体的に出演者少なめかな のごくらく地獄度



