2015年11月02日

恋のひと夜のためならば 花組 「新源氏物語/Melodia -熱く美しき旋律-」

shingenji.jpg紫式部の「源氏物語」は高校の古典の授業で少しかじった程度。その現代語訳である田辺聖子さんの「新源氏物語」はとてもおもしろくて、ずい分前ですが夢中で読みました。
お陰で当時は「源氏物語」の登場人物の名前、スラスラ言えたもんなぁ。

宝塚歌劇では1981年に初演されて1989年再演。
今回が26年ぶりの再々演だそうですが、私はどちらも観たことがなくて、今回初見でした。


宝塚歌劇花組公演
宝塚グランド・ロマン 「新源氏物語」
-田辺聖子作 「新源氏物語」より-
脚本: 柴田侑宏
演出: 大野拓史
グランド・レビュー 「Melodia -熱く美しき旋律-」
作・演出: 中村一徳
出演: 明日海りお  花乃まりあ  高翔みず希  花野じゅりあ   瀬戸かずや   鳳真由   鳳月杏  芹香斗亜  桜咲彩花  仙名彩世  水美舞斗  柚香光/ 京三紗  汝鳥伶 ほか

2015年10月24日(土) 3:00pm 宝塚大劇場 1階10列センター



「新源氏物語」

幕開きチョンパで明るくなると緋毛氈を敷き詰めた大階段にずらりと並ぶ平安王朝絵巻。
とてもきらびやかで華やか。
1階後方席にいらした男性中心の団体さんからはどよめきが起こっていました。

大階段の中心で歌う人が明日海りおさんだと思っていたら「あれ?声違うぞ」となって(正しくは芹香斗亜さん)、ふと気がつくと手前の銀橋に明日海さんが立ってたというねあせあせ(飛び散る汗)

物語は基本的に原作に忠実に脚本化されていて、光源氏(明日海りお)と義理の母である藤壺の女御(花乃まりあ)の禁断の恋を軸に、「雨夜の品定め」や六条御息所(柚香光)と葵の上(花野じゅりあ)との「車争い」から生霊に至る事件、須磨の巻から光源氏が因果応報の苦悩の末にそれを受け容れて立つところまでを描いています。
源氏の随身 惟光(芹香斗亜)、親友である頭中将(瀬戸かずや)はじめ男役はもちろん、紫の上(桜咲彩花)、朧月夜(仙名彩世)、女三の宮(朝月希和)など源氏の恋を彩る 女性も多く登場して、娘役豊富な花組ならではの花も実もある艶姿を見せてくれています。

ただ、1時間40分の上演時間内にすべてを収めようとする余り、やはり急ぎ足のダイジェスト版という印象はぬぐえないかなぁ。
場面場面は面白いし綺麗ですが、サラサラ流れていく感じ。
「『源氏物語』ってこんなにあっさりしたお話でしたっけ」というのが第一印象です。
もう少し場面を絞ってもよかったのではないかなと思います、素人目には。明日海りおさんの光源氏は、絵巻物から抜け出てきたような美しさ。
美しいばかりでなく凛として品もあって、ビジュアル申し分なし。
今の全タカラジェンヌの中で最適の配役だと思います。
ただの女好きの優男ではなく、情熱的で、後に息子の夕霧が柏木に、「政治力もある男だ」と語る通り、強さ大きさも秘めた源氏像を描き出していました。
柏木と女三の宮の一件から、自分と藤壺の関係も父帝は気づいていたのではないかと苦悩する場面もよかったですが、光源氏自身にあまり時の流れが感じられなかったのが唯一残念だったかな。

花乃まりあさんは健闘だと思います。
あまり出番は多くない上に終始受け身の中、情念を秘めた女性を体現。
台詞も歌もしっかり。洋物だといつも「あちゃー」となるお化粧も綺麗でした。

芹香斗亜さんは光源氏の隋身 惟光。
原作ではあまり大きくない役ですが、宝塚版では二番手の役なのだとか。
うーん。
それより頭中将(瀬戸かずや)の役をもっとふくらませて二番手とした方がよいのでは?
あ、瀬戸さんは全然悪くなかったです・・・というよりむしろいい。だから余計いい役に見えたのかも。

話題の六条御息所と柏木の二役は柚香光さん。
六条御息所は怜悧な美しさ。
生霊の場面は脚本、演出的にもあっさりなのでワタシ的には物足らず。
もう少し妖しく激しい感じでお願いしたいところです。
柏木は源氏に勝るとも劣らぬよい男っぷりでした。やはり柚香さんのニンはこちらかと。

その柏木の友人で源氏の息子である夕霧は鳳月杏さん。誠実な雰囲気がステキでした。
あと、源氏の取り巻きの宮中男子の中に「超美形がいる」と思ってオペラあげて確認したら水美舞斗さんでした。
やはり日本物化粧は素材の良さがダイレクトに出ますね。

娘役の中では朧月夜の仙名彩世さんが個性的で歌も上手くてよかったな。
(ワタシが朧月夜好きなせいもありますが)
桐壺帝の汝鳥伶さん、弘徽殿の女御 京三紗さんという専科のお二人のくっきりと足あとを残す存在感はさすがというほかありません。


「Melodia -熱く美しき旋律-」

上演時間50分といつものショーよりちょっぴり短いこともあってか、短い時間にギュッと濃縮されて息つく間もないくらい見せ場の連続。
花組の皆さんも、静々と歩いていた日本物のうっぷんをここで晴らすゼと言わんばかりに活き活きエネルギッシュな熱いショーでした。

トップの明日海さん筆頭に、芹香さん、柚香さん、瀬戸さん、鳳さん、鳳月さん、水美さん・・・それぞれにソロの場面あり、花乃さん中心に娘役だけでオラオラ踊る場面あり、退団者3人(峰七海・真輝いづみ・姫歌ひな乃)の銀橋渡りもあって、いろんな人に活躍の場面があるいいショーだなと思いました。

どの場面も楽しかったですが、一番印象に残ったのは中詰の「スペイン 熱き旋律」の場面。
一人舞台中央からせり上がりしてくる柚香光さんのスター感ハンパない。
そして、それに絡むスペインの女さん(←なぜにさん付け?)が超美脚で、誰??と思ったら鳳月杏さんではないですか。
知らなかったのでビックリ目そしてあの美しいお御足に目が釘づけでございました。
あの人、男役の時もそうだけど、絶対等身バランスおかしい(←ほめています)。

このシーンの最後だったか鳳真由さんが一人銀橋に残って歌うのですが、階段を少しだけ客席に降りて来られて、トップさん以外がこんなふうにソロで客席降りって珍しいな、と思いました。

ロケットの振付が途中ウェーブみたいになったりバーッと前後開脚して座ったり独特だなぁと思ってたら、KAZUMI-BOY先生でした。
明日海さん以外後ろ姿で大階段に立つ黒燕尾もフォーメーションが変わった雰囲気で楽しかったです。

デュエットダンス。
My Funny Valentineのメロディに乗せて、ストーリーが見えるようなドラマチックで大人っぽいダンス。二人の表情の変化も楽しく見ていたのですが、問題はリフト。
足を伸ばしたまま開脚した花乃さんを明日海さんが後ろから腰のあたりをハグするように持ち上げて回転する変形リフト。
これが目新しいのですが、いかにも苦しそうで、やっぱり明日海さんには花乃さんは大きすぎる(物理的に)のではないかなぁ、とまた思ってしまいました。
このデュエダンのカゲソロが二人とものびやかな声で聞き惚れたのですが、プログラムで確認すると綺城ひか理さんと音くり寿さんでした。ナルホド。


しっかり花組はいつもチケ難ですな の地獄度 ふらふら (total 1461 わーい(嬉しい顔) vs 1464 ふらふら)
posted by スキップ at 23:04| Comment(0) | TrackBack(0) | TAKARAZUKA | 更新情報をチェックする
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