
今年は兵庫県立芸術文化センター開館10周年記念ということで、夏のひょうごスペシャルと銘打って、一部・二部それぞれ5曲ずつ、計10曲という豪華ラインナップ。
「花形三昧券」という通し券を買って、10曲全部観るぞ!と楽しみにしていたのですが、後から「あべの歌舞伎」が発表になって、この日しか行ける日がなくて、やむなく一部のみにしました。
観始めるとすごく楽しくて、「やっぱり通しにすればよかった」と後悔することしきり(「あべの歌舞伎」もとてもよかったので、終わってみればこれでよしだったのだけれど)。
兵芸は10周年ですが花形狂言は今年で4回目。
その4回ともチケットすべて完売なのだとか。
ワタシ、2012年の第1回公演から全部観ています。
2012年
2013年
2014年
花形狂言 2015 in 夏のひょうごスペシャル
~ザ・ベスト・オブ・HANAGATA~ 第一部
2015年8月1日(土) 11:00am 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール 1階C列センター
幕があがると舞台上手奥にバーカウンターがあって、一人のバーテンさんを囲んでみんな立って飲んでいます。
全員和装で、裃つけていたり浴衣だったり。「みんなおもろい格好してんなぁ」とバーテンさん。
このバーテンさんは落語家の桂よね吉さんで、当初二部だけ出演の予定が、急遽一部にも呼ばれたそうです。
「それも昨日でっせ。茂山家のこのいい加減さ」と(笑)。
茂さんのことを「しーちゃん」と呼んだり、「逸平、浴衣の股間を濡らしてる」と暴露したり(コーヒーこぼしちゃったらしい)、公私ともに仲良さそうな雰囲気が伝わってきて微笑ましかったです。
よね吉さんが話を振る形でそれぞれが意気込みを語って(・・といっても11:00はまだ皆さん起きてないらしい

出演: 茂山宗彦 茂山童司
酔っ払って寝ていたら主が帰って来て「太郎冠者 何事ぞ」と手打ちにされる・・・というのがエンドレスで繰り返されます。
新しい朝
出演: 茂山正邦 茂山宗彦
ある朝目覚めたら異形の姿になっていて、それを相談に行ったところ・・・。
寄せ笑い
出演: 茂山逸平 茂山茂
真っ黒の舞台に顔ハメパネルのような二つの穴からのぞく二人の顔・・・狂言の伝統的手法「寄せ笑い」を現代風にアレンジ。
大田マサル
出演: 茂山茂 茂山正邦
大田大とかいてオオタマサルと読むKY男が派遣の面接で・・・。
裸大名
出演: 茂山宗彦 茂山童司 茂山逸平
アンデルセンの「裸の王様」のパロディ。
大名に「華やかな着物を買ってこい」と言われた太郎冠者は・・・。
お気楽な大笑いだったりシュールだったりシニカルだったり。
いや~、おもしろかったです。
本当に皆さん芸達者。
「終わりの始まり」で、太郎冠者(実はビール飲んで寝てたらタイムスリップしてしまったサラリーマンらしい)が「問答無用じゃっ!!」と斬られるところで暗転となって、また同じ場面がイチから始まるのだけど、それが2回、3回と繰り返されると不思議なことに笑いも段々増幅されて声あげて笑ってしまうほど。
みんなおもしろかったですが、中でも「寄せ笑い」とラストの「裸大名」が個人的にはお気に入り。
「寄せ笑い」は、二人が「あ~い~う~え~お~」と繰り返すだけで笑いがこみ上げてきますし、かきくけこ さしすせそ から 果ては ABCDEFG になり、「はながた」「もうおっさんや」「もうおっさんや~(泣)」となった時には爆笑しました。
声と顔の表情だけであの空間を支配できるのは狂言師の真骨頂だなぁと思いました。
「裸大名」は一転してお芝居仕立て。
エキセントリックでファンキーな宗彦くん大名のハジケっぷり。。
「賢い人にしか見えない着物」と言われて「自分は馬鹿だから見えない」と感心する童司くん太郎冠者のとぼけた可愛いらしさ。
こいつらくらい軽く騙せると余裕綽々の逸平くんの詐欺師?のあざとさ。
3人3様がピタリとハマって、ほんと、大笑いさせていだきました。
宗彦くん大名のあの鬘とか、どーなりたいん?という感じですが(笑)。
賢妻なのか恐妻なのか・・のお陰で大名がだまされたままにならないラストもスナップ効いてて好きでした。
フィナーレではステージ上に並んでご挨拶。
今回2回公演なのでのべ5回になるところ、「そうすると来年5周年にならないので」と4.5回ということにするのですって。
終演後は相変わらずマッハの速さでロビーに現れて、皆さんに笑顔を振りまいていらっしゃいました。

勢揃いの画像・・・と思ったけど童司くんいない?
いつも楽しい花形狂言ですが、今年は特に、仲良さそうにわちゃわちゃやってる5人+よね吉さんを観ているだけでハッピーな気分になって、元気をもらえました。
(あれ?ワタシ 弱ってたのかな?)
来年の5周年、絶対観に行くぞ~と拳握りしめながら兵芸を後にしたのでした。
やっぱり一部二部通しで観たかったな のごくらく地獄度



