
6/14・15・16 3日間のみの開催ですが、初心者でも楽しめるようにと日替わりトークショーとビジュアルが華やかな演目を選んでの上演。
文楽はまだまだ初心者の域を出ない不肖スキップ、大変楽しませていただきました。
それにしてもポップな色合いのこのフライヤー かわいい♪
中央公会堂と堂島川とライオン橋(難波橋)、団七に八重垣姫、それに狐までちゃんと描かれています。
ムムム!!文楽シリーズ 中之島文楽
2015年6月16日(火) 7:00pm 大阪市中央公会堂 大集会室 1階う列センター
第一部: 文楽ビギナーに贈る文楽入門トーク
文楽ってナンダ ? おもしろ文楽のススメ
出演: 桐竹勘十郎 月亭八光 桂吉坊
初日、2日目は元NHKアナウンサーの葛西聖司さんの進行で、ゲストはそれぞれ豊竹英大夫と羽野晶紀さん、鶴澤清介さんと宇都宮まきさんという組み合わせでしたが、この日は落語家の桂吉坊さんの進行、ゲストは桐竹勘十郎さんと月亭八光さんでした。
落語家さんのことは疎くてあまり存じあげないのですが、吉坊さんの司会がとても落ち着いていて達者で印象的。
開口一番、「僕、文楽観たことないんです」と言い放って客席をドン引きさせた八光さんと対照的に、文楽にも古典芸能にも精通していらっしゃることが端々に感じられ、だけどその知識をひけらかすのではなく、初心者が疑問に思うようなことを勘十郎さんに質問したり話を振ったり。
後で調べたら桂米朝さん一門で、歌舞伎や能・文楽などの古典芸能に詳しく、太鼓・笛はもとより三味線や長唄も習得していらっしゃるのだとか。
「大阪弁の勉強のために文楽観に行けって師匠に言われませんでしたか?」と八光さんにチクリと言う一面も。
勘十郎さんは「文楽は音楽劇。ミュージカルです」とおっしゃっていました。
文楽の三業についてや、ご自身がどうして人形遣いになったかなどのエピソードの後、八重垣姫の人形で人形遣いの実演・解説も。
夏休み文楽公演や文楽デーなどで若手の人のは観たことがありますが、勘十郎さん自らという豪華版です。勘十郎さんがお人形の右手を少し動かしたり首を微かに傾けたりするだけで、まるでお人形に命が宿ったよう。そしてその動きはとてもたおやかです。
左遣いは簑紫郎さん、足遣いは勘介さんでした。
大汗かいて足を遣う勘介さんに八光さんが興味シンシンであれこれ聞いていて、勘介さんが「大変です」とか「しんどいです」とか言うと八重垣姫が「あら、そおなのぉ?」という感じで振り返ってちょっと冷たい目で見るのがおかしかったです。勘十郎さんお茶目

第二部で上演する演目をわかりやすい相関図で映写しての説明つき。
第二部: 文楽上演
一、夏祭浪花鑑 長町裏の段
出演: 豊竹英大夫 竹本三輪大夫 鶴澤清介
吉田幸助 吉田玉佳 ほか
義平次を遣う玉佳さんの悪い顔(笑)は多分初めて観たかもしれません。
大きい所作が勇壮でオトコマエ幸助さんの団七。足がちょっとヘンな向きだったりした時もありましたが、文楽鑑賞教室と掛け持ち出演の皆さま、お疲れさまでした。
団七がちょっとしたはずみで義平次を斬りつけてしまうところのスピードと緊張感を望みたいです。
ニ、本朝廿四孝 奥庭狐火の段
出演: 豊竹呂勢大夫 鶴澤藤蔵 鶴澤清志郎 鶴澤清公
桐竹勘十郎 吉田一輔 吉田文哉 桐竹勘次郎 ほか
武田勝頼に身の危険を知らせに行きたいけれど凍った諏訪湖を前に途方にくれる八重垣姫に、武田信玄が諏訪神社から授かった兜に宿った狐が乗り移って・・・というお話。
元より文楽の数ある演目の中でも大好きな場面なのですが、いや~、すばらしかったです。
中之島文楽、どれも楽しかったですが、この「奥庭狐火の段」は格別。
以前、狐忠信観た時にも思ったのですが、勘十郎さんこそが実は狐なんじゃない?な超絶離れワザです。
冒頭、一人遣いで登場する白い狐から目が奪われっ放しです。
今、狐が引っ込んだと思ったら、あっという間にお召し物まで変えて八重垣姫で登場。
そして一部で見せてくださったようなたおやかな八重垣姫が、狐が憑いて、一輔さん、勘次郎さんと三人出遣いになってからの華やかで激しい動き。
あの動きに合わせる左、足もすごく大変だろうなと思いましたが、床も負けていません。
藤蔵さんの迫力ある撥さばき、その音色の凄み。
そこに重なる呂勢さんの声。
張り詰める緊張感、まさに三業一体、極限の芸で、観ていてワクワクドキドキが止まりませんでした。
この短時間の演目にも全力投球でベストパフォーマンスの勘十郎さん、カッコよすぎます。



ロビーには太棹や見台も展示されていました。
どれも凛と佇む風情で美しいです。

外に出たら雨が降っていましたが何のその、
ご機嫌で帰途についたのでした。
これだけの内容で前から3列目でガン見して1,800円! 破格です のごくらく度


