
宙組新トップスター 朝夏まなとさん 宝塚大劇場お披露目公演です。
まぁくん、トップ就任、本当におめでとう。
三井住友VISAカード シアター
グランド・ロマンス 「王家に捧ぐ歌」
-オペラ「アイーダ」より-
脚本・演出: 木村信司
出演: 朝夏まなと 実咲凜音 寿つかさ 純矢ちとせ 澄輝さやと 真風涼帆 愛月ひかる 蒼羽りく
桜木みなと 伶美うらら/一樹千尋 箙かおる ほか
2015年6月6日(土) 11:00am 宝塚大劇場 1階20列上手
エジプトとエチオピアという敵対する2国が争う古代エジプトの時代。
エジプトの若く勇敢な将軍 ラダメス(朝夏まなと)と、エジプト軍に捕らえられ奴隷となったエチオピアの王女アイーダ(実咲凛音)の悲恋を軸に、ラダメスを愛するエジプトの王女アムネリス(伶美うらら)、その父であるファラオ(箙かおる)などをめ巡る人間模様をドラマチックに描いた作品です。
「アイーダ」はオペラでも劇団四季版も歌舞伎も退団後の安蘭けいさん主演版も観ましたが、12年前の宝塚の本公演は観ていなくて、柚希礼音さんがラダメスを演じた新人公演を映像で観ただけです。
中では劇団四季版(つまりディズニー版ということなのですが)が一番お気に入りで、調べてみたら2003年で宝塚初演と同じ年。これが四季でも初演だったみたい。
濱田めぐみさんのアイーダ、佐渡寧子さんのアムネリス、ラダメスは誰だったか忘れていたのですが阿久津陽一郎さんで、さすが初演という豪華キャストでした。
そして今回、宙組公演を観て思い出しました。
あの四季版を観た時から、私は「アムネリス派」だったことを。物語の終盤、アイーダの父であるエチオピア王アモナスロの陰謀によりウバルドの刃に倒れるファラオ。
王の突然の死を嘆き混乱するエジプト軍や民衆。
そこでスックと前に出て
「ただ今からわたくしがファラオとなりエジプトを治めます」と毅然と言い放つアムネリス。
この公演で唯一ここで落涙。
(私の主観なので、そこじゃないでしょ、という抗議は却下します

王の娘としての矜持と誇り。
ラダメスの処刑前、「私にあなたを殺させないで」という弱さやさしさも含めて
やっぱり私はアイーダよりアムネリス派。
伶美うららさん。
ゴージャスな衣装に負けない美しさも華やかさも申し分なく、ファラオの娘という誇りも品も、そして傲慢さも感じられてアムネリスにぴったりでした。
よく言われることですが、あとは歌。がんばってほしい(いや、そこが一番大事なんだけど

地声の部分は声量もあってよく歌えていると思いますので、高音ガンバレ。がんばっていると思うけれどさらにガンバレ。
と、アムネリスから入ってしまいましたが、
これが大劇場お披露目となる朝夏まなとさんのラダメスはもちろんすばらしかったです。
私がイメージするラダメスよりかなり都会的でソフスティケイトされた印象ですが、まっすぐにアイーダだけを見つめる目。ブレない心。
長い手でやさしくアイーダを抱きしめる仕草のやさしさ、美しさ。
歌もダンスも殺陣も演技も高水準で安定。
キラキラ輝いていて、まさにトップスターとして花開いた感じ。
ラスト、地下牢でアイーダに会って、アイーダから視線を外すことなく「もう、出られない」と繰り返しつぶやく声が切なくてとりわけ印象的でした。
アイーダの実咲凛音さんもさすがの地力を発揮。
アムネリス様と対照的に(笑)、歌は本当に安心して聴けてストレスフリー。
黒塗りなのと奴隷なのであまり美しさの見せ所がない役ですが、芯の強さと情熱を感じさせるアイーダでした。
朝夏さんとコンビとしてのバランスもよくて、フィナーレでは息の合ったデュエダン(高速リフトつき!)を見せてくれました。
ただ、宝塚版のアイーダは王女として、共に奴隷となったエチオピアの民衆に慕われて彼らの心の依りどころとなっていることや、その気高い心にラダメスが惹かれる、といった場面が描かれていないので、ともすれば感情の起伏が激しい気の強い女性に見えなくもなかったです。
星組から組替えの真風涼帆さんはアイーダの兄ウバルド。
これが宙組デビューであり、正二番手としてのデビューです。
いや~、立派になって

元々、主役3人と二人の王以外にはあまり目立った役がない作品であり、真風さんは星組公演後、稽古期間も少なかったことから、二番手としては軽めの役ではありますが、大いに存在感は発揮していたと思います。
長身揃いの宙組の男役さんたちとのバランスもよく華やか。
フィナーレで羽根背負った姿に胸熱。「ありがとうございました」って口パクしてました。
真風ウバルドと常に行動を共にするエチオピア黒塗りチームが澄輝さやと、蒼羽りく。
朝夏ラダメスに従うエジプト マントチームが愛月ひかる、桜木みなと。
朝夏さんを除いた5人がフィナーレの最初に登場(前夜祭でやったヤツね)。
このあたりまでが現状では宙組若手路線といった感じかな。
宙組でもう一点特筆すべきはコーラス。
最初に意識したのは、2009年の「カサブランカ」の時かな。
重層的で幾重にも折り重なりながら力強く美しいハーモニーを聴かせてくれる宙組のコーラス、本当にすばらしいです。
一幕ラスト。
その迫力のコーラスとともに「世界に求む」を歌い上げる朝夏さんラダメスは圧巻。
その場面の場面の豪華さとともに、トリハダものでした。
前夜祭のレポはこちら
今月の終わり頃にもう一度観る予定なので、フィナーレなどについてはまた改めて のごくらく度


