2015年04月09日

星を継ぐ若者たち 「黒豹の如く」 新人公演

shinko1.jpg今日4月9日は宝塚歌劇星組 東京の新人公演。
宝塚大劇場の新公からまた一歩も二歩も成長した姿を見せてくれたことと思います。

ということで、1ヵ月半も前に観て感想書きそびれていた新人公演の感想を、薄れゆく記憶をたぐり寄せながら。


宝塚歌劇星組 新人公演 「黒豹の如く」
作: 柴田侑宏
演出・振付: 謝珠栄
新人公演担当: 上田久美子

2015年2月24日(火) 6:00pm 宝塚大劇場 1階12列下手

主な配役  (  )内は本役:
アントニオ:   礼真琴 (柚希礼音)
カテリーナ:   綺咲愛里 (夢咲ねね)
アラルコン:   麻央侑希 (紅ゆずる)
ラファエル:   天華えま (真風涼帆)
バンデラス:   飛河蘭 (英真なおき)
セバスチャン:  ひろ香祐 (十輝いりす)
マリオ:      瀬央ゆりあ (壱城あずさ)
マルコス:    紫藤りゅう (天寿光希)
ゴンザーロ:   漣レイラ (十碧れいや)
マルセリーノ:  綾凰華 (礼真琴)
アルヴィラ:   真彩希帆 (妃海風)


星組の新人公演を観たのは、2013年の「ロミオとジュリエット」以来ですが、奇しくもその時も、主演: 礼真琴 二番手: 麻央侑希 という、今回と同じ布陣でした。


柴田侑宏先生が柚希礼音さんのために書き下ろした10年ぶりの新作で、柚希さん、夢咲さんのサヨナラ仕様となっている上に、脚本としてはかなりビミョー(笑)という評価も散見される作品。
新人だけで上演するのはかなりハードルが高かったのではないかと思いますが、大健闘でした。

礼真琴さんは今や本公演やショーでも目立った役がつく星組若手の主力の一人ですが、もはや新公の域を超えているという印象。
男役としては小柄で少年っぽいイメージのある礼さんにアントニオのような大人の男はどうかなと危惧していたのですが、精悍な大人の男のことちゃんを見せていただきました。歌も演技もハイクオリティで安定。大劇場に響き渡る歌唱の心地いいこと。少し低めにつくった台詞の声もステキでした。
柚希さんをすごく観て勉強したんだろうな、というところも、自分なりに工夫したんだろうなと思える部分もあって、もがいた分、実になっている感じです。

特に印象的だったのは、例の「こいつめ~」のところ。
柚希さんとは違ったプローチで、ちょっと吐息のような、切なそうな言い方。
本当にカテリーナを愛おしそうに、離れていた時間の辛さ、切なさ、そして甘さのこもった「こいつめ~」でした。

カテリーナの綺咲愛里さんは可愛らしくて可憐な印象ですが、ヘアスタイルにも工夫の跡が見られ、こちらも思いのほか大人の女性でした。
綺咲さんは声が少し独特のアルトで、それがこの役の雰囲気にも合っていました。
課題の歌唱もずい分安定してきたと思います。

ビジュアル抜群、台詞も歌ももうひとふんばり欲しいと常々感じている麻央侑希さんは敵役アラルコン。
すごくがんばっていたと思います。台詞もそんなに一本調子ではなかった(笑)。
カテリーナに迫る場面は、二人の体格差もあって、「あーちゃん、キケン!」とリアルに感じてしまいました。

そのアラルコンの愛人の踊り子・アルヴィラは花組から組替えしてきて注目の真彩希帆さん。
歌うまさんとは聴いていましたが、そして本公演でもその片鱗は聴かせてくれていますが、これほどとは、とオドロキの歌唱。
特にクラブケルベロスで歌い踊る場面はお見事でした。
演技もビジュアルもよくて研3であれだけできるのは本当に凄いと思います。
アルヴィラという女性としてはもう少し情念と翳りというか、負の部分が感じられる方が好みでしたが、まだまだ若いし、これからに期待。

星組の次期娘役トップは本役でこのアルヴィラを見事に演じている妃海風さんに決まっていて、NEXTの一番手と見なされているのは綺咲愛里さんだと思いますが、強力ライバル現る、といったところでしょうか。

その他の役では、アントニオの叔父バンデラス侯爵を演じた飛河蘭さんが印象に残りました。
本役が英真なおきさんという時点で若手にはハードルの高い役だと思いますが、大人の男である上にアントニオを包み込むような大きさ、温かさも落ち着いて見せてくれました。
セバスチャンのゆろ香祐さんも歌、お芝居とも安定の上手さ。
礼真琴さんと同じ95期生で、最後の「信頼する俺の同期」という台詞が本公演同様生きていて、イキな配役でした。


終演後のご挨拶はこの新公の長である麻央侑希さん。
「謝先生の難しい振り付けで・・」と言って、客席が笑ったりざわめいたりしたのに反応し、一旦黙った後、また意を決したように
「謝先生の難しい振り付けで・・」ともう一度大真面目に言うあたり、淡々とした中に太っ腹さとお行儀のよさが見えて、可愛らしくて好感。

若い人たちが全力で、真摯に取り組む新人公演。
いつ観ても胸が熱くなります。


今日の東京新人公演では、礼真琴さんが、
「 柚希さんの最後の公演で柚希さんのお役をさせていただけることが、私は本当に世界一の幸せ者だなと感じております。」
と涙ながらに精一杯ご挨拶されと、客席で観劇されていた柚希さんが手をあげて、
「わたしも幸せー!」
とおっしゃったとかたらーっ(汗)


柚希礼音さんのディナーショーのレポに「星を継ぐものたち」とタイトルをつけましたが、この若者たちもまた、星を継ぐものなのだと、改めて思いました。



若者の汗と涙はいつだってまぶしい のごくらく度 わーい(嬉しい顔) (total 1352 わーい(嬉しい顔) vs 1355 ふらふら)
posted by スキップ at 23:49| Comment(0) | TrackBack(0) | TAKARAZUKA | 更新情報をチェックする
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