
いや~、その甲斐あって、ほんとに楽しいKABUKI NIGHT でした

「KABUKI NIGHT Vol.9 ~バレンタインデイ特別編・KABUKI愛に染まらナイト~」
出演: 市川染五郎 片岡孝太郎 市川右近 尾上松也 大谷廣太郎 中村米吉 中村隼人/
片岡松十郎 片岡千壽
2015年2月14日(土) 6:00pm 博多座 1階A列上手
開演5分前位に、携帯電話について諸注意のアナウンスが入って、それがやけに近くに聞こえると思ったら、メイクの濃いゴツい案内嬢が二人、マイク持ってすぐそばに立っていました(笑)。
一緒にしては失礼ながら、「REON!!」の紅子ちゃん思い出しましたよ。
片岡千壽さんは何といっても小春ちゃんだし、コスプレお得意そうなのですぐわかったのですが、
もうお一人の巻毛ロングヘア&網タイの方が誰かわからず・・・一瞬男声になった時に「松十郎さんなの!?」と驚いた次第です。
「携帯はバイブでもダメ、ちゃんと電源切って!」という注意から染五郎さんを奪い合って取っ組み合いの喧嘩まで見せてくれて、つかみはOKという感じで、いよいよ主役の登場となりました。
■ 入場行進
クイーンの We will we will rock you! が流れる中、花道から染五郎さん登場。
後で聞くところによると、登場曲はそれぞれご自身がセレクトされたそうで、米吉くんは美空ひばりさんの「お祭りマンボ」。
「カラオケの十八番なんです・・・というかこれしか歌いません」ですって。
その他の人たちは
隼人くんが One Direction のStory of My Life 松也くんはマイケル・ジャクソンの Beat It! で花道中ほどでムーンウォークらしきものをやっていました。
右近さんはゴダイゴのモンキーマジック 。
廣太郎くんと孝太郎さんは忘れちゃった(ごめんなさ~い

■ 伊達の十役
舞台上には椅子が用意されていて、下手から
染五郎さん・松也くん・廣太郎くん・右近さん・孝太郎くん・米吉くん・隼人くんの順に着席。
染五郎さん、松也くんはシャツにジーンズというラフなスタイルで、他の皆さんはジャケット着用。
今回は、染五郎さんが構成も演出もお一人でされたということで、進行台本片手にMCも担当。まずは今月の演目「伊達の十役」について、ということで、スクーリーンに映し出される役の写真を見ながら。
何せ染五郎さんが一人で十役だから最初の方は次々出てくる写真が全部染五郎さんだったり(笑)。
博多座の支配人は赤松さんとおっしゃる方で、赤松満祐の子孫なのだとか。
「ということは仁木弾正の子孫でもあるということですね。悪いヤツですからねー博多座も大変ですよ(笑)。
土手の道哲の写真の時には「これ、染五郎さん苦手な役だ」と松也くん。
「よく違ったことを言ってますよね」とツッコミが。
染五郎さんは 「黙ったら負けだから、とにかくしゃべる!」と。
確かに、翌日私が観た時も道哲、同じこと2回言ってたりしました(笑)。
特に印象的だったお話は、
「政岡は女方なら誰でもやりたい最終目標のような役」と孝太郎さんの発言から
右近さんが披露してくださったお話。
「最初にこれ(伊達十)やった時、師匠(猿翁さん)に十七世勘三郎さんが
『喜熨斗、うまいことやったな。あれなら俺でも政岡やれる』とおっしゃった」と。
当時は六世中村歌右衛門さんの独壇場で他の人はなかなか政岡ができなかったのだとか。
右近さんのお話でもう一つ。
染五郎さんが右近さんに「八汐は鏡を使うんですよね」とおっしゃっていて、
右近さんが「實川延若さんの型」と。
これは翌日本編観た時に「なるほど~」と思いましたので、舞台の感想の時にまた書きます。
染五郎さんは片岡秀太郎さんの栄御前についても「最高の栄御前。明治座に続いて出ていただいて」とおっしゃっていました。
松也くんは民部之助で、「自分が舞台にいる時、染五郎さんの走る足音や早替りの気配を感じて(芝居を)微調整します」とおっしゃっていました。
染五郎さん「拵えができたら早く出たい気持ち」
右近さんも「師匠もよく『もうできてる』と言ってました」と。
染五郎さんは猿翁さんの演出を「削ぎ落とされた演出」とおっしゃっていました。
スクリーンに赤い打ち掛けを着た米吉くんの京潟姫が映し出されると、
「理想的なたまご型だね」とも。
隼人くんは唯一染五郎さんの十役にからまない役で出番は3分ほど。
しかも芝居はすべて土手の上なので、舞台を踏むのもこれが初めて。
「このイベントがなければ舞台に立つこともなかった」と(笑)。
■ ある歌舞伎俳優の1日
次のコーナーではその隼人くんが主役で「ある歌舞伎俳優の1日」。
隼人くんの楽屋入りから出までを写真で紹介。
最初に楽屋入りの写真が映し出されると、
「洋服は自分で買うの?」と染五郎さん。
続けて「アマゾンとかで?楽天?」
「ZOZO TOWNとかもありますけどね」と隼人くん。
楽屋は米吉くんと二人で503号室。
隼人くんの化粧前にチップとデールのマスコットが飾ってあって、それを知らない染五郎さん「ぐりとぐらみたいなもの?」
「UFOキャッチャーでとったの?」
「お菓子と一緒にお客様にいただきました」
「お客様はUFOキャッチャーでとったのかな」
ってナゾのUFOキャッチャー推しの染五郎さん。
隼人くんが衣装の下につける肉パン姿で映った時には、
「ドリフが履いてたやつね」
「大爆笑の風呂場のシリーズで履いてたよね」
とやたら食いつく染五郎さん。
「ドリフ好きだから」と松也くんや孝太郎さんに軽くいなされていました。
染五郎さんの楽屋にご挨拶に行っている写真も。
二人握手をかわしていて、「今日も命かけてがんばろう、と言っているところ」と染五郎さん。
後で孝太郎さんの楽屋でも同様に握手している写真が出てきて、
「ここも、命かけてがんばろう、と言ってます」と孝太郎さん(笑)。
■ 染トーーク
続いてはあらかじめ用意された質問の答えを披露するコーナー。
Q 歌舞伎で不思議だけどおもしろいと思うところ
A 全てを正当化する力 (松也)
Q 歌舞伎俳優あるある
A 目からおしろいが出てきます (米吉)
染五郎さん: ではフェイスパックを使いましょう
松也くん: 皆さんの前でなんですけど、売れると正直これ(指でお金のポーズ)入るんですか?
染五郎さん: ま、監修ということで・・ごにょごにょ(小声)
孝太郎さん: そういえば車が新しくなった。
Q 趣味は
A 運転 (隼人)
Q 苦手な生きものは
A 人間 (孝太郎)
Q 博多の女性の印象
A 色白の博多美人に「なんばしようと」と言われたら撃沈 (染五郎)
「すいとうと」とかいいですよね、と松也くん。
「誰かに言われたことあるんじゃないの」とツッコむ孝太郎さん。
Q 今、歌舞伎にしてみたい映画やドラマは
A それより「ワンピース」の歌舞伎化が (右近)
右近さん: 十中八九断ると思った話を受けてきましたからね、猿之助さん。
Q 歌舞伎俳優になっていなかったら
A 野球選手 (染五郎、松也)
パイロット (孝太郎)
鮨屋かバーテンダー (右近)
スポーツ関係 (隼人)
話す仕事 (米吉)
サラリーマン (廣太郎)
染五郎さん: 話す仕事って?
米吉: とにかくしゃべるのが楽しみでずっとしゃべっていたいんです。
隼人: でも垂れ流し状態で話にオチがないんです。でも反応しないとビミョーに機嫌悪くなる。若手の中でおばちゃんと呼ばれてます。
Q 本日の出演者にひと言
A 廣太郎くんにダイエットを望む (染五郎)
染五郎さん 主語を増やしてください (廣太郎)
廣太郎くん、隼人くん、米吉くんの3人は平成生まれですが、
「3人とも昭和の匂いがする」と染五郎さんに言われていました。
「そんなことないですよ。隼人の顔は現代っ子ですよ」とフォローしたのに
「現代っ子という言い方が昭和」と隼人くんにツッコまれる米吉くん
■ ラッスンゴレライ
それではいよいよ寸劇を、ということになって、
米吉くん: 温かい目で見てやってください。
隼人くん: 親戚の子どもがやってるくらいの目で。
とやたら不安そうな出演者たち。
染五郎さんから台本が届けられた時、隼人くんが「嫌な予感しかしない」とブログに書いていたくらいですからね。
で、皆さんが支度のため引っ込んだ時、何となく不自然に松也くんを呼び止める染五郎さん。
「君は残って」的な(笑)。
二人で目と目で会話しつつ、胸ポケットからサングラスを取り出す松也くん。
すると染五郎さんもサングラスを。
え~っ

客席もやんやの手拍子。
ちょと待ってちょっと待ってお兄さーん というツッコミ?の方が松也くん。
完璧でした。
リズムも歌詞も振りも。
「You Tube何回も見た」とおっしゃっていましたが、さすがのセンス。
染五郎さんは自分で作ったであろう歌詞も覚えられずに手に貼ったカンペ見ながらでしたが、その一所懸命さ、ちょっと照れる笑顔も可愛いかった

大向うについてもここでやったのだったかな。
「大向うさんの声に合わせてそれに反応する役者」というのを染五郎さんがやってみたのですが(舞台に出てきて大向うがかかるとうれしそうにそちらをチラリと見る)、客席に降りてまで見ていた松也くんにもあまり伝わらす、
「これはうまくいかなかった」と。
■ 寸劇
染五郎さんがこのイベントのために書き下ろしたショートストーリー。
現代版、歌舞伎版の2バージョンで上演。歌舞伎版では着物で。
出演は廣太郎くん、米吉くん、隼人くん。
染五郎さんがナレーションを担当。
偶然出会った隼人くんに一目ぼれした米吉くん(役名:米子/現代版 お米/歌舞伎版)がバレンタインにチョコを渡そうとするところへ、廣太郎くんが現れ・・・という恋の三角関係を描く他愛ない物語なのですが、平成トリオは皆大真面目な熱演だし、現代版と歌舞伎版の台詞の違いもよくできていてとてもおもしろかったです。
現代版はBGMが「青い珊瑚礁」「渚のバルコニー」「あなたに逢いたくて」と聖子ちゃんメドレー。
歌舞伎版ではツケも染五郎さんが担当。
ツケ打ちさんから古くなったものを譲り受けたというmy ツケ板持参でした。
廣太郎くんの背中で隼人くんが米吉くんに壁ドンしたりも。
歌舞伎バージョンは廣太郎壁が離れてて、「壁、遠いよ」と思っていたら、お米ちゃん 「しえ~」と言いながら海老反りしてました。
「スキンケアが好きなんだ」と謎の(笑)台詞で登場する隼人くんはモテモテの役。
最後には劇中でもらったチョコレートを最前列のお客様に舞台から渡していました。
やってくれます。
■ 抽選会
続いてチョコレートが当たる抽選会。
役者さんたちが一人ずつ箱からチケットの半券を引いて座席番号を読み上げるのですが、「老眼で小さい字が見えない」と孝太郎さんに右近さんも「僕も」(笑)。
ここは景品がたとえばサイン色紙とか舞台写真とかだったり、役者さんから直接手渡しだったりするともっと盛り上がったのではないかな~と思いましたが、贅沢言ったらバチが当たりますね。
■ お練り
「僕たち これから客席をまわります」と染五郎さん。
それだけでも


「この時間だけ写真撮影もOKです」

どっと歓声が沸き、案内嬢の千壽さんに「皆さん携帯の電源切ってると思いますが、早く入れてください」
と言われるまでもなくみんなバッグをゴソゴソ。
「皆さんの準備ができるまで」と少し舞台上で待ってくださる役者さんたち。
さすがわかってらっしゃる。
私の席は最前列の上手寄りで、舞台から客席に降りる階段の目の前。
役者さんたち、私に向かって降りてくるのよ(違)。
あまりにも近すぎるのと舞い上がっているのとでブレブレですが、こんな感じ。



客席通路ではこんなふうに時々立ち止まって写真撮影に応じたり握手してくれたり。
終始機嫌よくにこにこ顔の役者さんたちを千壽さん案内嬢が「はい、こっちも向きましょ」「はい、そろそろ行きましょ」と先導。

下手前方席で米吉くんのお母様を発見したご一行さま
「これはこれは、米吉さんのお母さんじゃないですか」
「あれ、関係者って普通もっと後ろの方に座るんじゃ・・」と言いたい放題(笑)。
「やめてください。僕の母に構わないで」と米吉くん。
舞台に戻ってからも、「皆さん、帰る時に僕の母を見かけても絶対声かけないでください」と声を大にして繰り返していました。

最後には花道を歩いて舞台まで戻った役者さんたち。
千壽案内嬢の指導が行き届いてちゃんと花外側にも顔を向けてくれていました。
「きゃ~

「今、松也がいるってわかったの?」と染五郎さん。
松也くんは「まってぃだよ~」とか「まっつーだよ~」みたいなことを言って手を振っていました。


1時間40分。
とても盛りだくさんで楽しい時間を過ごしました。
フリーダムな染五郎さんの企画に、口も頭の回転も速い若い役者さんたちがよく反応し、右近さん、孝太郎さんが鷹揚にそれを見守る、という感じで、とても雰囲気のいいカンパニーでした。
全体を通して松也くんの「できる子」ぶりが印象的でした。
参謀的なスタンスで常に染五郎さんの側にいて(笑)、フリーダムな染五郎さんをちゃんとフォローしつつ自分の言いたいことは物怖じせずに言って、ツッコミもしっかり。クレバーな人だな。
平成生まれトリオと大人チームの橋渡し的役割を見事に務めていました。
ラッスンゴレライ完璧だし(笑)。
そして何と言っても染五郎さん。
十役勤めて心身ともにハードでお忙しい中、よくこんなにいろんなこと考えて実現させてくれたなぁ、と、その企画力、プロデュース力には頭の下がる思いです。
廣太郎くんに「(話す時)主語を増やしてください」と注文されたり
松也くんには「基本的に人の話 聞いてないですよね」と言われたりしていましたが、
そういう諸々も含めて、とても愛すべきキャラクターで魅力ある役者さんだと改めて思いました。
歌舞伎美人のレポ
博多座のレポ
中村米吉くんのブログ
どなたか藤十郎さんの口マネちらりとしていておもしろかったんだけど誰だったかな~ のごくらく度



廣太郎ファンとして、気になっております(笑)
完璧レポに感服です☆
楽しさが伝わってきました。
しか出ねェ~~~~~
そうそう!
染五郎さんが、廣太郎さんがおじさん体型で22歳という実年齢より
ずっと老けてみえるとやたらいじってて、「染トーーク」のQ&Aで
「今日の出演者にひと言」で「廣太郎くんにダイエットを望む」
とおっしゃっていました(記事にも加筆しました)。
染五郎さんの愛のムチかしら(笑)。
いや~、ほんとにとても楽しかったので、思いだすままにあれもこれもと
書いていたらダラダラとこんなに長くなってしまいました(汗)。
少しでも楽しい雰囲気が伝わればうれしいですが、長い駄文を読んでいただいて
ありがとうございました。
うらやましいでしょ?(再)(^.^)
とても楽しい夜でした。
米吉くんもブログに「楽しかった」と書いていらっしゃいましたし、
また東京でもぜひこんなイベントがあるといいですね。