
雪組トップコンビ 早霧せいなさん&咲妃みゆさん 本拠地宝塚大劇場お披露目公演であり、夢乃聖夏さんの退団公演でもあります。
宝塚歌劇 雪組公演
NTT東日本・NTT西日本フレッツシアター
ミュージカル
「ルパン三世 ―王妃の首飾りを追え!―」
原作: モンキー・パンチ
脚本・演出: 小柳奈穂子
ファンタスティック・ショー 「ファンシー・ガイ!」
作・演出: 三木章雄
出演: 早霧せいな 咲妃みゆ 望海風斗 鳳翔大 大湖せしる 蓮城まこと
彩凪翔 彩風咲奈 月城かなと 永久輝せあ 有沙瞳 ほか
2015年1月12日(月) 3:00pm 宝塚大劇場 1階22列センター/
1月31日(土) 11:00am 宝塚大劇場 1階12列下手
「ルパン三世 ―王妃の首飾りを追え!」―
物語: 「マリー・アントワネットの首飾り」が復刻され展覧会が開催されているベルサイユ宮殿。ルパン三世(早霧せいな)がその首飾りを盗むという予告状を手に銭形警部(夢乃聖夏)も乗り込んできます。
首尾よく首飾りを手に入れたルパン一行でしたが、その時、不思議な光が煌き、ルパンたちは1785年のフランス・ベルサイユ宮殿にタイムスリップしてしまいます・・・。
配役が発表された時、「ルパン三世の登場人物にマリー・アントワネットってどゆこと?」と思いましたが、その手(タイムスリップ)で来たか!という感じ。
キャラクターは原作そのままながら、小柳奈穂子先生のオリジナル脚本は、「ルパン三世」と宝塚お得意の「ベルサイユのばら」を結びつけ、歴史上有名な「首飾り事件」(首飾りもちゃんと史実で伝えられている形だった)もからませて、虚実織り交ぜた宝塚ならではのとても楽しいミュージカルに仕上がっていました。ベルサイユ宮殿前に警備隊が整列する場面から始まります。
同じ制服を着てそこに紛れていたルパンと次元がもみくちゃになりながら、ルパンがあの赤いジャケット、黒いパンツで姿を現すと、宝塚を初めてご覧になったと思しきお隣の席のお嬢さん方が「ひゃーっ!カッコいい~!!」とおっしゃっていました。
そこからアニメのようにあのテーマ曲に乗って、登場人物が次々登場。ワクワクするようなスタートです。
タイムスリップしたルパンたちがせり下がって行くのと交錯するように上手下手からドレスで着飾った人たちがくるくる回りながら現れて1785年へと移るという演出も鮮やかき。
荒唐無稽なお話ながら、ちゃんとルパン一行とマリー・アントワネットやルイ16世、カリオストロ伯爵、ロアン枢機卿、ロベスピエールといった実在の人たちがうまく絡み合っています。
特にマリー・アントワネットは、最初からいい子ちゃんではなく、高慢で無知だったことを後になって反省するキャラクターとして、宝塚のマリー・アントワネット像としては新鮮。
「嫌われるのは慣れてるわ。でも、私を閉じ込めておいて、それで何も知らないと責めるのはひどいわ」と嘆くマリーに
「被害者ぶるのはみっともないぜ。知ろうと思えば知ることはできたはずだぜぃ?」とルパン。
これ、フツーに私たちの胸にも響く言葉です。
「私は無知で愚かだったかもしれないけれど、罪は犯していないわ」というマリーの言葉を胸に、マリーを助けるために8年後に行くことを決心したルパン。
「無知や愚かなのと、犯罪を犯すのとは違うだろ?」と言うルパンに
「そりゃそうだ。バカだからって逮捕していたら刑務所がいっぱいになっちまう」 と応える銭形のとっつぁんとのさり気ないやり取りが好き。
ルパンの正義感ややさしさがよく表れていて、追う側追われる側ではあるけれど、とっつぁんとルパンにはちゃんと心の結びつきも感じられて。
ルパンが「後は任せた」的なことを言って8年後に行ってしまって、置いてかれた銭形警部が歌う「銭形マーチ」はそのままアニメでも使えそうなくらい楽しい。
とっつぁんが銀橋でその歌を歌っている時に、背後では人々の8年間が描き出されるのですが、望海さんカリオストロが逮捕されて、有沙瞳ちゃんセラフィーナにネックレを託す場面とか台詞はなくてもかなりドラマチック。
断頭台に上ったマリー・アントワネットを助ける方法はまぁ、アレだけど(笑)、時空を超えるには「マリアの涙」と「500個のダイヤモンド」と「ねずみの死骸」が必要というプロットがちゃんと最後まで生きていて、ルパンたちがいよいよ現代に帰ろうとした時、「マリアの涙」(という宝石)はないけれども実は・・というちょっとステキなエピソードも加えられていて、随所に小柳先生の脚本、演出のうまさが光ります。
早霧せいなさんは細身のプロポーションにルパンのコスチュームが映えて、本当に劇画から抜け出て来たよう。
仕草や口調もよく研究されていて、峰不二子登場シーンで「ふ~じこちゃ~ん」って言った時、笑いと拍手起こっていました。
あの「ルパン三世」オリジナル曲の主題歌もテンションアガります。
その不二子ちゃん(大湖せしる)も次元(彩風咲奈)も五右衛門(彩凪翔)も、みんな再現率ハンパないですが、中でも特筆すべきは夢乃聖夏さんの銭形警部。
先日のお茶会でもこだわりぶりを披露されていましたが、下まつげといいコートといい、とっつぁんそのもの。とっつぁんにしては脚長過ぎではありますが。
デフォルメされた仕草も口調もとてもカワイイ。
ベルサイユチーム(と勝手に命名)では何といっても咲妃みゆさんのマリー・アントワネット。
「宝塚のマリー・アントワネット像としは新鮮」と先述しましたが、高慢でわがまま三昧の時代と革命後牢獄に捕らえられた時の落差、時間の経過と精神的な成長をきっちり見せてくれてすばらしい。
華もあってカワイイし品もある・・・ってほんとにいい娘役さんだな。早霧さんとも雰囲気がよく合っていてステキなトップコンビだと思います。
街へ出かける時、「行きませう~」という早霧ルパンに、「そうしませう~」とちゃんと咄嗟に返していた機転もナカナカ。
この公演が組替え後雪組本公演正式デビューとなる望海風斗さん。
カリオストロ伯爵も実在の人物ですが、もっと悪役かと思っていたらそれほどでもなくいいヤツでした。
やっぱり歌うま~い。顔きれ~い。
ルキーニでアドリブ三昧だったからそういうイメージでしたが、案外真面目な人なのかな?
1/31に観た時は客席に明日海りおさん、花乃まりあさん、そして北翔海莉さんがいらしていて、アドリブはエリザ祭りだったのですが、
ルパン 「ルキーニ!ルキーニ!」
カリオストロ 「なんだ?」
ルパン 「それだけ?」
カリオ 「だって俺、ルキーニじゃないし」
ルパン 「カリオストロだ、だろ?反応甘ぇんだよ」
ってフリーダムなルパンに翻弄されるカリオストロでした。
-1c3dd-thumbnail2.jpg)
「ファンシー・ガイ!」
お芝居の感想長くなったのでショーの方は手短かに(笑)。
プレスリーとかシナトラとか、それ以外にも聞き覚えのある曲いっぱい出てきて、最初の印象は「なつかしのメロディみたいなショー」。

オープニングのこの衣装、「もはやメイベリンのマスカラが踊ってるようにしか見えない」というツイート読んで爆笑しました。
夢乃さん、望海さんの 「Time to Say Goodbye からロケット→黒燕尾→デュエダンの流れは好き。
望海さんはもちろん歌うまさんですが、夢乃さんもとてもよかったです。やはり退団が惜しまれる。
黒燕尾は、スポットライトの中、大階段でひとり踊る早霧さんのところへ夢乃さんが上から静かに降りてきてともに踊り、さらに望海さんも加わって、3人のダンス。
上から続々と降りてくる黒燕尾の男役さんたちは列ごとに違う振りもピシリと決まって。
雪組の黒燕尾は本当に綺麗で、静謐な雰囲気さえ漂ういます。
夢乃さんと、同じくこの公演で退団する帆風成海さんの2人が早霧さんにからむところは胸熱でした。
ショーの感想短かっ のごくらく地獄度



