雪組新トップコンビのプレお披露目公演。
まるで少女マンガから抜け出したようなビジュアルのポスターが話題になりましたが、お芝居自体も少女マンガの王道をいくラブコメな展開でした。
宝塚歌劇 雪組公演
ル・ミュージカル・ア・ラ・ベル・エポック 「伯爵令嬢」
-ジュ・テーム、きみを愛さずにはいられない-
作: 細川智栄子あんど芙~みん
脚本・演出: 生田 大和
出演: 早霧せいな 咲妃みゆ 夢乃聖夏 彩凪翔
梨花ますみ 舞咲りん 鳳翔大 蓮城まこと
真那春人 有沙瞳/夏美よう 美穂圭子 ほか
2014年10月25日(土) 11:00am 日生劇場 1階O列センター
舞台は19世紀末のフランス。
公爵家の子息でありながら自分で新聞社を興し、新聞王として名を馳せるアラン(早霧せいな)と孤児院で育った少女コリンヌ(咲妃みゆ)のラブストーリー。
原作は1979年に発表された全12巻から成る少女マンガ。
それをフィナーレ含めて2時間30分に収めるというのですから、それはもう怒涛の展開。
一幕終わった時点で、「これは韓流ドラマか」と思わずツッコミそうになりましたよ。
ストーリーを追う代わりにコリンヌの辿る境遇をご紹介してみましょう。コリンヌはブルターニュ地方の孤児院で暮らす少女で盲目の青年リシャールという恋人がいる
→ アランにひと目ぼれされ、孤児院の窮状を助ける代わりに自分と結婚してくれと迫られる
→ 孤児院のため悩んだ末結婚を承諾
→ 幼い頃召使に連れ去られた伯爵家の令嬢だという出自がわかり船でパリに向かう
→ 乗船した船が海難事故のため沈没。九死に一生を得たものの記憶を失う
→ 自分が婚約者だと偽ったアランに引き取られパリで暮らす
→ 実の母とも知らずマドレーヌ夫人と偶然出会う
→ やがて記憶を取り戻しアランとリシャールの板挟みになって家出
→ アランの新聞社でカメラマンとして働く
→ アランと同乗した飛行船で命を狙われる
→ アランと結婚してめでたしめでたし
どう?(笑)
アランを父の仇と復讐を誓うフランソワ(夢乃聖夏)、かつて盲目だったものの手術で視力が回復するリシャール(彩凪翔)、コリンヌの実の祖父ロンサール伯爵(鳳翔大)と母(美穂圭子)、コリンヌになりすまして伯爵家に入り込む女スリのアンナ(有沙瞳)など周りを彩る人物も多彩でそれぞれのドラマも盛りだくさん。
それでも、全く原作を知らず予習もせずに観ましたが、ツッコミどころは多々あるものの登場人物それぞれのキャラが立っていてわかりやすく、ハッピーエンドに明るい気分になりました。
アランは、個人的にはあまり好きになれない人物(笑)。
新聞王として正義を振りかざしている一方で記憶をなくしたコリンヌのフィアンセになりすますとは(しかもコリンヌの恋人は自分が弟のように可愛がっていたリシャールと知っての上で)、いくら愛に目がくらんだためとはいえ卑怯じゃん!と思ってしまいます。
でも、それもまぁいいか、と思えてくるくらい、早霧さんのアランは麗しくてカッコいい。
しかもそのアランが、コリンヌにビンタされてひと目ぼれとか、「この、鈍感さん」とコリンヌのおでこコツーンとするとか、ステッキで腰ぐいとか、壁ドンか、後ろからギュッと抱きしめて耳元でささやくとか、何てザ・少女マンガなの
タイトルロールでもあるコリンヌの咲妃みゆさんがまた実に活き活きとして可愛い。
“はねっかえり”コリンヌは、見方によってはイラッとさせられるキャラクター(私ももし身近にいたらウザいと思うかも)ですが、感情豊かで笑顔が可愛くて何ごとにも一生懸命で、偏屈なじいや(真那春人)がすっかり彼女のとりこになったように、客席全体を味方につけてしまうような魅力があります。
みゆちゃんは憑依型の娘役さんと言われていますが、自然に役に入り込んで説得力ある演技。耳に心地よいのびやかな歌声もステキです。
娘役さんではもう一人、アンナを演じた有沙瞳さんが、インパクトの強い悪役(というか汚れ役)で印象的。
まだ研3。今回はそばかすメイクで隠していましたが美貌の娘役さんで、これからも楽しみです。
しかーし。
ロンサール伯爵とマドレーヌ夫人両方とも、コリンヌになりすましていた真実の露呈を恐れたアンナに殺される・・しかも2人とも同じように階段から突き落とされて、というのはちょっと単調というか、繰り返さなくても、と思いました。
特にマドレーヌ夫人はコリンヌを自分の娘だと確信していましたが、コリンヌ自身は知らないままだったので、一度でも母娘として会わせてあげたかったな。
繰り返しといえば、コリンヌも2度水に落ちて(海とセーヌ川)、2度とも「ワタシ 泳げないのよぉ~」って叫んでましたね。
アランにコリンヌを騙し取られたことになるリシャール、アランを父の仇と憎悪しているフランソワの2人が最後は何となくいい人になっちゃうのも、いかにも少女マンガ的予定調和で、逆に言えば少し物足り感も。
リシャール(彩凪翔さん、盲目の演技上手かった!)は目が見えるようになった時、コリンヌの顔は知らなくても声で気づくでしょうよ(音に対する感覚は研ぎ澄まされていたはずだから)とか、フランソワ(夢乃聖夏さん、エロカッコよかった!)が最後にコリンヌ守ってフランソワが刺されて瀕死なのににコリンヌ感謝の気持ちが薄い、とか、このあたりはツッコミどころ満載ですが。
フィナーレは最初のカンカンがとても楽しかった
本編では全体的にボルドーとか重厚な色合いの衣装が多かったので、マカロンみたいなパステルカラーの衣装でとても明るい気分に。
振付も可愛かったな。
舞台の上手から下手までくるくる見事な前転してみせた娘役さんは笙乃茅桜さんだった模様。
ひと際スラリとしたお方が、と思ったら鳳翔大さんでした。どこにいても目立ちます。
ここから男役群舞のタンゴ→ちぎみゆデュエダン(リフトあり)と流れも綺麗で、パレードはまた2人が結婚式の白い衣装で、本当に明るくハッピーな気分になれる舞台でした。
早霧さん&咲妃さん。
コンビの雰囲気もぴったりで、雪組の皆さんにも客席にも愛されて温かく迎えられているのが感じられる2人。
来年1月の大劇場お披露目公演が楽しみです。
プログラム キャトルは完売で会場も毎日現定数発売ですって のごくらく地獄度 (total 1273 vs 1278 )
2014年10月29日
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