三宅弘城演じる「完璧なる執事」鎌塚アカシが活躍する倉持裕さんの「スクリューボール・バトラー・コメディ『鎌塚シリーズ』」第3弾。
1作目は観ていないのですが、前作「鎌塚氏、すくい上げる」がとても楽しかったので、今回もぜひ観ようと思っていました。
それに今回は、「え!北村有起哉くんがコメディ?」というのが何より楽しみ。
M&Oplays プロデュース 「鎌塚氏、振り下ろす」
作・演出: 倉持裕
出演: 三宅弘城 ともさかりえ 片桐仁 広岡由里子 玉置孝匡 ベンガル 北村有起哉
2014年8月3日(日) 1:00pm サンケイホールブリーゼ 1階G列センター
今回の舞台は森の中の中之院公爵家。
若き当主の中之院レイジロウ公爵(北村有起哉)は貴族院議員でもありますが、神経衰弱気味でいるはずのない召使いの姿が見えたり声が聞こえたりします。
心配した女中の上見ケシキ(ともさかりえ)は完璧なる執事・鎌塚アカシ(三宅弘城)を呼び寄せますが、そこへ、貴族院の票を操ろうと堂田男爵夫妻(片桐仁・広岡由里子)と従者スミキチ(玉置孝匡)がやってきます。
さらには、「伝説の執事」といわれるアカシの父親フリオ(ベンガル)も登場し・・・。
物語の主なポイントは2つあって、
1.堂田男爵が目論む「貴族に有利な貴族法の成立」に巻き込まれるレイジロウ
2.レイジロウの精神衰弱による妄想をアカシは治すことができるのかこの2つ目にからんで、父と子のハートウォーミングなストーリーが用意されていて、そのせいか、前作の「終始ゲラゲラ笑っている」という感じより、笑いは控えめ、物語重視、という印象でした。
ですが、子どもの頃、一人ぼっちで子供部屋で好きなぬいぐるみに囲まれて過ごし、ぬいぐるみだけが友だちで話し相手だった、本当にぬいぐるみの声が聞えたというレイジロウの、そのぬいぐるみの声は、部屋に仕掛けられたマイクを通した、アカシの父や他の使用人たちで、さらには厳しかったレイジロウの父も、というエピソードは意外性もありとても心温まるもので好きでした。
「仕事が忙しくて厳格で子供とあまり触れ合わない」父と、そのことで寂しい思いをし、父に反発する息子、だけど父は本当は息子をとても愛していた・・というレイジロウと父の関係は、そのままアカシと父、さらにはどこにでもある親子関係のように思われ、それをあざとくホロっとさせるでもなく、笑いを散りばめながらサラリと見せるところが好印象。
「恨んでなんかいない。ふてくされてただけだ」というレイジロウの言葉が心に残ります。
・・・というストーリー重視のせいか、前作ほど終始ゲラゲラ笑ってる、という感じではありませんでしたが、おかしさは相変わらず。
アカシ父の提案で、堂田男爵にもレイジロウと同じように見えないものが見えるように思いこませるトラップ、おもしろかったなぁ
アカシの三宅さんはじめキャストも盤石。
堂田夫妻が腕組んでドアから現れた時の客席の沸きようね(笑)。
北村有起哉くんはシリアス担当だったので、真面目にやってることがにじみ出る、という感じ。
ともさかりえさんの歌声も久しぶりに聴きました。
♪あ~ 時の河を~ 渡る船に~ オールはない 流されてく~ って薬師丸ひろ子さんのWomanですか。
前回、満島ひかりちゃんは「十戒」」歌ってましたが、このジェネレーションの歌選ぶのって倉持さんの趣味でしょうか。
そんな中、my ベストアクトはアカシ父のベンガルさん。
いや何、あの伝説の執事とはとても思えないいい加減さと頼りなさ。
もう、大好き
アカシが「もめごとにならないように」って言ったら、「何でだ?イヤなものはイヤと言ってもめるのが人間じゃないか」みたいに応えていて、そんな風に生きられたら幸せだろうなと思いました。
前回同様、盆を駆使したセット転換(美術: 中根聡子)も鮮やかで、中之院家の玄関や客間や子供部屋になったり、アカシの部屋になったり。
転換中も芝居が途切れることなく。
セットの色合いとか衣装とか、どこか牧歌的でメルヘンチックな世界観。
レイジロウたちが並ぶ中、中之院家の扉が全開になって、キラキラ光るグリーンの紙吹雪が一気に吹き出すラスト、美しかったです。
カーテンコルの三宅さん。
「大阪、こんなにたくさん来ていただいてありがとうございます。場所によっては会場が大きかったりしてまだチケットが・・。特に静岡・・・焼津、いや静岡、いや東海地方にお知り合いやご親戚がいたら、面白かったよ、と勧めて下さい」
Twitterでは「おもしろかったよ」とつぶやいたけど、今さらここに書いても遅いよね のごくらく地獄度 (total 1232 vs 1237 )
2014年08月12日
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鎌塚氏、振り下ろす
Excerpt: M&Oplaysプロデュース「鎌塚氏、振り下ろす」 2014年7月 作・演出倉
Weblog: エンタメ三昧 coco2の喝采ステージ
Tracked: 2014-09-06 13:49
私も本多劇場で観てきました。このお芝居は、脚本と構成がいいですよね!ストレートプレイでは、素直に観られる舞台で、楽しんで来ました。
当日は、三宅先輩に楽屋へとお誘いを頂いていたのですが、何しろ客席の芸能人率が半端ではなくて、その人たちが大挙楽屋へ押し寄せた為、楽屋見舞いは辞退してきました。次の第4作目も期待したいですね。
楽しいお芝居でしたね。
コメディだけで終わらず、ホロリとさせるのいい感じです。
東京は客席で芸能人の方、ほんとによくお見かけしますね。
それが目当てではないですが、ちょっぴりうらやましいです(笑)。
鎌塚アカシ第4弾、ぜひお願いしたいです。