四世鶴屋南北の「金幣猿島郡」をミュージカル仕立てしたものを、今回は「リーディング公演」として再演。
昨年、志半ばでにして逝った水下きよしさんの追悼公演も兼ねています。
花組芝居 花組HON-YOMI芝居 「南北オペラ」
原作: 鶴屋南北 「金幣猿嶋郡(きんのざいさるしまだいり)」
脚本・演出: 加納幸和
出演: 加納幸和 山下禎啓 植本潤 桂憲一
八代進一 北沢洋 横道毅 秋葉陽司
松原綾央 磯村智彦 小林大介 美斉津恵友
谷山知宏 丸川敬之 二瓶拓也
唄の出演: 水下きよし
2014年6月28日(土) 7:00pm セーヌ・フルリ 1列下手
二子玉川の駅に降り立ったのは人生初。
TVドラマなどで見かけた光景が駅前に広がってキョロキョロ気分はすっかりお上りさん。
会場のセーヌ・フルリはそんな“ニコタマ”の駅から徒歩6~7分の閑静な住宅街の中にあります。
後で知ったのですが、ここが花組芝居の本拠地。
そういえば、加納幸和さんの屋号は「二子玉屋」だったわね。
全席自由席ということで、開場時刻(6:30pm)の7分前位に着いた時には20人ほどの列ができていました。入場すると1列目にポコッと1席だけ空席があって、首尾よく最前列ゲットです
物語: 平安の都にクーデターを起こすも、志半ばに討ち取られた平将門が、敵方である将門と恋仲であったがために殺された滝夜叉姫の亡骸を媒介にして蘇り、悪の朋友・藤原純友も加わり、新たな陰謀が蠢き始めます。そこに将門の娘 七綾姫への恋ゆえに鬼となる藤原忠文や、安珍清姫の話も絡み・・・。
ホール中央にスタンドマイクが2本立っていて、その後ろに長椅子が左右に各3本。
マイク前で歌っているかお芝居をしている時以外は全員長椅子に座ってスタンバイ。
HON-YOMIなので全員台本を手に持っています。
メイクや衣装はなく(皆さん70年代サイケデリック調の服をお召しでしたが、衣装といえばあれが衣装なのか)、数人を除いてほとんどの人が何役も兼ねていて、ほぼ歌で展開する上に、「滝夜叉姫実は将門の亡塊」だったりするので、いろいろややこしくて(笑)、物語を全部理解できたとは言い難い・・・けれど、とてもおもしろかったです。ソロの歌も皆さんお上手だし、全員で歌うコーラスの迫力たるや。
最後に全員で歌った楽曲がすごくカッコよくて、帰り道に口ずさんで帰ったくらいなのにもう歌詞も忘れてしまった自分のアタマが憎い。
物語はいかにも鶴屋南北で、怨みだったり激しい恋心だったり、それぞれに強すぎる思いを抱えた人たちが怨霊となって別の人間に乗り移って蘇ったり、蛇に姿を変えたり、鬼になったり(忠文が鬼になった時、歌舞伎フェイスパックしてた。青の知盛の霊の方。ちょっと笑っちゃった)。
人間の業の激しさ、恐ろしさ、そして切なさを感じます。
だけど花組芝居らしい笑いの要素も随所に盛り込まれていて、大胆に脚色し、かつ緻密に計算された脚本だなぁ、と、改めて加納幸和さん、天才!と思いました。
そういえば、新感線の「阿修羅城の瞳」(市川染五郎&富田靖子版)の時、加納さん鶴屋南北役でした。少なからぬえにしが・・・。
花組芝居の舞台で拝見するのはお久しぶりの植本潤さんは清姫。
最初かつらかぶっていたから見違えたよ(笑)。
ほんとにかわいい声で情感たっぷり。今回はリーディングだったけど、やっぱり花組の舞台で植本さんの女形が観たいなぁ~と思っていたら、次の公演にはご出演ですって。
「劇団の本公演 4年ぶりに出ます」とおっしゃっていました。
その清姫のお相手・安珍実は頼光の桂憲一さん。
私はよくわからなかったのですが、台詞間違えたのかな?(台本手に持っているのに)、後ろの役者さん席から笑いが起こっていました。
その後も多分台詞を自作したりしたらしく、「自由すぎる・・」と植本さんがおっしゃっていたり、加納さん苦笑いしていたり。
こんなふうに、出番ではない役者さんたちの表情や反応を見られるのも楽しかった!
そして、桂憲一さんの「チャオ!」は無敵です(笑)。
この公演は水下きよしさんの追悼公演ということで、会場の壁にはぐるりと水下さんの笑顔の画像が貼られていました。
初演で水下さんが演じた坂東太郎実は藤原純友役は小林大介さん。
顎鬚たくわえて黒髪オールバックにしていて白いテロンとしたシャツに黒パンツって何だかイタリアーノの遊び人みたいでまぁカッコよかったこと
最初の台詞が声といい台詞まわしといい水下さんそっくりで驚いたのですが、これも後で聞いたところによると完コピされたらしいです。
大介さんが台詞を言いながら鐘の側に行って紐を引っ張ると、鐘の中から水下さんの写真が現れて、その歌声が流れる、という・・・笑って見送る、という雰囲気が明るくて温かくて、いかにも花組芝居です。
二幕で秋葉陽司さんが前で歌って皆がコーラスしてる時、後ろから客席にだけ見えるように「この曲が終わったら秋葉君の為にハッピーバースデー唄います!」と手書きの横断幕が。
役者さん、客席一緒に♪ハッピー バースデー トゥユ~ と歌ってサプライズでしたが、「昨日、潤ちゃんの誕生日で今日はいつあるんだろうと思ってドキドキしてたけど、もうこんな時間だし、僕は忘れられたのかなと思ってた。だからほんとにうれしい」とおっしゃてました。
42歳、おめでとうその時の様子はこちらに。
終演後にはアフターイベントがありました。
私は初めてでしたが、缶ビールとか飲みながら役者さんたちと立ち話するっていう・・(笑)。
終演すると役者さんたち自らさっさとマイクを片付けてバミテープはがしてテーブル持ってきて飲み物運んで、と手際よく。飲み物はビール 300円 酎ハイ 200円 お茶 100円 からチョイス。
張り切って小林大介さんのところに行って「酎ハイお願いします!」と買いました。
始まるとすぐ、まだ席に座っていた私たちのところへ八代進一さんが「かんぱーい」と自分のビール持って乾杯しに来てくれました。いい人だ。
折角なので、加納さんに、「このごろ関西公演ないので次回はぜひ来てください」とだけ言って帰ろうと思っていたところ、ずっと話しこんでいらしたので、代わりと言っては失礼ながら植本潤さんに訴えてきました。とても人あたりのいい方で、先日「パン屋文六の思案」観たことをお話したり。コング桑田さんのことがまるで共通の知人のように話題にのぼっておかしかったです。
会場内は写真撮影禁止で「写真を撮りたい人は個別に役者を外に呼び出して下さい」と最初に注意があったのですが、私が外に出た時、そういうふうに呼び出されたらしい役者さんたちがいらしたので写真撮らせていただきました。
丸川敬之くんと谷山知宏くん カッコいいポーズしてくれた植本潤さん
とはいうものの、実は私はこの手のイベントが苦手。
常連さん多い感じだったし、サインもらってる人もいたけど、役者さんのサインに興味ないし、第一、花組の役者さんたちのことそれほど知らないし(爆)。
ということで途中退場ごめんなさ~い のごくらく地獄度 (total 1210 vs 1214 )