2014年06月14日

散らば花のごとく 雪組 「一夢庵風流記 前田慶次」

yukikeiji.jpg宝塚歌劇団雪組トップスター 壮一帆さんサヨナラ公演。
相手役の愛加あゆさんも、未涼亜希さんも同時退団(涙)。

宝塚歌劇 雪組公演
宝塚傾奇絵巻 「一夢庵風流記 前田慶次」
原作: 隆慶一郎 (一夢庵風流記)
脚本・演出: 大野拓史
出演: 壮一帆  愛加あゆ  早霧せいな  未涼亜希  
夢乃聖夏  鳳翔大  大湖せしる  蓮城まこと  
彩凪翔  彩風咲奈  月城かなと  咲妃みゆ  
梨花ますみ  夏美よう  一樹千尋 ほか

2014年6月7日(土) 3:00pm 宝塚大劇場 1階11列センター
 
   

関白・豊臣秀吉の隆盛期に、加賀藩の大名・前田利家の甥にあたり、天下の傾奇者として名を馳せた慶次の豪放磊落な生きざまを、恋と友情を軸に描いた物語。

私が前田慶次を知ったのは、2002年の大河ドラマ「利家とまつ」で及川光博さんが演じていたのが最初で、あれでイメージが形成されていて、派手な着物を来て傾奇者と呼ばれた自由人という感じ。
そのミッチーの奥様は元タカラジェンヌだし、隆慶一郎さんといえば、劇団☆新感線の「吉原御免状」を書いた方で、「原作読んだなぁ」・・・私にとって何となくシンクロニシティを感じる作品です。

信長秀吉家康利家とまつに軍師官兵衛まで、大河ドラマ10本分位いろんな人たちが出て来て、歴史物好き・大河ドラマ好き的に大いに楽しめました。
サヨナラ公演ですが慶次の人となりや生き様を反映してカラリと明るく、史実とフィクションを織り交ぜたストーリーもおもしろく、壮さんはじめ雪組の皆さんがイキイキと演じていてよい舞台でした。オープニング。
慶次の愛馬・松風が映像で登場して実際の人たちと融合するシーンはとてもよかったです。
壮さん慶次が映像の敵相手に立ち廻りするあたり、ちょっと早乙女太一くんの「影絵」思い出したり。

松風は松竹さんの協力で歌舞伎の舞台にも登場する馬がちゃんと人力(笑)で登場。壮さん慶次、気持ちよさそうに乗りこなしていました。
利家の妻であるまつ(慶次の叔母にあたる)と慶次が愛し合っている(つまり不倫関係ね)という設定は原作通りのようですが、ドロドロしていたり悲壮感は全くありませんでした。
雪丸(未涼亜希)に利家に反旗を翻してこちらの側につけと脅された時、「女を抱くのはその女に心底惚れてるからだ。他に理由があるか、バーカ」と言う壮さん慶次にさらに重ねるように「覚悟がなければ抱かれませぬ。バーカ」と愛加さんまつ。客席爆笑わーい(嬉しい顔)

自由奔放で明るくて快活で豪胆で包容力があって、茶目っ気もあってちょっとS・・・慶次はほんとに壮さんにぴったりの役でした。
華やかな衣装もお似合い、キリリとした馬上の姿の美しいこと。学生時代に剣道で鍛えた殺陣も見事で、本当に楽しそうに活き活きと演じていらっしゃいました。
追手に取り囲まれるのをもろともせず、「命など、とうの昔に女にくれておるわ」とか、痛快!
前田慶次は壮一帆さんがかねてからやりたい役だったとか。
ご自分でもお似合いだということがわかっていらしたのでしょう。「己を知る者は智し」とはよく言ったものです。

奔放な慶次が弱い自分をさらけ出すことのできるただ一人の人・まつの愛加あゆさんもちょっぴり姉御肌で肝がすわった利発な女性を好演。
次期トップスターに決まっている早霧せいなさんがは前田家の家老で慶次のよき理解者・奥村助右衛門。
ちょっと役不足かなぁという感触ですが、笛を吹く佇まいの美しさ、慶次のたてたお茶を飲んで「お前の茶は旨いなぁ」としみじみ言う温かさが印象的でした。

その早霧さんの相手役としてトップ娘役就任が決まっている咲妃みゆさんは慶次を兄の仇と狙い、兄の名を名乗る男装の忍び・捨丸。
これはもうけ役でとてもよい役でした。
命を狙って慶次のそばに仕えていた捨丸が、少しずつ心惹かれていき、自分の命を投げ出してまで慶次を守る最期にじ~ん。
咲妃みゆちゃん、着物の所作や殺陣はまだまだですが、お芝居上手いし可愛いし、小顔で早霧さんとのバランスもいいし、ステキなカップルになるんじゃないかな(96期だけどバッド(下向き矢印))。

未涼亜希さんは家康の手先となって前田家・・ひいては豊臣家の転覆を謀る狙う忍び・雪丸。
慶次の陽に対して陰の役で、ブラックジャックみたいに顔にナナメに傷を持ち、不気味な悪の魅力プンプン、迫力の存在感の悪の華でした。
この雪丸と助右衛門の妹・加奈(大湖せしる)との濡れ場は艶めかしくてちょっとドキドキものでした。
しかも盆が回りながらセリの上には慶次とまつ、ってほんと、目のやり場にコマル・・・というか目が忙しい。

夢乃聖夏さん深草重太夫のコミカルな雰囲気も楽しかったし、月城かなとさんがかなり目立つ役をもらっていたのも印象的でした。
たくさん出てきた歴史上の人物の中では、最後に「愛」の兜かぶって出てきた鳳翔大さん直江兼続が全部持ってっちゃったかなぁ(笑)。

この日、開演前にルマンにサンドイッチ買いに行く途中、宝塚大橋ですれ違った人がご年配ながら華やかな方で、お顔も見覚えがあったので「ジェンヌさんだなぁ。専科の方だったかしら・・」と思っていたのですが、舞台を観たら秀吉で大活躍されていて「exclamation×2」となりました。
夏美ようさんでした。


ラスト。
晴れやかな笑顔で松風にまたがり、みんなに見送られて、「散らば花のごとく。楽しゅうござるのう」と去っていく慶次。
フライヤーに書いてある「これが最後の壮一帆」。
いかにも壮さんらしい明るくカッコいい幕切れでした。


(長くなったのでショーは別記事に続きます。)
posted by スキップ at 23:51| Comment(0) | TrackBack(0) | TAKARAZUKA | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください

この記事へのトラックバック