2014年05月23日

新しい一歩を踏み出す勇気 「酒と涙とジキルとハイド」

jekyll.jpg「ひたすら笑って、後には何も残らないコメディをつくりたかった」という三谷幸喜さん。原点回帰ともいえる作品です。いや~、笑いましたワ。

ホリプロプロデュース 「酒と涙とジキルとハイド」
脚本・演出: 三谷幸喜
音楽: 高良久美子 
出演: 片岡愛之助  優香  藤井隆  迫田孝也
ミュージシャン: 高良久美子  青木タイセイ

2014年5月22日(木) 7:00pm シアターBRAVA! 
1階D列上手


スティーヴンソンの「ジキル博士とハイド氏」をモチーフにしたシチュエーションコメティ。
舞台は19世紀末のロンドン。
ジキル博士(片岡愛之助)は人格を善と悪に分離させる薬の開発に失敗。研究発表を翌日に控え、助手のプール(迫田孝)と一計を案じて売れない役者ビクター(藤井隆)に自分の邪悪な分身「ハイド」を演じるよう依頼します。
博士の恩師の娘で婚約者のイヴ(優香)は日頃から生真面目なジキルを物足りなく思っていましたが、ビクター演じる荒々しいハイドにときめいてしまいます。さらに・・・。舞台全面 ハの字型2方向に高い壁一面が棚になっていて、様々な大きさ、形のガラスの瓶がびっしり並んでいるジキル博士の研究室のセット。デスクの上にはいかにも実験室といった感じの怪しい液体の入ったフラスコや実験道具。
中央奥に斜めに長い階段があって、その上が玄関の扉。屋根の上が外になっていて歩く人影も客席から見える・・・という設定のようでしたが、私の席は前すぎてその高い位置を歩く人は頭が少ししか見えず。ミュージシャンもここにいたらしいのですが、全然気づきませんでした。舞台装置としてはかなり好き(美術: 松井るみ)でしたが、ちょっと残念だったかな。

この階段と衝立を使って人物が出たり入ったり、立体的に動かし、入れ替わりや取り違えのおかしさを繰り出していきます。
いわゆるテンドン・・ギャグの繰り返しンが結構あって、最後の方はちょっぴり飽きてきたりもしましたが、スピード感ある笑いの応酬。何より役者さんたちの熱演が楽しくて、声に出して笑ってしまうこと多々。
「声に出して笑う」って、三谷幸喜さんのコメディが若干苦手な私としては初めての経験でした。

何といっても優香ちゃんの熱演が光ります。
清楚なお嬢様ながら心の内に奔放さを秘めたイヴ。
喉をつぶしてしまったらしく声は少しハスキーでしたが、とてもチャーミングで表情豊か。堂々のヒロイン&コメディエンヌぶりでした。
その小顔をネタにしたシーンもありましたが、ほんとに小顔でスタイルよくて、壁に体当たりするなんて思い切りもよくて。
「怖がりだから舞台の仕事はずっと避けてた。でも私も新しいことに踏み出して変わらなきゃと思ってやってみることにした」という趣旨のインタビューを以前読んだのですが、ハイジという自分の中の別人格を知ってひどく混乱しながらも、それを受け容れて、「私は大丈夫よ」と凛と去っていくイヴにそんな優香ちゃんが重なりました。
そして、そんな優香ちゃんを引き出す三谷幸喜さんはやっぱりスゴイ。

ご本人にそんな意図はないのかもしれませんが、「自分自身の開放」「新しい一歩を踏み出す勇気」という三谷さんのメッセージが、笑いの中に散りばめられているようにも感じられ、それを体現しているのが優香ちゃんのイヴなのではないかなと思いました。

もう一人、驚いたのは助手・プールの迫田孝也さん。
実は3人芝居だとばかり思っていて、あの金髪ロン毛の人は誰だろう、綺麗なお顔だしいい声だし滑舌いいしお芝居も上手いけれど観たことない(実はこれまで何度か舞台で拝見してました)、誰だろう、と帰りにポスターで名前確認して、電車乗るなり「迫田孝也」って検索したくらい(笑)。また新しい星を見つけた気分です。

ちょっと歌舞伎テイストの大仰さも残る演技がジキル博士のキャラクターにハマっていた愛之助さん。行きがかり上、オネェ言葉を使わせる、なんていかにも三谷さん、あざとい(←ほめています)。
個人的には苦手な役者さんですが、大汗かいての大熱演に拍手、の藤井隆さん。
あ、それから、開演前のユル~い諸注意アナウンスは、優香ちゃんの仲良し・サマーズのお二人でした。


これから「春のパン祭り」と聞くたびにこの舞台を思い出す のごくらく地獄度 わーい(嬉しい顔) ふらふら (total 1186 わーい(嬉しい顔) vs 1194 ふらふら)
posted by スキップ at 23:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 演劇・ミュージカル | 更新情報をチェックする
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