2014年05月18日

明日の悲しみの源になりますよう 「アダムス・ファミリー」

adams.jpg1991年に公開された映画「アダムス・ファミリー」は観たことはないのですが、あの印象的なビジュアルとテーマ音楽が記憶に残っていました。
元は「ニューヨーカー」に連載された一コマ漫画で、アニメやドラマにもなっていたことを今回初めて知りました。
そして2008年 ブロードウェイでミュージカルとして上演された作品の、今回が日本初演です。


パルコ・プロデュース ブロードウェイ・ミュージカル 
「アダムス・ファミリー」
台本: マーシャル・ブリックマン&リック・エリス
作詞・作曲: アンドリュー・リッパ
原案: チャールズ・アダムス
翻訳: 目黒条/白井晃
訳詞: 森雪之丞
演出: 白井晃
出演: 橋本さとし  真琴つばさ  昆夏美  柳下大  菅原永二  澤魁士  菊池銀河  友近  鷲尾真知子  今井清隆 ほか

2014年5月11日(日) 12:00pm オリックス劇場 1階2列目上手



ニューヨーク・セントラルパ-クの中にある不気味な屋敷に住むアダムス一家は不幸や忌まわしいものが大好きなお化け一家。
この一家の物語ですが、映画とは別のストーリーになっていて、一家の長女のウェンズデー(昆夏美)が普通の人間であるルーカス(柳下大)に恋をして、その両親(菅原永二、友近)とともにアダムズ家を訪ねて来ることから巻き起こるひと騒動・・・。

オープニング。
ステージのように見立てられた枠にかかったカーテンからスッと手(映像)が出てきて ♪ジャジャジャジャン とあの聞き覚えのあるメロディが流れた時には「あれだぁ~」と思いました。次の瞬間、「パン パン」と客席の周りの人たちが拍手したのには、「あ、ここでみんなで拍手ね」と私のミュージカルの客席苦手感があせあせ(飛び散る汗)ホラーコメディだそうですが、ホラーの要素はあまり感じられなくて、愉快なファミリーの愛の物語といった感じ。
そんな中で、アダムス家の母・モーティシア(真琴つばさ)とルーカスの母・アリス(友近)が、互いの価値観や夫婦の形の違いや愛情、「夫は自分に隠しごとをしない」といったことを語り合うあたりがこの物語の軸になっていて、それが最終的にウェンズデーとルーカスの恋のハッピーエンドへと繋がっていくといったところかしら。

楽曲はあのテーマ曲以外は特に耳に残るキャッチーな曲はないけれど、どれも聴きやすく、歌うまさん揃いのキャストで聴き応え十分です。
映画のポスターを忠実に再現したような出演者のビジュアルや衣装は楽しいし、白井晃さんの演出は相変わらずソフィスティケートされていて、お墓の下から続々出てくる着飾ったご先祖様たち(幽霊)がアンサンブルというのも洒落ていました。
欲をいえばもう少しホラーテイストというか、お化け感(笑)が欲しかったかなぁ。アダムス一家がそういう趣向を持ったコスプレ好きのファミリーに見えなくもなかったもの。

ダンディな橋本さとしさん以下、キャストは盤石。
菅原永二さんや友近さんなど、「この人たちがミュージカル?」と思った役者さんもちゃんと歌えて踊れて溶け込んでいてさすが。
真琴つばささんはモーティシアのエキセントリックな感じに真琴さん自身の浮世離れした雰囲気がピッタリハマっていました。歌はあまりお得意ではないというイメージ(4月の「夢の祭典」でも自虐ネタ言ってたし)でしたが、よく声も出ていて、ダンスのカッコよさはピカイチ。あのモーティシアの衣装って着こなすの難しそうですが、プロポーションもバツグンでした。

ウェンズデーの昆夏美ちゃんは歌ばかりでなく演技も一流であることを改めて証明。
清純派のイメージをガラリと脱ぎ捨てていつも睨んでいるような二コリともしないウェンズデー、動きもカワイかったです。
ただ、彼女の場合、身長がなぁ~。カーテンコールでパグズリー役の銀河くんも「次やる時はお姉ちゃんの身長を抜かしてしまうかもしれません」と言っていましたが、こればかりはどうしようもないことで彼女のミュージカルスターとしての資質には全く関係ないことだとわかっていても、あの身長は今後役の幅を狭めるのではないかと心配です。

事前にキャストをあまりチェックしない私は、今井清隆さんが出ていらっしゃるのを知らず、「あのいい声のスキンヘッドの人は誰だろう」とずっと思っていたのですが、カーテンコールのご挨拶で今井さんだとわかってびっくり目
そりゃいい声のはずですワ。


そんな訳で気づいていなかったのですが、この日は大楽で主要キャストお一人ずつご挨拶がありました。
グランマ役の鷲尾真知子さんが開口一番「とっても淋しいです」とおっしゃったのが印象的。「今日でお別れです。愛してまーす」と。
橋本さとしさんに「黄色い人!」と紹介された友近さん。
「大千秋楽、大阪で皆さんノリノリで最後まで盛り上がって下さいまして本当にありがとうございます。あ、申し遅れました。ワタクシ、藤原紀香です」(笑)
「普段は芸人をやらせてもらっているんですけれども、ミュージカルに出させていただいてまたネタを仕入れて・・・今度の新ネタはフェスターあたりのキャラクターが出来ればいいかなと思っています」(笑)

今井清隆さんさんは、「最初、このメイクをしてもらった時、ちょっと自分でも引いたんですが、今や自分の素顔よりもこの顔を愛し始めている自分がいるのに気付きました。」
真琴つばささんは、
「本日無事に千秋楽を迎えられましたこと、今まで観に来て下った全てのお客様を代表して本日のお客様にお礼申し上げたいと思います。本当にありがとうございます。『今日の舞台が明日の元気の源になりますよう!』って言いたいですが、アダムス風に、『明日の悲しみの源になりますよう!』本日はありがとうございました。」
さすが元宝塚のトップスターさん。ご挨拶がウイットに富んでいてお上手。

最後に橋本さとしさん。
「この『アダムス・ファミリー』はカンパニーというよりも「家族だ」とずっと言い続けてきて、今日はここに集まって下さった大阪の皆様も完全にアダムス・ファミリーです!」

そして「最後にアダムス・ファミリー風の手打ちで終わりましょう」とさとしさんがアカペラでテーマ曲♪ジャジャジャジャン 客席パンパンッ  ジャジャジャジャン パンパンッ  ジャジャジャジャン ジャジャジャジャン ジャジャジャジャン♪パンパンッ 舞台客席一体になって拍手キマってご満悦のさとしさん、右手を高く掲げて「Yes!」
楽しく盛り上がって打ち出されました。


でもさとしさん、実はあのテーマ曲よくわかってなかったことが真琴つばささんのブログで判明 の地獄度 ふらふら (total 1183 わーい(嬉しい顔) vs 1189 ふらふら)
posted by スキップ at 13:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 演劇・ミュージカル | 更新情報をチェックする
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