2014年05月03日

「蒼の乱」 2回目にして東京千秋楽

aonoran3.jpg初日以来、1ヵ月ぶりに観る「蒼の乱」。
物語も役者さんたちの演技も深みを増し、進化していました。


劇団☆新感線 2014年春興行 いのうえ歌舞伎 「蒼の乱」
作: 中島かずき
演出: いのうえひでのり
美術: 堀尾幸男   照明: 原田保  衣裳: 小峰リリー 
音楽: 岡崎司   作詞: 森雪之丞、いのうえひでのり
出演: 天海祐希  松山ケンイチ  早乙女太一  梶原善  
森奈みはる  橋本じゅん  高田聖子  平幹二朗 ほか

2014年4月26日(土) 12:30pm  東急シアターオーブ 
1階18列下手


初日(3/27)のレポはこちら
東京千秋楽カーテンコールのレポはこちら


初日に観た時より上演時間が10分短くなっていましたが、どこが短くなったかそんなにわからず。
初日にはあっさりしすぎていて物足りないと思えた蒼真が逡巡の末、将門御前として立つ決心をするところなどいくつかの場面はむしろより時間をかけて深く描かれていた印象です。
これは役者さんの演技の進化によるところもあるのかもしれませんが。

役者さんの演技の進化といえば、「太一くん、どーした?」というのが千秋楽の一番の印象。
早乙女太一くんの台詞術が「髑髏城の七人」に比べて格段に進化したという感想をよく見かけるのですが(私はこの意見には異論あり、で髑髏城もとてもよかったと思っています)、今回の帳の夜叉丸は結構感情を表に出すキャラクターでそのせいもあるかなと思っていました・・・が、この日は、何ていうの、悪ノリ?(笑)
口の中に両指入れて広げながら悪態ついたり、小次郎と蒼真に「おっじゃまっかにゃ~?」と猫言葉使ったり、ついにはクレヨンしんちゃんの口マネまで披露するというハジケっぷり。
間を観ていませんので、徐々にこうなったのか千秋楽スペシャルだったのかよくわかりませんが。(天海さんに「もう気がすんだ?」的なこと言われてました。)
このいかにも年相応の若者らしい雰囲気と殺陣の時の凄味のギャップがね~タマラン揺れるハート殺陣は相変わらずキレッキレ。
友貴くん太刀影との、あの傾斜のついたセットで階段も使い、さらに盆で回しながら縦横無尽にハイスピードで動く超絶技巧殺陣にハラハラドキドキ、川原正嗣さん七巻とのまさに命のやり取りをするような真剣勝負の重厚な殺陣に息を呑み、そして常世王が亡くなった後、「たとえ一人になろうとも、蝦夷の誇りは貫いて見せるッ!」という鬼気迫る絶叫に背中がゾクゾク。

アドリブの入るところが少ない作品なので千秋楽スペシャルらしきものはあまり気づかなかったのですが、邦香の父上(逆木圭一郎)と叔父(吉田メタル)が客席へ退散していくシーンでは、じゅんさん黒馬鬼が「真っ直ぐ行け~!今日は曲がらず真っ直ぐ行け~~!」と叫んでいました・・・が、二人は結局曲がって行きましたが。これを見てじゅんさん、「34日間、がんばって来たなぁ」と。

ニ幕で小次郎が客席通路を行くところは今回、蒼真、桔梗も一緒でしたが、これは初日になかったのでは?
横通路を下手にはけて行ったのですが、ちょうどその横通路2列目の席でしたので、思わぬサプライズ眼福でございました。


初日のレポで私がサクッとあげた8ポイントの中のギモン

・で、結局どーなの?善さん!

梶原善さん演じる弾正淑人は、あの“食えない”感が何とも言えず、飄々としていて腹に一物あるのか、実はいい人なのか、というバランスが絶妙。
初日に観た時は、その弾正が、実は何もかも承知の上で、事を成した後の太政大臣や朝廷の出方も読んだ上で、自分が左大臣になるため、つまり立身出世のためにこの反乱を利用したという方が強いかな、という印象だったのですが、今回観て、それもあるけれど、その過程で将門小次郎の意気に感じたことは確かで、その想いを何とかしてやりたいと思ったのは違いないと、ちょっと好印象に転換。でも結局、都とか朝廷とかに呑み込まれていってしまうのかな。

もう一つのギモン

・農民の場面 エリザの♪ミルク だよね?

これ、初日に観た時は振付も曲もすごく似てるなぁ、と思ったのですが、二度目に聴くと全く同じ曲じゃん・・・つまり替え歌?(笑)
一緒に観劇したみんみんさんがサントラCDを買っていらしたのでクレジット調べていただいたら、「クルミ」っていう曲名なんですって(爆)

初日と印象が違って感じられたことがもう一つ。
将門御前として立つことを決めた蒼真が青いマントを翻して舞台奥に去って行く場面。
初日にはそのカッコよさにシビれて、「やっぱ宝塚出身の人はマントの使い方がハンパなく上手いなぁ」と思ったものですが、今回はその背中により深く孤独の影を感じました。
「外つ国の人間だろうが蝦夷だろうが、関係ない。自由な国を」と夢みた蒼真。その道を進むと決めた覚悟。
だけど蒼真の肩はそれを背負うにはあまりにも細く、痛々しく見えたのでした。


主役以外のキャストについて少し。

何と言っても存在感際立っているのは橋本じゅんさんの黒馬鬼。
初日のレポではこれのネタばれはいくら何でも・・・と詳細自粛したものです。
初日、「坂東には野良馬がいる」と小次郎が指笛を吹いた時に「野良馬」という言葉に反応してゲラゲラ笑っていたら、走り出て来た馬たちのセンターにじゅんさん黒馬鬼がいて、ポーズ取る姿に拍手。
いや、すごくいい役なのですが、なんせ馬だし、幕間に一緒に観ていたファザコンサリーちゃんに、「じゅんさんって二幕もずっとあの役なのかな?」と言ったくらい。
ずっとあの役でしたけど(笑)。
ピンチに登場するヒーローっぷりといい、小次郎が黒馬鬼の言葉がわからなくなるのと入れ違いに蒼真がその言葉を理解できるようになるあたり、すべてのジャッジメントを握っているのはこの黒馬鬼なのでは?と思えます。
あんな役をつくり出してその役にじゅんさんをキャスティングする中島かずきさんといのうえひでのりさんもさすがですが、やっぱじゅんさんならではです。あの脚の遣い方とかひらめき

それからもちろん平幹二朗さん。
二役で、どちらも「何だか大物が出るぞ、出るぞ」的な前ふりがあって登場する役なのですが、その前ふりに全然負けていない重量感。
平さんが登場するだけで舞台の雰囲気が変わります。
すごく声を張っている訳でもないのによく聞き取れる台詞、そしていい声。ゆったりとした動きなのに一つひとつ決まる型。すばらしいの一言です。
この日はご子息の平岳大さんがお近くの席でご観劇でした。お父様の舞台ご覧になったりするのね~。

そういえば幕間には岩崎宏美さんもお見かけしたのですが、邦香こと森奈みはるさんのブログにお写真が。そーですか、みさるさんつながりでしたか。


ということで長くなってきましたので続きはまた次回に・・・って最後までたどり着くのか? のごくらく地獄度 わーい(嬉しい顔) ふらふら (total 1176 わーい(嬉しい顔) vs 1178 ふらふら)
posted by スキップ at 22:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 演劇・ミュージカル | 更新情報をチェックする
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