2014年02月25日

お帰り~♪ 近鉄アート館 「片岡愛之助特別公演」

artkokera.jpg近鉄アート館 13年ぶりの復活。
復活祭としてあべの花形文楽や高泉淳子さん率いる「ア・ラ・カルト」Special Live 、はたまた野村萬斎さんの狂言など第六夜まで魅力あふれるプログラムが並んでいますが、それに先立ってまずはこけら落とし。
アート館といえば舞台を取り囲む三面客席が特徴ですが、あの舞台で歌舞伎?と、とても楽しみにしていました。
愛之助さんの知名度もあってか、前売券完売という人気ぶりです。

近鉄アート館 劇場開き 「片岡愛之助特別公演」
2014年2月22日(土) 5:00pm 近鉄アート館 B1列下手


京都での仕事を終えて大阪に戻る新快速が高槻を過ぎたあたりで踏切の異常信号とかで16分も停車してしまってただでさえギリギリなのに間に合うのかドキドキしましたが、開演5分前に無事到着。
会場に入ると、昔ながらのアート館の三面客席が広がっていて何だかうれしくなりました。


一、越後獅
出演: 角兵衛獅子/片岡愛之助  後見/片岡愛一郎


一幕目の越後獅子は素踊り。
愛之助さんの素踊りを観るのは初めてでした。
飛び抜けて踊りがお上手という印象はあまりない(笑)愛之助さんですが、紋付袴できりりと引き締まった表情で正方形の舞台いっぱいに使って踊る姿は凛として迫力ありました。
素踊りなので獅子頭や太鼓などはつけていらっしゃらなかったのですが、長い白布を両手で振る「布晒し」は、、一度も布の先が床につくこともなく波打つ布の動きがとても綺麗でした。布をずっと振りながらの海老反り(・・とまではいかないけれど)もお見事。二、劇場開き記念 口上

三方を客席が囲み、その奥に幕があるので、口上は板付きではなく、幕が開くと下手袖から愛之助さんが進み出て中央に敷かれた緋毛氈に正座。終了後も歩いて去るという形で、なかなか新鮮でした。

上手、下手、正面ときっちり目線を決めてお決まりの口上の後は少し砕けた雰囲気。
「どちらを向いてもお客様がいらっしゃるので緊張します」を連発していらっしゃいました。「ご存知ない方もいらっしゃるかもしれませんが、私は大阪生まれの大阪育ち、今も大阪に住んでいますので、阿倍野は地元のようなもの・・」とこの劇場のこけら落とし興行に選ばれたことの喜びを語っていらっしゃいました。
次の幕に登場する東學さんが3月にハルカスで開催される個展のチラシを懐から取り出して告知もしっかり(笑)。

最後には「今後とも上方歌舞伎をよろしくお願いいたします」と。
一人きりの口上ですが相変わらず場を楽しませる話術は達者です。その分、「口上」の格式やよい意味での緊張感は薄めだったかしら(笑)。


三、操り三番
東學即興にて松羽目 相描き競演申し候
出演: 三番叟/片岡愛之助  後見/片岡千次郎  特別競演/東學


これか今回のメインエベント。
愛之助さんの舞踊と墨絵師の東學のコラボレーション。
まずは、紋付袴の東學さんが登場して、笛や鼓、太鼓の静謐な演奏の中、ホリゾント一面の白いキャンバス(板かな?)に墨で絵を描いていきます。
固唾を飲んで見守る客席。真っ白な空間にダイナミックに力強い筆づかいが進み、輪郭が描かれ、眼が入って、それが龍であることがわかります。
白に黒い墨の濃淡だけで描かれたまるで生きているような四頭(なのか?)の龍が完成してその前の端っこに東さんが正座したところで愛之助さん三番叟登場。

愛之助さん三番叟が踊り始めると、東さんがまた画面に向かい、今度は筆を遣わずに手で、白い隙間を埋めるように、金色を乗せていきます。
これがね~、見事は松の大木になるのよ・・・「あ、松羽目だったんだ。そうだ、操り三番叟だものね」とこの時になって気づいた次第(事前にプログラムチェックしたりしないものだからあせあせ(飛び散る汗))。

愛之助さんは、あのメイクでも綺麗なオトコマエの三番叟でパッと目を引く華はさすが。華やかな衣装といい、こけら落としのお目出たさ満載です。箱から出るところなどがなかったので、見せ所の人形振りは少し物足りない印象でしたが、糸から解き放たれて踊る姿は活き活き。ジャンプも意外に(笑)軽々だったり。
後見の千次郎さんともども、とても真摯に全力投球で踊っているのが伝わって好感でした。
そして最後は松羽目の前で愛之助さん、東さんんも二人が型を決めて幕。

後見を勤められた千次郎さんのブログに舞台の様子やとても即興で描いたとは思えない松羽目の画像が。


IMG_4502.jpgカーテンコール。
拍手が鳴りやまず、再び幕が開くと愛之助さんと東學さんが並んで登場。
東さんは、昨年九月の歌舞伎座花形歌舞伎「陰陽師」のポスターもデザインされた方で、「僕らは裏方で、ほんとなら舞台どころかここ(袖のこと)にもいないくらい。それが昔、自分が客席から観ていた舞台に出させてもろて・・・」と感激のご様子でした。
愛之助さんは、大役を勤め終えてほっとしたような柔らかな笑顔が印象的でした。
こちらは記念に配られた手ぬぐいです。

左・正面・右とある客席の正面ブロックの座席でとても見やすかったですが、折角の機会なので真横から観るのもおもしろかったかな、と少し思いましたが、こんな空間で歌舞伎舞踊と墨絵のコラボを観られたことは貴重な機会でした。
また、愛之助さんが口上でおっしゃっていたように「こけら落としは一度きり」というその公演に立ち会えたことは幸せでした。


そして何よりうれしかったのが近鉄アート館の復活ムード
私にとってアート館は、白井晃さん&高泉淳子さん率いる遊◎機械/全自動シアターの公演をよく観た劇場という印象が強いのですが、昔の新感線やそとばこまちもここで観たなぁ、と感慨深いです。NODA・MAP「農業少女」の初演もこの劇場で観ました。
正方形でフラットな舞台を取り囲む階段状になった三面客席。座席数は300。
舞台と客席がとても近い濃密な劇空間でこれからどんな舞台をここで見せていただけるのだろうと本当に楽しみです。


アート館から15分で帰れる自宅最近劇場ひらめき のごくらく度 わーい(嬉しい顔) (total 1139 わーい(嬉しい顔) vs 1148 ふらふら)
posted by スキップ at 23:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 歌舞伎・伝統芸能 | 更新情報をチェックする
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