2014年02月18日

迷わず歩んだ 唯一つの道を 「ラスト・タイクーン」

lastai.jpg2011年から花組を牽引してきたトップスター・蘭寿とむさんのさよなら公演。

宝塚歌劇 花組公演
ミュージカル 
「ラスト・タイクーン ―ハリウッドの帝王、不滅の愛―」

~F・スコット・フィッツジェラルド作 「ラスト・タイクーン」より~
脚本・演出: 生田大和

メガステージ 「TAKARAZUKA ∞ 夢眩」
作・演出: 齋藤吉正
出演: 蘭寿とむ  蘭乃はな  明日海りお  桜一花  
華形ひかる  月央和沙  望海風斗  鳳真由  芹香斗亜  
桜咲彩花   仙名彩世   柚香光  水美舞斗 ほか

2014年2月11日(火) 3:00pm 宝塚大劇場 1階14列上手
 

   
「ラスト・タイクーン」
F・スコット・フィッツジェラルドの未完の小説が原作で舞台は1930年代のハリウッド。
タイクーンと呼ばれる若き天才映画プロデューサー モンロー・スター(蘭寿とむ)は自分が見出してスターにした女優ミナ・デービス(蘭乃はな)と結婚したのもつかの間、突然の事故で彼女を亡くしてしまいます。
合理主義をとなえてモンローと対立する先輩プロデューサー ブレーディ(明日海りお)の存在やモンローの妥協を許さない姿勢に反発するスタッフなどの中、映画づくりに変わらぬ情熱を傾けるモンローは、ある日、亡きミナとそっくりの女性キャサリン(蘭乃はな二役)に出会います・・・。

生田大和先生は大劇場デビュー作がトップスターのさよなら公演で、さぞやチカラ入ったものと思いますが、脚本的にはちょっと盛り込み過ぎという印象かなぁ。
モンローの映画に賭ける情熱、ブレーディとの対立、ユニオンを作ろうとする現場の労働争議、モンローとキャサリン、キャサリンとブロンソン(望海 風斗)の関係、モンローを想うブレーディの娘セシリア(桜咲彩花)など、あれこれ盛りだくさんなのだけど、かえって散漫になってしまって、最後に一気に収束させた感があります。モンローは治らない病気に侵されているらしいとか、ブロンソンのモンローに対する憎悪とか、モンローが死に至りそうな伏線はいくつかあったのに、それを回収せずにいきなり飛行機事故で・・・ってあせあせ(飛び散る汗)
そうそう、このモンローの病気については、自分でも自覚しているらしいのに、モンローのような温かい心を持った大人の男が、自分の命に限りがあることを知っていてキャサリンにプロポーズしたりするかなぁ、むしろ黙って身を引くのではないかなぁ、と人物設定にもいささか疑問でした。

映画なんてどこが面白いのかわからないと言う小説家のボックスレー(華形ひかる)に、「部屋に『ストーブに火をつける女性』がいることを想像してみてください」のという話をして、それから?となった時に、「これが映画です」というシーンはとても印象的でした。あれは原作にある場面なのかしら。

そういった脚本のあれこれはひとまず置いておくとして(笑)、これがラストステージとなる蘭寿さんは、ぴしりと着こなしたマニッシュなスーツがよく似合い、セクシーで大人の男で、だけど純粋で、ほとばしる情熱も温かさもあるモンローで、ほんとにステキでした。こういうの、“男役の集大成”って言うんだろうな。

モンローが ♪ 迷わず歩んだ ただ一つの道を〜 と歌う「人生を賭けた夢」はそのまま蘭寿さんの宝塚での日々とも重なって胸に迫ります。

この日はちょっとハプニングがあって、白いオープンカーに乗る場面で蘭はなちゃんキャサリンの靴が片方脱げてしまって、「失礼」と言ったキャサリンにモンローが「いいえ」とクールに応えてさっとひざまずいてやさしく靴を履かせてあげたのですが、その動作がとてもとても自然でダンディで、最初ハプニングだと気づかなかったくらいです。
「ありがとう」と言うキャサリンにさり気なく「うん」と応じるモンロー。仕草も態度も大人のオトコの魅力全開で萌えました揺れるハート

蘭乃はなさんはいきなり主演女優に抜擢されるミナも、少し暗い陰を引きずったキャサリンも難なくこなしていましたが、この日はお芝居、ショーともに歌が不安定な印象でした。次回作ではシシィ役だと思われますので、歌にはますます磨きをかけていただきたいところです。

次期トップスターに決まっている明日海りおさん。
今回の役ブレーディは、モンローよりかなり年上で、年頃の娘もいて、お金も力もあって、だけどモンローの才能に嫉妬してモンローを追い落とすためにいろいろ画策もする、という憎まれ役。かなりオイシイ役ではあるのですが、そしてみりおくんはもちろんがんばっているのですが、やはりこれはミスキャストなのではないかという印象は否めません。
望海さんの演じたブロンソン・スミスをもう少しふくらませて二番手の明日海さんの役にした方がよかったのではないかしら。

その望海風斗さんはもうけ役で出番は多くないけれどかなり際立った印象。相変わらず歌唱は聴かせてくれるし、端正なお顔が時に冷酷で狂気さえ帯びるブロンソンによくハマッていました。

若手では、芹香斗亜さんと柚香光さんがどこにいても華やかでやはり目をひきます。
柚香さんは今回新人公演主演ですが、声が課題だと思います。同期の水美舞斗さんに先んじられている歌はもちろん、台詞の声もくぐもっていて聴き取りにくい場面も・・・がんばって!


「TAKARAZUKA ∞ 夢眩」
前半と後半でガラリと印象の変わるショー。
オケピから明日海さんが登場するオープニングから、華やかでリズミカルで、いかにもタカラヅカな幕開き。
最初の方に出てきた蘭寿さんのリーゼント風の髪型を「あの髪型ヘンだったよね~」と一緒に観た友人と話していたのですが、あれはバレンタインスペシャルで前髪でハート型つくってたらしい。気づかなかった(笑)。

MUGEN TOURSのシーンが楽しかったな。
華形ひかるくん・望海風斗・芹香斗亜の3人がカラフルな装いでトランク持って、るんるんV・A・C・A・TIONとバケーションを歌うツーリスト。
そこに絡む妖しい女性の一人がタンバリン芸人こと天真みちるさんで、「マツコやん!」と心中でツッコんでしまいましたワわーい(嬉しい顔)

ラスト近くで蘭寿さんがひとり銀橋からステージの組子たちを見渡していく場面。安蘭けいさんのさよなら公演にも同じような場面がありましたが、ステージから蘭寿さんを見る組子の皆さんはたまらないことでしょう。

さよなら公演らしい歌詞がたくさん散りばめられた曲の中で、蘭寿さんの歌った「旅立ちの春はすぐそこに・・」というフレーズが特に印象的だったのですが、プログラムに掲載されている何曲かにはその歌詞がありませんでしたので、主題曲ではないようです。

蘭寿さん率いる最後の黒燕尾の群舞。
大階段からぴしりと揃ったダンスに花組生の気合と蘭寿さんを思う熱い心を感じます。
今回一緒に退団する月央和沙さん蘭寿さんと2人で踊るシーンにグッときました。


終演後には蘭寿さんのご挨拶。
「花組生からの夢眩の愛を受けて、二人でお帰りください」にウケました(笑)。
(バレンタインSPでベアチケットだったから)


宝塚歌劇団花組の蘭寿とむ これで見納めでございます のごくらく地獄度 わーい(嬉しい顔) ふらふら (total 1137 わーい(嬉しい顔) vs 1144 ふらふら)
posted by スキップ at 23:28| Comment(0) | TrackBack(0) | TAKARAZUKA | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください

この記事へのトラックバック