2011年に韓国で誕生して大ヒットしたミュージカル。
音楽・脚本はそのままに、日本人キャスト・スタッフによる日本初演。つまり韓国以外では海外初演なのですと。
しかも初日。ドキドキの開幕です。
ミュージカル
「シャーロック・ホームズ」 ~アンダーソン家の秘密~
脚本・作詞: ノ・ウソン 音楽: チェ・ジョンユン
演出: 板垣恭一 訳詞: 森雪之丞
上演台本」 中谷まゆみ
出演: 橋本さとし 一路真輝 浦井健治 昆夏美
石井一彰 宇野まり絵 竹下宏太郎 コング桑田 大澄賢也
2014年1月17日(金) 7:00pm サンケイホールブリーゼ
1階C列センター
物語: 19世紀末 ロンドン。クリスマスの夜に名門アンダーソン家で2発の銃声が響きます。邸宅にいたのは家長アダム・アンダーソンと双子の弟エリック・アンダーソン(浦井健治二役)、2人に愛され、今はアダムの婚約者となったルーシー(昆夏美)。 この事件直後から、ルーシーは行方不明となってしまいます。
難事件解決が人生の楽しみそのものであるシャーロック・ホームズ(橋本さとし)の元に、アンダーソン家の3人の男が次々と調査依頼にやって来ます。 アダムとエリック、そして二人の叔父でアンダーソングループ副会長である野心家のポビー(大澄賢也)。
ホームズは彼自身の偏執的好奇心をそそられ、助手のワトソン(一路真輝)とともに捜査に乗り出します・・・。
「“推理劇ミュージカル”という異色のジャンル」ということらしい。
謎解きのスリリングな展開に引き込まれ、散りばめられたユーモアにクスリと笑い、役者さんたちの歌に魅了されて、開演前、「19:00開演で21:50終演 長っ」と思ったのがあっという間でした。推理劇という点では、結構早い段階で犯人の目星はつきます。
(私ってばドラマとか見ててもすぐ犯人わかっちゃう方でつまらんといえばつまらん。)
そして、その謎解きのキーが“二人は一人”だということも、透けて見えてきます。
それでも、終盤の畳みかけるような展開には息を飲む思いでしたし、その犯罪の向こうに浮かび上がる愛する人への思いはとても切なくて、最後には涙
舞台装置はシンプル、でホームズの部屋やアダムの執務室、寝室などのセットは舞台の半分を使って、という感じ。
事件を推理する時、中央に立ったホームズの影が後ろの壁に小・中・大と3つ重なっていて「照明であんなふうに映し出せるんだ」と感心していたら、大きいのがパァ~ンとはじけて文字になったりして・・・プロジェクションマッピングだったという。どんなトリックよりアレが一番“ダマされた”感ありました(笑)。
役者さんはいずれも実力者揃いで安定感抜群。
ホームズフリークでもなくホームズはこんな人、というイメージは全くない私にとって、橋本さとしさんは風貌や雰囲気含め、シャーロック・ホームズにぴったり。
ちょっぴりユーモラスな面と病的な推理魔という顔とのバランスも絶妙でした。歌はさすがに聴かせてくれます。
この作品でホームズはどちらかと言えば狂言回し的な役どころで、ともすれば主役としては霞んでしまいがちなところ、さすがの存在感でした。
今作では女性という設定のワトソンは一路真輝さん。
前回拝見した「リタルダンド」はストプレだったので、一路さんの歌声を聴くのは本当に久しぶり。
相変わらず歌うまさんで、低音はもちろん、高い声も難なく聴かせてくれました。事件の顛末の説明がワトソンの歌で綴られることもあって、出演者の中で一番歌が多かったのではないかしら。
あんなに美人なのに、色恋ぬきでサバサバした感じのワトソン。ホームズのことをいつも「ホームズ」と呼ぶのに、一度だけ「シャーロック」と呼んでいましたが、何か意味があったのかな。
ヒロインのルーシーは昆夏美さん。
2011年の「ロミオ&ジュリエット」でデビュー以来、目覚ましい活躍で、ミュージカルの話題作にはいつも昆ちゃんあり、という感じ。
相変わらず耳に心地よく響くのびやかなヴォーカル。可憐で守ってあげたいと思わせるような風情もアリですが、エリックとの出会いのシーンのおきゃんな感じもよかったな。
ただ、昆ちゃんは、ヘアやメイク、もっとがんばった方がいいと思います。最初に登場した時、と思いましたもの。
そして浦井健治くんですよ。
幕間の私の最初のツイート:
シャーロック・ホームズ 幕間です。浦井健治くんの二役演じ分け凄い。遠くない将来、ジキル&ハイドやれるのではないかしら。(posted at 20:38:49)
StarSの活動を通じて、シャルル王子そのままの天然でフリーダムなキャラクターが定着してしまった浦井くんですが、本領発揮です。代表作になると思う。
エリックとアダムが瞬時に入れ替わりながら歌う場面、声や歌い方もちろん、目つきや表情、手の挙げおろしに至るまで瞬時に別人になり切っていて、観ていてちょっと震えちゃったよ。
鹿賀丈史さんの「ジキル&ハイド」がすぐに頭に浮かんで、浦井くん、これやれるんじゃないか、と思った次第。
トリックを明かせば実はエリックが一人二役をやっていたということなのですが、それがわかった上でもう一度観てみたかったな。
エリックが本性を現してホームズと格闘する時、それまでゆる~く構えていたのに急変してピシッとボクシングファイターポーズ取るところもシビれるカッコよさ。
「この世で最も凶悪な凶器は、愛だ」を体現するエリックですが、いつも穏やかで、アダムの影のように生きてルーシーを見守るイノセントそのものの彼が、凶器ならぬ「狂気」を見せる凄味。
そしてその後の涙には
浦井くんエリックが流したホンモノの涙にヤラレました。
カーテンコールの橋本さとしさん。
「物語はサスペンスですが、舞台上もサスペンスでした」って、初日でやっぱりいろいろ大変だったのね。さとしさんのやわらかい関西イントネーション、久しぶりに聞きました。
「ブリーゼ5周年。19年前の今日は阪神大震災が起こった日。いろんな関西のパワーをいただきました。客席からも。大阪で初日迎えられてよかった。韓国のミュージカルですが、日本発のつもりでやりました!」と。
さらには「これから東京もありますし地方にも行きます。舞台もどんどん変わっていくと思います。今日の犯人は□□でしたが次は変わってるかも」とおっしゃったのにはさすがに浦井くんが「それ、話変わっちゃうから」とツッコミ。
ボビーのボディガード兼殺し屋役の石井一彰さん。
あのクールビューティはどこかで観たなぁと調べたら、2011年のロミジュリ マーキューシオでした。あのロミジュリからは浦井くん・昆ちゃんと3人もこの舞台に出ているのね。出演者9人のうち3人。1/3ってすごくない?(笑)
「このカンパニー、ほんとにすばらしくて」 by さとしさん のごくらく度 (total 1126 vs 1131 )
2014年01月18日
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あのクールビューティはどこかで観たなぁと調べたら、2011年のロミジュリ マーキューシオでした。
え?私はそれって観てるの?観てなかったの?
あ、いきなりそっから聞く?(笑)
初日以外の二日間、遠いお席から双眼鏡を駆使し観てきました(^_^;)
謎解きなどいろんなことがわかってから次の日もう一回見ると、より解って、さらに惹きこまれましたw
しかしなんせ遠い席…双眼鏡を使うと表情はわかるけど気持ちがちょっとそがれる(^_^;)
なので名古屋でリベンジです(笑)
東京公演あとの名古屋なのでまた進化しているかもです。
女ワトソンのシャーロックとかホームズとかの呼び方…気づかなかったなぁ…そこチェックしよw
2日目の時に女ワトソン、ホームズと机のとこで話しているときだかに、誰々(アダム)…じゃなくて誰々(エリック)…てな感じで話を進めてましたけど千秋楽ではなかった気が…あ、云い間違え?(^_^;)でもサラッとこなしてたので客は誰も気づかずっぽいw
きばりんさんが石井さんマーキューシオをご覧になったかどうかは
わからないのですが(笑)。
2回観ると謎解きの妙味は薄れますが、伏線とかいろいろなものが
最初からわかってより深く観ることができまよね。いいな♪
私は結構前列のど真ん中だったので、浦井君くんエリックの
あの”黒い涙”も肉眼でしかと拝見いたしました。
名古屋もいらっしゃるのですね。
その勢いで、大楽の岩手いかが?
なんと!!
石井一彰さんのマーキューシオ!観てるじゃありませんか!!
しかも3回中2回も(爆)
あかん・・・あきまへん・・・ベンヴォーリオしか記憶に…(笑)
名古屋公演のは、みんみんさんにたいへんお世話になり…おかげで4列目から観劇出来るという…ホンマにみんみんさんに足を向けて寝れませんw
大楽岩手…当初名古屋が大楽だと思ってたのにいつの間にやら東北が…(^_^;)
遥か彼方ですよね…
なんか他の作品の出演も続々と決まっているので、シャーロックは3回で留めておきましょう(笑)
DVDも出ることだし♪
2回も(笑)。
ベンヴォーリオもさることながら、私は大貫くんの死と
石井くんマーキューシオのクールビューティっぷりが好きでした。
みんみんさんは2階席だったと凹んでらっしゃいましたが、
そうなのですか。よかったですね♪
名古屋で一応(笑)完結(笑)。
そうそう、シャーロックはDVD出ますし再演もありそうな雰囲気ですね。
スキップさんの呟きを読んでとっても楽しみにしていたこの舞台。
期待通り大満足な舞台でした!
浦井くん、ほんとにいつかジキハイできそうですよね。
個人的になんだかいろいろ深読みをしちゃって、でもまだまだ深読みできそうな気がして、ついついDVD予約しちゃいました(笑)。
ワトソンが女性というのには最初びっくりしましたが、さばさばした一路さんワトソンがめちゃくちゃ魅力的で、橋本さんホームズとの掛け合いも楽しくて、最高のバディでしたねv
浦井くんは今年は面白そうな舞台の出演が続きますし、今年こそどこかでスキップさんとご一緒できたらいいなあ、と野望を胸にしております(笑)。
そのときは、是非浦井くんの魅力について語り合いましょう!
作品としてもおもしろかったですし、浦井くんの魅力も力量も
最大限に発揮されていて、本当にいい舞台でした。
エリックからアダムへ、アダムからエリックへ、あのくるくる
入れ替っていった時の衝撃。吸い込まれるように舞台の
浦井くんに釘づけでした。
さとしさんホームズと一路さんワトソンもよかったですよね~。
>浦井くんは今年は面白そうな舞台の出演が続きますし、
今年こそどこかでスキップさんとご一緒できたらいいなあ、
と野望を胸にしております(笑)。
本当に、今年は次々とよい作品に恵まれているようで楽しみです。
私の方こそ、ぜひ恭穂さんとご一緒させていただいて、私の
まだ知らない(笑)浦井くんの魅力をたっぷり教えていただきたいです。