2014年01月05日

必要なのは希望だけだ 「モンテ・クリスト伯」

monte.jpg実は初・石丸幹二(除「半沢直樹」)。
宝塚退団後、初・花總まり (2012年の「エリザベート スペシャルガラ・コンサート」」は拝見しましたが)。
ヨーロッパや韓国を経て、日本版“初”上演。
3つも「初」が重なって(ワタシ的に)、新年にぴったりではありませんか。
そして音楽はあのワイルドボーン!

ミュージカル 「モンテ・クリスト伯」 
原作: アレクサンドル・デュマ
音楽: フランク・ワイルドボーン  
脚本歌詞: ジャック・マーフィ
演出: 山田和也
出演: 石丸幹二   花總まり   岡本健一  石川禅  
坂元健児  濱田めぐみ/彩吹真央(Wキャスト)  村井國夫  ほか 

2014年1月3日(金) 6:00pm 梅田芸術劇場メインホール 2階5列上手



19世紀。マルセイユの航海士エドモン・ダンテス(石丸幹二)は船長への昇進と婚約者メルセデス(花總まり)との結婚という幸せの絶頂にいましたが、3人の男たちに陥れられ、孤島の監獄に投獄されます。そこで出会ったファリア神父(村井國夫)に様々なことを教わり導かれ、やがて脱獄して神父が言い遺した財宝を手に入れて、モンテ・クリスト伯と名前を変え、自分を裏切った者たちへ復讐を誓います・・・。


「岩窟王」って原作読んだことないのですが、今さらながら昨年の宝塚宙組「モンテ・クリスト伯」はよくできていたなぁ、と思いました。
「文庫本で7冊もある大作を2時間20分にまとめたミュージカル」ということらしいですが、宝塚版なんて1時間30分で、今回出て来るエピソードほとんど網羅していましたもの。
今思い出しても悪人達が歌う ♪俺はダンテス許さない 俺もダンテス許さない 罠に 罠にはめてやる~は名曲(笑)だったなぁ、と。
(新感線の「蛮幽鬼」もありますが、あれはいろいろ潤色してあったし)

前半、牢獄でのファリア神父との場面が結構長くて、ファリア神父の存在がエドモン・ダンテスにとっていかに大きなものかということが描かれていたのが宝塚版にはなかった部分で、とてもよかったです。
ファリア神父に知識も剣も世界のことも、手取り足取り教えてもらって、エドモン自身は初めて世界に目を開くことができたのだと思いますし、エドモンが(多分身分上)教育を受けていなくて、無知で純粋で、だから騙されてしまったのだということもよくわかりました。その分、後半の復讐シーンはちょっと急ぎ足だったという印象。
復讐シーンが残酷であるほど、エドモンの心の闇の深さが量れると思いますし、その後の魂の救済ももっと際立ってくると思うのですが。
メルセデスの息子 アルベールとの決闘の場面も、アルベールの婚約者、しかも憎っくき仇の娘の説得であっさり改心してしまうのが少し唐突な気がしました。
この点、メルセデス自ら剣をとってモンテ・クリスト伯に立ち向かい、息子を守ろうとした宝塚版の方がよりドラマチックで納得性もありました。
ちなみに、宝塚版はその後にアルベールは実はエドモンの息子だったという、ええっ目っな結末が用意されていましたが、そんなドンデン返しはなかった・・・多分こちらが原作通りなのでしょう。


音楽はさすがにどの楽曲もすばらしく、石丸さん筆頭に歌うまさん揃いのキャストが気持ちよく聴かせてくれるナンバーはいずれも聴き応えたっぷり。

石丸幹二さんは噂に違わぬ歌唱力で大ホールに響き渡る声。台詞も歌詞もとても明瞭。
華はあるしカッコいいし、で、まさに主役をやるべき人だと思いました。
一幕ラストの「地獄に堕ちろ!」の迫力の熱唱には心が震えました。

花總まりさんはこのキャストの中に入るとさすがに声量の面では苦しいかな、という印象。
けれどもそれを補って余りある細やかな演技とヒロインとしての華、気高く品のある雰囲気。立ち姿の美しさ、衣装の着こなしの見事さも必見です。
幸せいっぱいの娘時代も可憐でよかったけれど、後半の憂いのある夫人っぷりも魅力的でした。

濱田めぐみさんの女海賊ヴァンパは荒くれ男どもを従えるカッコイイ役で役得だな。
短い出番ながらさすがの力強くのびやかなヴォーカルで存在感たっぷり。
この役、ダブルキャストですが、彩吹真央さんも観てみたかったな。
ゆみこさんも迫力歌唱力の持ち主だし、元男役だし、この役お似合いだと思います。

そして村井國夫さんです。
これまでに何度も書いていますが、私は村井國夫さんが大好き。
ファリア神父。見てくれは小汚いし、衣装も着たきりだけど、あの端正なお顔を髭が覆いつくしていたけれど、エドモンにとってその存在がどれほど大きかったことでしょう。
アルベールを許して逃した後、苦悩の表情で膝をつくモンテ・クリストの前に現れるファリア神父(の亡霊)。
♪今日までの苦しみを忘れて前に進みなさい 必要なのは希望だけだ と歌います。
「父よ、あなたは正しかった」と、復讐では何も報われないことに気づくエドモン。モンテ・クリスト伯からエドモン・ダンテスに戻った瞬間です。


この日は終演後にアフタートークショーがありました。

ホリプロのヒラノさんという女性の進行で、石丸幹二さん・濱田めぐみさん・坂元健児さんが着席したところで村井國夫さん乱入。
私服でマフラーして帽子かぶってカバンも持って、3人の後ろを通って、「あ、帰り道かと思った」ってチョーお茶目でした。

石丸さんは今回、ほとんど舞台に出ずっぱりで開演すると楽屋に戻る時間もないくらいなのだとか。
「最後までこのまま突っ走ってがんばります」と。

それに対して坂元健児さんは出番も運動量も少なくて、とちょっぴり物足りなそう。
一番運動するのは一幕終わりに♪シャトー・ディフへ~ と椅子に上って歌うところで、これはご自身が提案されたそうです。
椅子の上でいかにバランスが取り難いか、そしてバランス取るために編み出した秘訣(首を動かす)を、「長くなってすみませんね」と言いながら椅子の上に立って実演してくださいました。

坂元さんは濱田めぐみさんと共演するのは某劇団四季でライオンやってた頃以来14年位ぶり。でも今回舞台では全然絡みはなくて、カーテンコールの並びが隣同士で「ライオンキングと一緒♪」と顔を見合わせて笑顔。
今回アンサンブルの中には昔子どものライオンやっていた人たちもいらっしゃるそうです。

「大阪はあと3回。まだまだ変化すると思います。名古屋でも変化すると思います。福岡でも変化すると思います。皆さん、ぜひ僕たちとご一緒に行きましょう」(笑)と石丸さん。
そうそう、カーテンコールでは「ハイライト・ライブ録音版CD」のチラシ片手にPRしていらっしゃいました。笑いが起こる客席に「何で笑うの?」と言いながらわーい(嬉しい顔)


「エルバ島のナポレオン」という言葉が出てくるたびに孤独なナポ礼音の姿が心に浮かぶ私は星組脳 のごくらく地獄度 わーい(嬉しい顔) ふらふら (total 1120 わーい(嬉しい顔) vs 1122 ふらふら)
posted by スキップ at 21:09| Comment(2) | TrackBack(0) | 演劇・ミュージカル | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
アフタートークショーのUPありがとうございますっ!!村井さん出てらしたんですかっ?!
き~~~!!一目拝見したかった!残念です!(そこがっ!(笑))

ラスト・・・宝塚版だと・・・そうなんですねっ!
そりゃすごいどんでん返しだわ!!
今回の舞台の前半・・・私もファリア神父との絡みのシーン・・・
大好きです!よかったですよね・・・
・・・で、同じく後半の復讐のシーンは
あっさりしすぎ・・・!・・・と感じました。
スキップさんが宝塚版と比べちゃうのと同じく
私もどうしても『蛮幽鬼』と比べちゃいます・・(笑)(たしかに『蛮幽鬼』は全然違いますが・・(笑))
こういう見方って・・・いいのか悪いのかわかんないけど・・・
まあ話題は広がりますよね?!いいよね?!(笑)
Posted by かずりん at 2014年01月09日 22:13
♪かずりんさま

今年も劇場で最初に会ったブロガーさんはかずりんさんでした(笑)。

村井さん、翌日の花總さんたちのアフタートークにも乱入された
そうですよ。ほんとにお茶目ですよね。

「蛮幽鬼」と比べるのは多分間違ってる(笑)。
でも本人がそう感じるならいいのよ。
音楽だってお芝居だって、エンタメは自分の感性で楽しめれば
それでいいのだから・・・と私は思います。

先日即答できませんでしたが、次に観る舞台は宝塚の他には
「シャーロックホームズ」です。
さとしさんの舞台、かずりんさんも観に行く?
Posted by スキップ at 2014年01月09日 23:53
コメントを書く
コチラをクリックしてください

この記事へのトラックバック