2014年観劇レポ第1弾はやっぱこれでしょ。
宝塚歌劇 星組公演
ル・スペクタクル・ミュージカル
「眠らない男 ナポレオン ―愛と栄光の涯に―」
L’Homme sans sommeil: Napoléon ~Au-delà de l’Amour et de la Gloire
作・演出: 小池 修一郎
作曲; ジェラール・プレスギュルヴィック
出演: 柚希礼音 夢咲ねね 紅ゆずる 真風涼帆
万里柚美 十輝いりす 音花ゆり 壱城あずさ
如月蓮 天寿光希 音波みのり 夏樹れい
十碧れいや 早乙女わかば 礼真琴 妃海風/
一樹千尋 英真なおき 美穂圭子 北翔海莉 ほか
2014年1月1日(水) 1:25pm 宝塚大劇場 2階15列センター
宝塚歌劇100周年の記念すべきスタートを飾る作品。
エース 小池修一郎先生の書きおろし、作曲は「ロミジュリ」のジェラール・プレスギュルヴィックさん、専科から歌うまさん4人も投入、と、歌劇団の力こぶの入れようが窺えます。
コルシカ島の貧しい田舎貴族の家に生まれたナポレオン・ボナパルトが士官学校時代から頭角を現し、皇帝にまで上りつめた後、ロシア遠征で失敗し1814年にパリを同盟軍に奪われるまでを、妻・ジョゼフィーヌとの愛を軸に描いた作品。
「ナポレオンの生涯を丁寧に、だけど駆け抜けるようなスピードで描いた重厚な歴史物語」というのが最初の印象。
思っていたより史実に忠実なこと、展開が速いこと、物語のほとんどが台詞ではなく歌で展開すること、などから、歴史的な予備知識がない人は初見ではちょっとキツいかな?というのが正直なところでした。
まぁ、ヅカファンは「ベルサイユのばら」はじめ「スカーレット・ピンパーネル」「愛と革命の詩」・・とこのあたりの歴史には詳しいですけれど。あと、宝塚ではないけれど「レミゼ」や「二都物語」もあります。が、ナポレオン自身の生涯となると案外知られていないかもしれません。
私はといえば、大して詳しくはありませんが世界史好きだし(日本史も好きだけど)、例の戴冠式の絵もルーブルで見たし、ノートル・ダム大聖堂にも2回行ったし、というくらいにはパリ好きでもありますので結構楽しめましたが。ナポレオンの息子であるナポレオンⅡ世(天寿光希)に老マルモン(英真なおき/若い頃は紅ゆずる)が語って聞かせるという回想形式で物語は展開します。
ナポレオンの生涯を時系列で丁寧に描いて、戦闘シーンあり、ジョセフィーヌとの愛あり、苦悩あり、周囲の思惑あり、で盛りだくさんなのだけど、エピソード多すぎてちょっと緩急に欠けるかなぁという印象。
1幕 1時間20分で一気にさぁ戴冠式、というところまで行くのですが、少し長く感じました。
このあたり、小池先生、東京までに脚本ブラッシュアップしてくるかしら。
物語としては栄光から一転して堕ちて行く2幕がやはりドラマチックで見応えあります。
見応えありといえば、柚希ナポレオンと夢咲ジョセフィーヌのラブシーン。
すごく濃厚、そして大人。
同じように熱烈だったロミジュリがどこか可愛らしさの残る雰囲気だったのに対して、ナポジョセ(勝手に命名)は、何ともナマナマしくてセクシーで、すみれコードにひっかからないのかちょっと心配になるくらいです(笑)。
ジョセフィーヌが6歳年上で、若く直情的なナポレオンに対して最初はそれほど気もなくて、というのもこの二人のカップルの形としては新鮮でした。
盆やセリといった大劇場の舞台機構をふんだんに使った演出はすばらしかったです。
カーテン前の場面とかほとんどなくて立体的な舞台、という感じ。
(舞台転換の時に幕の向こうでスタッフの人の大声が聞こえることもありました。初日だし、いろいろ大変だったのだろうなぁ。)
衣装も装置も細かい飾りまでとても豪華。効果的な映像。照明も綺麗。
フィナーレは紅さん銀橋ソロ→ロケット(礼真琴くんがまだロケットに出ていることにビックリ。いや、学年としてはそうなんだけど)→紅・真風の二人に娘役たくさんのダンス→柚希さん中心の男役群舞→柚希・夢咲デュエダン でオーソドックスな流れ、かつ一つひとつの場面はわりと短くてあっさり目かしら。
柚希礼音さんナポレオンはとてつもなくカッコいい。
実在の人物ではあるけれど、いかにも小池先生があて書きしたという印象です。
柚希さんの男役って本当にいそうなリアル男子なんだけど、実際にはあんなカッコイイ男の人いないよね~、というバランスが絶妙だな、と改めて。
軍服の似合いっぷりハンパなく、いつも姿勢がいいのに少し背中を丸めて猫背にしたり、左手を懐に入れたり、細かい役づくりもぬかりなく。
今回、難曲が多くてソロでも結構苦戦している人が散見される中、歌唱もさすがの高値安定。
「即断決行!」と上昇気流に乗る若きナポレオンもステキですが、仲間からも家族からも裏切られ孤独の中で堕ちていく最後は切なくて愛おしいです。
対するジョセフィーヌ 夢咲ねねさんもまたすばらしい。
ねねちゃん観てるといつも美しさは武器だなぁと思うのですが、ナポレオンの心を惑わす経験豊富な年上の未亡人というのも納得の美しさと存在感。次々と着替えるドレスの着こなしも見モノです。
今回ソロも多くてすごく大変そうですが、歌もずい分安定して聴かせてくれます。
離縁されたのに最後までナポレオンのことを案じ、アレクサンドルⅠ世(麻央侑央)に「流刑地は生まれ故郷のコルシカ島に似た暖かい地中海の島に」と懇願する姿は痛々しい。
出番は多くないけれど、演技に歌に際立った存在感の北翔海莉タレーラン、抜擢に応えて輝きを放った礼真琴ウジューヌほか、印象に残った人たちはたくさんいますが、この後複数回観る予定ですので、周りの人たちの感想はまた改めて。
初日カーテンコールの模様を少し。
本当は作曲のジェラール・プレスギュルヴィックさんがご観劇の予定だったところ、体調不良で来日できなかったということで万里組長がメッセージを代読。
そして「フランスのヒーロー ナポレオンを演じる星組のヒーロー 柚希礼音」と紹介されて柚希さんご挨拶。
「新年おめでとうございます。本日は宝塚歌劇100周年記念の初日にお越しいただきまして、誠にありがとうございました。偉大な先輩方が築いてこられた100周年の節目に、こうして舞台に立たせていただける責任と喜びを感じております。今日という日を迎えることができましたのは、日頃より宝塚を愛し支えてくださっている多くのお客様のおかげだと思っております。本当にありがとうございます。これからも宝塚歌劇、200周年、300周年へと続くよう、伝統を受け継ぎながら、新しいことへもチャレンジしますます進化し続けたいと思っておりますので、今後とも宝塚歌劇を、そして本年もよろしくお願いいたします。本日は本当にありがとうございました。」
カーテンコール1回目では「100周年初日でド緊張しましたが、皆様楽しんでいただけましたでしょうか?」といつもの手を耳にあてるポーズ。
最後のカーテンコールは客席オールスタンディングとなりました。
「折角だから宝塚歌劇100周年のバンザイしましょうか」という柚希さんの提案で、「宝塚歌劇100周年」という柚希さんの声に続いて舞台、客席みんな一緒に「バンザ~イと笑顔で幕となりました。
ナイアガラバッサーも2回出ました のごくらく度 (total 1119 vs 1121 )
2014年01月04日
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星組「ナポレオン」初日、私の少し前の席でご観劇だったのですね。
もしかしたらロビーあたりですれ違っていたかもしれません(笑)。
文章が上手とは過分なお言葉で、恐縮してしまいますが、
そんなふうにおっしゃっていただいてとてもうれしいです。
基本的に自分用の記録ですので、好みや主観がすごく入って
いると思うのですが、そのあたりは差し引いていただいて(笑)
お楽しみいただければ幸いです。
お友だちとの会話にも乗せていただいて本当に光栄です。
どうもありがとうございます。
「モンテ・クリスト伯」 4日は花總さんや彩吹さんのアフタートーク
があったのですよね。それも聴いてみたかったです。
確かに「ナポレオン」を観た後ではいかにも出演者が少なくて、
セットや衣装も比べるべくもありませんが、それだけ「ナポレオン」には
歌劇団の総力が結集されているということでしょうか。
こちらの方こそ、本年もどうぞよろしくお願いいたします。