2013年10月07日

染五郎さんが国立劇場に帰ってきた 「春興鏡獅子」

kagami.jpg市川染五郎さんが先日のトークショーでも「一生踊り続けます」とおっしゃっていた鏡獅子。
染五郎さんが舞台で踊るのは久しぶりだし、胡蝶は金太郎ちゃんと團子ちゃんだし、ぜひ観たいと思っていましたが、国立劇場は12:00開演で他の予定と組み合わせることができず、無理とあきらめていました。

そんな時、ツイッターのお仲間の「鏡獅子だけ幕見する」発言に、「え!?国立って幕見あるの?」と驚く。実は三階の安い席を買って途中から観る、という自発的幕見のことだったのですが(私も松竹座では時々やります)、その手があったかぁ~と思っていたところへ、初日をご覧になった方の熱いツイートを読み、「やっぱ観に行く!」と上京直前になって無理に予定に入れたのでした。

国立劇場十月歌舞伎公演
新歌舞伎十八番の内 「春興鏡獅子」長唄囃子連中
作: 福地桜痴
出演: 市川染五郎  松本金太郎  市川團子 ほか

2013年10月6日(日) 3:30pm 国立劇場大劇場 3階10列上手


そんな訳で国立劇場3階デビューとなりました。
10列目といっても、2階の続きみたいになっていて、3階は8列目から始まって舞台も近く感じるし花道も1/3位まで見えて、とても見やすかったです。

私は踊りのことはあまりよくわからないのですが、勘三郎さんの鏡獅子が大好きで・・・というか、「鏡獅子」という演目が勘三郎さんのものだと思っています。
(この秋、シネマ歌舞伎でそれが上演されるというとで、多分泣くけど絶対観に行くと決めています。)
が、過去に一度だけ観た染五郎さんの鏡獅子もそれはすばらしくて、もちろん姿も美しくて、一度で魅了された記憶があります。

そして今回。老女と局に手をひかれて恥ずかしがりながら登場する弥生の美しさ、かわいらしさにまず驚く。
元々端正な細面の染五郎さんですからお顔も綺麗、淡い色を重ねたお着物もとてもよくお似合いです。肩を落とし、体を殺しての可憐な女舞。袱紗さばきも二枚扇も軽々。のばした指先の美しさにうっとり。

獅子頭にひっぱられるように弥生が花道を去っていくと、正面が開いて、胡蝶の精の金太郎ちゃんと團子ちゃん登場。
真っ赤なお着物で静止する姿はお人形のようです。
二人で目を見合わせて、息を合わせて、と踊る姿・・・振りを覚えて、それを二人で合わせて、とお稽古したんだろうなぁと思うと、おばちゃん、ウルウルしてしまいましたよ。
金太郎ちゃんがちょっとつまづいたり、團子ちゃんが海老ぞりでそのまま寝そべっちゃったりっしたけど、そんな姿さえ愛おしい。
染五郎さんが会見で、「金太郎と團子くんにも10年20年経って、『あのとき胡蝶の精を一緒にやったな』と思い出してもらえるような、そんな特別な想いのある公演になるといいなと思います。」と語っていらしたように、私も二人が大きくなった時、「おばちゃん(その頃はおばあちゃんだけど)、あの時の胡蝶観たよ」と自慢したいな。

この日は劇場の雰囲気も張り詰めたような緊張感があって、胡蝶の踊りの後、しばらく続く囃子方さんの演奏を客席は静まり返って聴いていました。
そしていよいよ。

染五郎さん獅子の精が登場して花道七三でダンッと右足踏み鳴らし、白い毛が揺れた後ろ姿見た瞬間、涙がぶわっとあふれました。
それからは心震わされっ放しです。

勇壮で力強く華やか。気迫にあふれて、その雰囲気は荘厳なほど。
きりりとした隈取に、一つひとつピタリと決まる型の美しさ。
一瞬たりとも目が離せなくて、時間の過ぎるのが惜しいと思いましたし、踊りって、これほど雄弁なものなのだと改めて感じました。
染五郎さんの毛振りは軌跡が本当に綺麗で、ゆったり振る時も高速回転しても全くブレません。あれがまた観られた幸せ感はこの上ありません。

あの事故から1年強。
全く動けない時期もあったことを思うと、ここまで戻すのにどれほど努力をされたことでしょう。
会場も同じ国立劇場。染五郎さん完全復活の舞台としてふさわしい場所です。
あぁ、これを見逃さないでよかった、無理しても観ることにしてよかったと何度も思い返しながら劇場を後にしたのでした。


できることならもう1回観たかった のごくらく地獄度 わーい(嬉しい顔) ふらふら (total 1071 わーい(嬉しい顔) vs 1075 ふらふら)
posted by スキップ at 22:34| Comment(4) | TrackBack(0) | 歌舞伎・伝統芸能 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
スキップさま♪

本当に素敵でした。
回数が増すごとにパワーアップしていく毛振りは感動、胸が熱くなりましたわ。
弥生、お人形のように可愛かったです。彼の著書にあるように日頃鋭く女性を観察している染五郎さん、やはり芸のためなのですね。

その前の、陣門・組討で、染五郎さんがあの奈落から上がってきた時は涙が出ました。本当に、完全復活ですね。
Posted by ファザコンサリー at 2013年10月13日 10:32
すっかりご無沙汰しております。
スキップ様が国立の幕見で「春興鏡獅子」をご覧になれたのが私も嬉しいです!!
染五郎さんの弥生、期待以上に素晴らしかったです。おっしゃるように、どれだけの努力をなさったことか。精神的にも大きくなられたんだろうなあと思いました。
胡蝶の2人も本当に可愛くて一所懸命で、私もうるうるしてしまいました。
Posted by SwingingFujisan at 2013年10月13日 21:57
♪ファザコンサリーさま

すばらしかったですね。
いや、ほんと。私、これを観ないつもりでいたなんて、
何てこと考えてたんだろうと思います。
染五郎さんの女方は大子ちゃん以来かな?
すごく可憐で可愛いかったですね。

>日頃鋭く女性を観察している染五郎さん、やはり芸のためなのですね。

そやろか。ほんとにそれだけのためやろか?(笑)

陣門・組討の方は私は残念ながら観られなかったのですが、
ファザコンサリーさんはあの8月の奈落の目撃者でもあったので
感慨もひとしおだったことでしょう。
染五郎さんの完全復活、心からお祝いしたいです。
Posted by スキップ at 2013年10月13日 23:50
♪SwingingFujisanさま

こちらこそご無沙汰して申し訳ありません。
コメントありがとうございます。

これを見逃さなくて本当によかったです。
染五郎さんご自身がおっしゃっている通り、これから何回も
「鏡獅子」を舞われることと思いますが、やはり今回は
特別な鏡獅子で、それは金太郎ちゃん、團子ちゃんにとっても
そうで、そして観ている私たちにとっても忘れられない
鏡獅子になりそうです。

精神的に大きくなられた・・・本当にそうですよね。
九月の花形歌舞伎も座頭をお勤めになりましたし、これからは
無念の思いをされた方の分まで、活躍していただきたいです。
Posted by スキップ at 2013年10月13日 23:57
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