2013年08月26日

高すぎる壁への挑戦 星組「ロミオとジュリエット」大千秋楽

romejuli13.jpg「『ロミオとジュリエット』の再演は私たち星組にとって高すぎる壁でした。でもこの再演に挑戦できて幸せでした」
千秋楽カーテンコールで、穏やかな微笑みをたたえながら話した柚希礼音。
「高い」ではなく「高すぎる」壁。
完璧なロミオとして私たちの前に存在した柚希さんでさえ、「再演」のプレッシャーはそれほど大きかったのだと、改めて胸が締めつけられるような思いで聞きました。

宝塚歌劇 星組公演 
ミュージカル 「ロミオとジュリエット」
原作: ウィリアム・シェイクスピア
作: ジェラール・プレスギュルヴィック
潤色・演出: 小池 修一郎
出演: 柚希礼音  夢咲ねね ほか

2013年8月25日(日) 11:00am 東京宝塚劇場 2階10列下手/3:30pm 1階12列センター


今回の上京の一番の目的-「ちえねねの最後の『ロミオとジュリエット』を見届けること」。
苦労して手に入れたチケット握りしめて、行ってきました東京宝塚劇場。

7月8日の宝塚大劇場千秋楽から48日ぶりの観劇。
星組の「ロミオとジュリエット」はさらに進化していて、前楽観た時点で言葉がうまく見つからないくらいでした。

私は基本的には舞台は開幕してからの「進化」はあまり評価しない方です。
プロである以上、初日の幕が開いたその瞬間から完璧で最高のものを見せるべきだという考え。
観客は何度も観劇する人ばかりではないので、初日が開いてすぐ観た人にも千秋楽近くに観た人にも同じ質のものを提供するべきだと思うのです。
ですが、そこは生身の人間がつくり出すナマの舞台。それなりに変わっていくのは当然のことで、そこに舞台の醍醐味があり、それがよい方へと昇華するのは観ていて喜ばしいことです。
そして、今回の星組「ロミオとジュリエット」の、その進化の凄まじさときたら。初演から3年を経て、自然体のまま体当たりで暴走する若者から、大人が演技力でみせる若者へとシフトして見せてくれた主役の二人はもちろんのこと、舞台の隅で踊る人に至るまで、「よくできたアンサンブル」から一人ひとりがヴェローナに生きる血の通った人間に、モンタギューとキャピュレットそれぞれの一族の民になっていく様をまざまざと見せつけられた感じ。
これはもちろん、リピートできたから見えたことではあるのですが、この全員でつくり上げていくパッションとパワーが今の星組を象徴しているのではないかと思いました。それがこの二つの家の対立と、二つの魂の永遠の愛を描いた物語にとてもよくハマって、だから何度でも観たくなる魔力のようなものが、この作品を演じる星組にはあったのではないかと。

何だか抽象的な表現になってしまいましたが、ラスト2回の公演が本当に言葉を失うくらいすばらしくて、背中もずっとゾクゾクしっぱなしで、泣いて、手が痛くなるくらい拍手して、そして燃えつきた気分です。
「出逢ったこと、愛し合えたこと、そのすべてが奇跡」というのはこの公演のポスターに書かれたキャッチコピーですが、今の星組にこの「ロミオとジュリエット」をめぐり逢わせてくれた奇跡に感謝(再演が決まった時、「えええぇ~ふらふらまたぁ~」と散々ぶーたれたことはすでに忘れ去っております)

という訳で、もう今さら細かいことを書いても繰り返しになるので、千秋楽で印象に残ったことをいくつか。

・乳母がロミオを「だいじょうぶかしら」とチェックする場面。
 前楽ではロミオの右腕にぶら下がるのを3回やっていた美城さん乳母。
 千秋楽では右腕を出してロミオにエア腕相撲を挑む。最後には両手を使っていましたがあえなく敗退。で、「たくましいわ」と。

・ティボルト、マーキューシオたちが争う場面で、下手の階段の上にいた真風「死」が退屈そうに指で階段の手すりを尺取虫みたいな動きしていました。あれ何?初めて気づいたのですが・・・と後でTwitterのTL遡ったら何人かそれ言ってる人がいました。ずっとやってたのかな?
それにしても真風さんの死、凄かったです。みんなの嘆き悲しみをよそにニヤリと冷たく笑うあの顔、忘れられません。

・ロミジュリを今回初めて観劇されたらしいお隣の席の年配のご婦人お二人。
 礼真琴さんベンヴォーリオが「どうやって伝えよう」を歌い終わった後、「すごいわね」と顔を見合わせていらっしゃいました。元より歌唱力には定評のある礼さんですが、ベンヴォーリオは間違いなくこの公演中大きな進化を遂げた一人。

・壱城さんマーキューシオ、フィナーレで大階段降りて来た時、「ありがとうございました」と言いながら頭を下げていました。
「この役をやれなかったら宝塚に入った意味がない」とまで言い切っていた壱城さん。達成感あふれる笑顔が印象的でした。

・そして、「もう一度ロミちゃんのママができて幸せでした」とこの公演で退団する花愛瑞穂さん。
 「美しいものを見る心を養う気持ち、人の幸せを願う気持ち、人として大切なものを宝塚で教えて頂きました。14年間宝塚にいられたことを誇りに思います」とご挨拶。この言葉を聞いて宝塚ってほんとにすばらしいところだな、と改めて感じました。

・ロミオから離れて「男役・柚希礼音」となるフィナーレ。
 最後の男役群舞でひとり大階段から降りてくる柚希さんのニコリとも笑わない苦味走った表情、姿のカッコよさ、スターオーラと別格感がハンパなく、この日は2回ともヘンな声出ました(心の中で)。


romejulifine.jpgその柚希さんの千秋楽ご挨拶。
「連日、お暑い中、沢山のお客様にご来場頂きありがとうございました。
当日券は夜中から並んで下さったとお聞きしました。皆様の力強い応援があったからこそ務められました。大好きな作品が今日で終わるのはとても寂しいですが、この公演で得たものを次へ、またその次へ繋いでいきたいと思います。」

大劇場の頃よりまた一段と頬がシャープになって痩せた印象の柚希さん。猛暑の中、心身ともに消耗する公演だったと思います。
少し休んでリフレッシュしていただいて、また新たな柚希礼音に、星組に会えるのを楽しみに待ちたいと思います。


星組の「ロミオとジュリエット」を決して忘れません のごくらく度 わーい(嬉しい顔) (total 1149 わーい(嬉しい顔) vs 1153 ふらふら)
posted by スキップ at 23:06| Comment(2) | TrackBack(0) | TAKARAZUKA | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
連投すみません。
本当に本当に素晴らしい舞台だったのですね。
観れなかったのは本当に残念でしたが、
スキップさんのレポを読ませていただいて、
改めてその悔しさを噛みしめております。
いつか再演されるときがあったら、
そのときこそ宝塚観劇デビューをしてみたいです。

もう一つの「ロミオ&ジュリエット」もオーブでもう直ぐ開幕ですね。
こちらはしっかり通う予定です。・・・大貫くん目当てで(笑)。
といいつつ、尾上松也くんのベンヴォーリオも楽しみだったりv
スキップさんも観劇のご予定があるでしょうか?
どこかでタイミングが合いましたら、是非ご挨拶させてくださいね!
Posted by 恭穂 at 2013年08月28日 21:44
♪恭穂さま

もう、思い入れアリアリのレポで、あまり舞台のよさが伝わって
いなくて申し訳ありません(笑)。
この「ロミオとジュリエット」はベルばらのように宝塚の定番に
なりそうな感じなので、来年の100周年のあれこれが一段落したら
また再演されるのではないかと思います。
でもね~、ちえねねのロミジュリを観ていただきたかったのですよね~(涙)。

もう一つの「ロミオとジュリエット」は大阪で観る予定です。
1回だけですが、松也くんベンヴォーリオに、もちろん死の
ダンサーは大貫くんで!
Posted by スキップ at 2013年08月29日 07:04
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