2013年05月29日

瞬きする時間さえ惜しい 「京鹿子娘二人道成寺」

gogatsu.jpg「道成寺観たいなぁ、観たいなぁ」と思いながら当初はあきらめるつもりだった歌舞伎座柿葺落五月大歌舞伎 第三部。
終演は9:00前だからギリギリだけど最終の新幹線には何とか乗れそうということで観ることにしたものの、チケット完売でなかなか出て来ない中、1週間前になって何とか戻りのチケット手に入れて観てきました。

歌舞伎座新開場 柿葺落五月大歌舞伎 第三部
2013年5月26日(日) 6:00pm 歌舞伎座 1階7列センター


一、梶原平三誉石切  鶴ヶ岡八幡社頭の場
出演: 中村吉右衛門  中村芝雀  中村又五郎  中村歌昇  坂東彌十郎  中村歌六  尾上菊五郎 ほか


吉右衛門さんの持ち役であり、他の役者さんでも何度となく観た演目ですが、柿葺落の大歌舞伎として豪華配役で観るのは格別。
特に吉右衛門さんが梶原平三景時を、とても気持ちよさそうに明るく機嫌よく演じていらして、観ているこちらまで楽しくなります。歯切れのよい台詞は緩急自在の名調子、金糸銀糸の華やかな衣装もよくお似合いで、刀を鑑定する場面など一つひとつの所作がぴたりと決まり、まるで歌舞伎絵から抜け出てきたような役者っぷり。
ゆったりと大きく人間味に満ちた景時。景親や景久より一枚も二枚も上手といった雰囲気もありありと。敵役の大庭三郎景親は團十郎さんに代わって菊五郎さん。奇しくもパパ同志(笑)の珍しい顔合わせ。さすがに存在感のある大きな景親。ゆったりしていてカッコイイので、「刀は欲しいが見る目のない短慮な人物」にはちょっと見えませんが。

老人ながら胎が座って気骨ある歌六さんの六郎太夫、情があって信じられないくらい可愛い芝雀さんの梢、威張っているけどカラッとキビキビの又五郎さん俣野、とそれぞれに人を得て周りは鉄板ですが、そんな中、罪人の剣菱呑助が彌十郎さんというのは柿葺落興行ならではのごちそうです。いかにもユーモラスで酒づくしも楽しかった(「一番搾り」とおっしゃったのが耳に残って帰りの新幹線で一番搾り飲んじゃったというおまけつきです)。
おまけといえば、後ろに控える山口十郎はじめ梶原方の大名たちが、歌昇くん・種之助くん・米吉くん・隼人くんといういずれ劣らぬ若手イケメンお坊ちゃんたちっていうのも眼福でございました。


そして、道成寺。

二、京鹿子娘二人道成寺  道行より鐘入りまで
出演: 坂東玉三郎  尾上菊之助 ほか


2007年3月にシネマ歌舞伎で初めて観た時、すっぽんから玉三郎さんが登場して花道に二人の花子が並び立った姿を観た時、体が震えて訳もわからず涙が出ました。
幸せなことに翌年の2月、松竹座でナマで拝見することができて、その幸せに浸ったのですが、あれから5年、また二人の花子の舞を観ることができるなんて。

観ている間じゅう胸がドキドキして心拍数あがりっ放しでした。
「恋の手習い」あたりで、え!もう?という感じ。時が過ぎるのが速くて、瞬きする間も惜しいくらい。このまま幕が下りず、いつまでもこの舞を観続けることができたら、どんなに幸せでしょう。

二人花子は光と影であったり、鏡に写った自分自身であったりと色々な表し方をされていますが、やはり一つの魂とその分身というのが一番しっくりくるかなぁと今回観て思いました。特に玉三郎さんの花子は、明治座でお目にかかったお知り合いの方が「人外のもの」とおっしゃっていましたが、まさにそれです。
美しさはもちろん、妖しさとか情念とか、私の拙いボキャブラリーで表現できる範疇を軽く超えています。

情念の中に時折鋭さと激しさを見せる玉三郎さん花子に対して、艶ややかでたおやかな菊之助さん花子。驚くくらいにシンクロしたり、それぞれ鮮やかに個性を放ったり、今を盛りと咲き誇る二人の花子の舞を堪能。
玉三郎さんの「恋の手習い」なんて、物言わぬのに切ない心情が切々と伝わってくるようで、舞踊というよりお芝居の一幕を観ているようでした。
「ただ頼め」は今回、奇数日、偶数日でお二人が日替わりだったのだとか。偶数日の26日は菊之助さんでした。愛らしい中にも凛とした少女といった雰囲気。
終盤、花子が蛇の本性を現せて、鐘を見上げる場面。玉三郎さん花子は恨み憎しみと哀しみが入り混じった燃えるような目で鐘を焼き尽くしてしまいそう。これに対して菊之助さん花子はあまり表情を変えず、寂しさを湛えた目のように感じました。

二人並んでの引き抜きをはじめとした数々の美しい衣装や、金色の烏帽子や朱色の振出笠や手ぬぐいや鞨鼓や鈴太鼓やと、小道具の一つひとつに至るまで玉三郎さんの美意識が行き届いている感じ。
すべてが愛おしくて儚くて夢のようで、やっぱり何故だか涙が出るのでした。

所化さんは團蔵さん筆頭に22人!多い(笑)。
まいまいづくしは隼人くん。結構オーソドックスだったな。
最初に梅丸くんが呼ばれましたがカワイイ笑顔で「とんと知らぬ拍子」と。
続いて團蔵さんは「當山きってのイケメン」隼人くんをご指名。

IMG_6835.jpg撒き手ぬぐいの時、ちょうど視線があった隼人くんに手を振ってアピールしたらこちらに投げてくれた(と思う)のですが、私の席まで届かず前の席の人がキャッチしてザンネンバッド(下向き矢印)


玉菊の京鹿子娘二人道成寺 これが本当に見納めになるのかしら のごくらく地獄度 わーい(嬉しい顔) ふらふら (total 1105 わーい(嬉しい顔) vs 1105 ふらふら)
posted by スキップ at 23:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 歌舞伎・伝統芸能 | 更新情報をチェックする
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