2013年04月16日

罠に 罠にはめてやる~ 「モンテ・クリスト伯」

monte.jpg昨日は宝塚大劇場宙組公演千秋楽。おめでとうございました。
ということで、ちょうど1ヵ月前、初日開いてすぐに観た(そしてすでにほぼ忘れている)レビューを。

宝塚歌劇 宙組公演
ミュージカル・プレイ 「モンテ・クリスト伯」
原作:アレクサンドル=デュマ・ペール
脚本・演出: 石田昌也
レビュー・ルネッサンス「Amour de 99!!-99年の愛-」
作・演出: 藤井大介

出演: 凰稀かなめ  実咲凜音  緒月遠麻  朝夏まなと  悠未ひろ  蓮水ゆうや  七海ひろき  寿つかさ ほか

2013年3月16日(土) 11:00am 宝塚大劇場 1階4列センター



「モンテ・クリスト伯」
アレクサンドル・デュマの「モンテ・クリスト伯」は「岩窟王」のタイトルでも知られる人気長編小説で、これまで数々舞台や映画化されています。
2009年の劇団☆新感線「蛮幽鬼」はこの作品がモチーフでしたし、今年の12月には石丸幹二&花總まり主演でミュージカルも上演予定です。
宝塚歌劇でも、瀬戸内美八主演「アンタレスの星」として上演されたのだとか(←これ、観たはずなのですが、完璧に忘れています)。19世紀初頭のフランス。船長への昇進も決まり、恋人メルセデス(実咲凜音)との結婚を控え幸せの絶頂にいる若き一等航海士エドモン・ダンテス(凰稀かなめ)。
友人(だと信じていた男)たちの嫉妬により嵌められ、無実の罪で「狂った方が幸せ」と言われる孤島の牢獄に投獄されます。14年後、脱獄に成功しモンテ・クリスト島に眠る財宝も手に入れたダンテスは、モンテ・クリスト伯と名乗り、彼を陥れた人々に復讐を開始します・・・。

やはり原作にチカラがある作品はおもしろい。
思っていたよりも原作に忠実に、華やかな場面も盛り込み、希望に満ちた明るいラストで宝塚らしさも失わず、上々の仕上がりです。
その反面、いかにも石田先生と言った感じのダジャレや、説明過多の部分もあったり。あの演劇部の先生と学生たち、いらなくない?

ダンテスの凰稀かなめさんは冒頭の幸せに満ちた航海士と、その美しさを封印した牢獄の場面、復讐のためだけに生きるクールな瞳の対比が鮮やか。
「自分の幸せを疑いもしない」育ちも見栄えもよい若者が、「憎しみはたったひとつの私の生きる証し」と思いつめるまでに変貌する凄みを感じさせてお見事。

メルセデスの実咲凜音さんはトップ娘役とはいえまだ若いのに、心ならずも愛する人を陥れた男の妻となり、年月を経て母として生きる女性を自然な演技で見せてくれました。美しい娘役さんで歌も安定してお上手なのに地味に感じてしまうのは何故でしょう。
娘役さんでは他にヴィルフォールの妻役の純矢ちとせさんが印象に残りました。悪女で大人っぽい役、お似合いです。

ダンテスを陥れるのは、ダングラール(悠未ひろ)・フェルナン(朝夏まなと)・ヴィルフォール(蓮水ゆうや)の3人。
それぞれに立場や事情が違うのですが、ダングラールとフェルナンはダンテスへの嫉妬が動機でしょうか。2人が歌う ♪俺はダンテス許さない 俺もダンテス許さない 罠に 罠にはめてやる~ は結構インパクト強くて耳に残りました。フェルナンの朝夏まなとさんが「銀英伝」のキルヒアイスとは正反対の何ともイヤな男を好演。

これに対して、ヴィルフォールは自分の立場を守るためにダンテスを陥れたことになるのかな。
ダンテスを取り調べる検事のヴィルフォール。最初はダンテスに好意的だったのに、ダンテスがベルトラン大元帥から預かったという手紙を見た途端豹変。その手紙の宛先はヴィルフォールの父親で、身内にナポレオン支持者がいることは破滅に繋がることを恐れてダンテスを政治犯に仕立て上げるということだったと思いますが、このあたりの説明がなかったような・・(私が聞き逃しただけかもしれませんが)。

一方、ダンテスを支えるベルツッチオは緒月遠麻さん。命の恩人と感謝るダンテスに復讐だけのために生きてほしくないという熱い思いと温かい心を持つベルツッチオは暗い復讐劇の中で救いのような明るさでした。「俺はあんたを守るって決めたんだ。敵からじゃなく、あんたの心の中にある復讐の鬼からあんたを守るんだ!」というベルツッチオの言葉が、何だか同期のトップを支える緒月さん自身と重なって聞こえたな。
もう一人、 ルイジ・ヴァンパの七海ひろきさんも印象に残りました。お髭の海賊はちょっとジャック・スパロウ風?でキュート。私の宝塚観劇に付き合わされる相方に出演者を説明する時、星組だったら「ロミジュリ」が基準で、「マーキューシオやった人」「死のダンサーやってた人」・・となるのですが、宙組の基準は「銀英伝」。それで今回一番ギャップが大きかったのが七海さんらしい。「あの双璧の片割れの金髪がこの海賊か」という感じ。七海さんといえば「「ヴァレンチノ」ではステキな女役も見せてくださいましたし、どんな顔を見せてくれるのかこれからも楽しみ。


「Amour de 99!!-99年の愛-」
来年100周年を迎える宝塚歌劇へのオマージュ的なショー。
内海重典・横澤英雄・小原弘稔・高木史朗・鴨川清作という宝塚の名作ショーを生み出して来た方々の作品から代表的な場面を再現していますが、さすがにリアルタイムで知っている作品はほとんどありませんでした。

とび抜けて印象に残るのは、高木史朗さんの「華麗なる千拍子」から「リオのリズム」でパイナップルの女王(かつては寿美花代さんが演じたらしい)に扮した凰稀かなめさんの美脚っぷり。
超ハイレグにハイヒールのせいもありますが、本当に足が長くて圧倒的に見事な脚線美に目が釘付けでございました。

それと、専科からご出演の美穂圭子さんが、ジャズを歌う「シャンゴ」。美穂さんといえばもちろん歌うまさんですが、綺麗なソプラノだけでなく、こんな感じの力強いヴォーカルも聞かせていただけるのだと新鮮でしたし、とても聴き応えありました。この場面、凰稀かなめさんとデュエットダンスする娘役は緒月遠麻さん。女性のなりはしているけれど、フツーにきたろうさんでした(笑)。


「モンテ・クリスト伯」は時間が許せばもう1回観たかったな のごくらく地獄度 わーい(嬉しい顔) ふらふら (total 1084 わーい(嬉しい顔) vs 1085 ふらふら)
posted by スキップ at 22:52| Comment(0) | TrackBack(0) | TAKARAZUKA | 更新情報をチェックする
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