2013年03月05日

古田五右衛門これで見納め? 「ZIPANG PUNK ~五右衛門ロックⅢ」


goeⅢ.jpg2008年 「五右衛門ロック」 2010年 「薔薇とサムライ」 に続くシリーズ3作目。今回が一応“完結編”なのだとか。
古田五右衛門、これが見納めなのかしら。


劇団☆新感線 SHINKANSEN☆RX
「ZIPANG PUNK ~五右衛門ロックⅢ」
作: 中島かずき
演出: いのうえひでのり
作詞: 森雪之丞
音楽: 岡崎司 
美術: 堀尾幸男  照明: 原田保  衣裳: 小峰リリー 
出演: 古田新太  三浦春馬 蒼井優  浦井健治  高橋由美子  橋本じゅん  高田聖子  粟根まこと  村井國夫  麿赤兒  天海祐希(映像) ほか

2013年2月6日(水) 6:30pm オリックス劇場 1階12列(9列目)センター/
2月28日(金) 1:00pm 1階20列(17列目)上手



大阪公演の初日千秋楽を観ました。
東京にも観に行かず、2回だけの観劇は新感線の舞台としてはワタシ的には異例の少なさです。
舞台は日本。時代は太閤・秀吉と、3作目にして初めて石川五右衛門の史実に合致した設定。五右衛門である必然性があるというか、これまでは「この役、別に五右衛門じゃなくてもいいじゃん」と思っていたので(笑)。

京都・津雲寺にある弘法大師・空海ゆかりの秘宝を狙う五右衛門(古田新太)の前に立ちはだかる京都所司代盗賊目付探偵方・明智心九郎(三浦春馬)。この2人を軸に、女盗賊・猫の目お銀(蒼井優)、老境に入った秀吉(麿赤兒)、堺の豪商・蜂ヶ谷善兵衛(村井國夫)、さらには前作で登場したマローネ(高田聖子)など有象無象がうごめく痛快活劇。


東急シアターオーブのオープニングラインアップの1本として企画されたので明るく楽しくお祭り的なものを、と「五右衛門」に決めたといのうえひでのりさんがおっしゃっていましたが、さもありなんな祝祭劇という雰囲気。ミュージカル専用劇場のオープニングにふさわしく、シリーズ3部作で今回が一番歌やダンスが多かったという印象です。台詞が歌になっている部分もたくさんあったし。

明智→探偵→明智小五郎というミスリードにまんまとハマってしまって、大盗賊 vs 名探偵の攻防譚と思いきや、二幕で「明智」のダブルミーニングが明らかになった時には、「そうか!秀吉の時代に『明智』って、そうじゃん!!私としたことが何で気づかなかったのかしら」と地団駄踏みました(笑)。さすがは中島かずきさん、ヤラレましたワ。秀吉の朝鮮出兵や堺の豪商の隆盛など時代背景も盛り込みつつ、全部終わってみると伏線や細やかな設定がいくつも張り巡らされていて、お祭り騒ぎの中にも中島かずきさんの緻密な作劇が光ります。

二幕で春馬くん心九郎の衣装に明智光秀の家紋である桔梗紋を発見目
あれって一幕からあったかしら・・・と千秋楽にオペラグラスでガン見したところ、最初の登場の時の衣装-ブルーの着物には白い桔梗の小花が散らしてあって、それは他の着物も同じなのですが、あの袖なしの羽織というか裃の長いのというかマントみたいな衣装についていた紋は京都府のマークと思われます。京都所司代配下だから?・・・衣装は小峰リリーさん。華やかなばかりでなく芸が細かいです。

気づいた、といえば一幕冒頭のダンサーズに聖子さんがいらしたのも2回目観てやっと気づきました。そうだ、聖子さんっていつもそうだったよね、とここでも改めて。

プロジェクションマッピングを駆使した効果的な装置や場面転換は、舞台で映像使うのに否定派の私でも納得のいく鮮やかさでした。遠くから見るとどこまでが映像でどこからが装置かわからないくらい。映像技術の進歩ってほんと、すごいよなぁと感心。

出演者では、まずは明智心九郎を演じた三浦春馬くん。
地球ゴージャスでの2度の舞台がとても評判よかったと聞いていて、今回の東京公演が開幕してからも絶賛の嵐でとても楽しみにしていました。
評判に違わず、ビジュアルよし歌よしダンスよし芝居よしで、新感線にぴったりの役者さんです。マントを翻しながらの殺陣もキレよく美しくスピード感たっぷりにキマッていました。TVドラマでは顔の綺麗な男の子という印象しか持っていなかったのですが、アクタース゛スタジオ出身なのですってね、ほんと、失礼しました。
心九郎の出自と葛藤がこの物語の肝とも言えるもので、そんな役を新感線初出演の彼が担うにあたってはプレッシャーもあったと思いますが、そんなこと軽々と飛び超えてのびやかに舞台上を舞っていました。私の個人的好みから言えば、爽やか好青年過ぎて、色っぽさとか毒とか、負のオーラのようなものも欲しいところではありますが、まだ22歳。今後に大いに期待したいと思います。森山未來くんのように2回、3回と新感線の舞台に出て、準団員になっていただきたいものです。

対するヒロイン・お銀は蒼井優ちゃん。ちょっとイメージ覆すような気の強いはねっ返りの役ですが、思い外ハマっていて、とってもキュート。脚がよく上がるしなやかなダンスも魅せてくれました。
が、ヒロインとしてはいささか弱い・・・というか存在感が小さい。これは蒼井優ちゃんの演技云々より脚本の責任かな。たとえば「髑髏城の七人」の沙霧とか、このタイプの役は既視感ありありだし。

女優陣で際立って印象的だったのは高橋由美子さんの春来尼。
「小さくてカワイイけど年は聞かないで~」って言ってましたが、彼女、最初からすべてを知っている八百比丘尼でしょうか「吉原御免状」で高田聖子さんが演じたのとはずい分雰囲気が違いますが。それにしても小さな体に豊かな声量、相変わらず歌うまいなぁ。春来尼とシャルル王子のデュエットなんて、何のミュージカルですか?という感じだったもの。

そのシャルル王子は浦井健治くん。
もう、大好きムード
最初に出演者が発表された時「浦井くんまた出るんだ~」と喜んで、それが「薔薇サム」と同じシャルル役だとわかった時には笑っちゃったけど、あの空気読めない感健在でますますパワーアップしたシャルルでした。
中島かずきさんが浦井シャルルを評して、「凹んだ時もシャルルを思い出すと元気になれる。本当に楽しそうだ」とおっしゃっていましたが、まさしくその通り。
じゅんさん慶次郎との派手好きの二人。「派手好きが世界を救う」 サイコーです。るんるん
あなたは太陽 おまえはミラーボール ・・・シャルル、ミラーボールなんだ(笑)。
鷹にアンヌという名前をつけたことを「バレてた」と五右衛門に訴えるところとか、最後に「死ねっ」と言われて「生きる!」と返す口調とか、いちいちカワイイです。
ミュージカルをあまり観ない私は、「薔薇サム」で初めて浦井くんの存在を知ったのですが、その後に観た何作かの作品でそのたびにイメージがガラリと変わるのに驚かされます(特に顕著だったのは「ベッジ・パードン」かな)。定評ある歌唱力はもちろん、演技の幅も深みも兼ね備えた役者さんだと思います。

村井國夫さんと麿赤兒さんのおじさま方は期待通りというか、期待以上。
村井さん蜂ヶ谷善兵衛のあの余裕綽々の悪役っぷり、紫キラキラの派手な衣装もお似合いで、ちょっと薄笑いを浮かべたり、眉間に皺寄せて客席睨みつけたり、ほんとセクシー揺れるハート
最後に捕まって、「これからのことを算盤ではじけ」と言われ、「この俺が金以外の算盤をはじくと思うなっ!」と見得を切るのもカッコイイぴかぴか(新しい)
そして麿さんの秀吉は凄まじかったな。
不老不死のおにぎりをほおばる直前で、「引き際は心得ておる」と自ら権利を放棄しし、三成に「遊びは自分一代にする」と申し渡すところが、自分の落とし前のつけ方を知っている器の大きさを感じさせます。傲慢も孤独もひっくるめて、ほんと、秀吉の晩年ってこんな感じだったのではないかと。

そして、それらを全部まとめて受けとめる石川五右衛門・古田新太。
「若い者に長台詞を任せるのも・・」とか言っちゃって台詞少なめ(?)だし、殺陣もいつもほどたっぷりではないけれど、あのド~ンとした存在感。相変わらずいい声でツラネの見得はピカイチひらめき
「髪型御意見無用」ってわーい(嬉しい顔)
最後に秀吉で登場した時、「三成、三成」と連発して粟根さん三成が「貴殿に三成と呼ばれたくないっ!」と怒っていましたが、あれは蛇足だと思います。一幕で「治部少輔は太閤殿下や数人にしか三成と呼ばせない」という前置きがありましたが、この最後で五右衛門が秀吉に変装しているだろうなんてことは“お約束”。そんな匂わす台詞なくてもわかりますから~。


goemon3.jpg大阪大楽。お煎餅まきも終わって最後のカーテンコール。
舞台下手袖で一礼して長~く頭を垂れたままの古田五右衛門。やっと顔を上げると同時にビッグな中指突き立てていました。

そしてモニターには「長らくのご愛顧ありがとうございました」というメッセージ。ほんとにこれが見納めなのかな。

逆木さん力作レゴ五右衛門も健在→



ほんとに「五右衛門主演」の「五右衛門ロック」が最後に観たい のごくらく地獄度 わーい(嬉しい顔) ふらふら (total 1064 わーい(嬉しい顔) vs 1064 ふらふら)


posted by スキップ at 23:17| Comment(8) | TrackBack(0) | 演劇・ミュージカル | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
お久しぶりですスキップさん。五右衛門ロック、パート4はきっとありますよ!いや、あって欲しい・・・そして、天海姉さんの再登板に期待です。
私は、昨日、海老蔵くんの夏祭浪速鑑に行ってきました。泥場だっけ?の演出は、中村屋さんの時よりはおとなし目でしたが、団七熱演でした。また、口上もよかったです。来週は、赤坂で中村屋です。
Posted by ケン坊 at 2013年03月06日 11:21
♪ケン坊さま

こちらこそ、お久しぶりです。
「五右衛門ロック」新作あるでしょうか。
あればうれしいですが。

海老蔵さん、今回の舞台にかける思いはひとしおだと思います。
ケン坊さまもたくさん歌舞伎をご覧になっていますね。
赤坂は私も今月の終わりごろ参上する予定です。
Posted by スキップ at 2013年03月06日 23:15
今日たまたまヒカリエに行きまして、五右衛門ロック見たなぁと、ニコニコして帰宅したら、スキップさまのブログが!!
もうずいぶん前に見たのですが、またここでいろいろ思い出してます。1月に入ってから、3階席で見ることができたのはラッキーだったな、と思ってます。歌舞伎座の幕見席かと思うくらい上の方でしたが、床面に映る映像とか、こんなふうになってるのか、とかね。
私も舞台で映像が多すぎるとちょっと冷めてしまうんですが、これはほんとにうまく使われてましたね。
ところで、あまりミュージカルを見ない私ですが、浦井健治くん見たさに「二都物語」に行くことにしました!!
Posted by きびだんご at 2013年03月07日 00:52
スキップさん、こんばんは!
まさに祝祭劇、という感じの舞台でしたね。
若者たちの素晴らしさはもちろんですが、
村井さんと麿さんの渋さも、
高橋さんの得体の知れない(笑)可愛らしさも、
高田さんの最強っぷりも素晴らしかったですv
でもって、シャルルと慶次郎のコンビ、ほんとに大好きでした!!
凹んだときにシャルル…もの凄く効果がありそうですねv(笑)
もう1回出演すれば準劇団員、なのでしょうか?
その日を楽しみにしていようと思います!
Posted by 恭穂 at 2013年03月07日 21:42
♪きびだんごさま

ヒカリエはちらり~んと寄ったことあるのですが、
オーブにはまだ行ったことなくて…。
私のオーブデビューはいつ?(笑)

この作品はワタシ的にはいつもの新感線ほど
ノリノリではなかったものの、観たらやっぱり
楽しくて。

浦井シャルルはほんとに愛すべきキャラクターですね。
私も「二都物語」には大いに興味あるのですが、
ヒロインがね~と少し躊躇しています(^^;;
Posted by スキップ at 2013年03月08日 23:20
♪恭穂さま

楽しかったですね(^-^)
五右衛門ロックはやっぱりお祭りだなと思いました。

浦井シャルルは薔薇サムでもよかったですが、
今回もあの濃いメンバーの中で一際輝きを
放っていましたね。2回出演ですが「シャルル」
として準団員に認定!(笑)
Posted by スキップ at 2013年03月08日 23:31
スキップ様有難うございます~♪
なんかもう舞台思い出しちゃって、たまりません。

浦井さんって「ベッジ・パードン」の弟かっ!
全く気付かなかったですw
シャルルと同一人物なんて。
私も悲しいことがあってもシャルルを思い出すと元気になります。大抵のことはシャルルで乗り切れそうな気がしてます。

一緒に感激した友人が蒼井優ちゃんの扱いが「雑っ」と(爆)バレリーナだし、もっとなんとかならないものかと。

春馬君褒めて頂き嬉しいです。この舞台で完全に恋に落ちました。ひと足早く春到来しちゃいました。
爽やかさだけじゃない部分もそろそろ見たいですねえ。

お陰様でパンフも手に入り、幸せいっぱいです。何度感謝しても足りません。有難うございました。
Posted by Franny at 2013年03月11日 10:17
♪Frannyさま

コメントありがとうございます。
「五右衛門ロックⅢ」ほんとに盛りだくさんで今でもあれこれ
思い出します。早くゲキ☓シネにならないかしら(笑)。

>浦井さんって「ベッジ・パードン」の弟かっ!
そうなんですよ。
私も浦井くん出ると知っていたのに、あの役、舞台で最初に観た時
誰だかわかりませんでした。シャルルとギャップありすぎですよね。
「シンベリン」のさらわれた王子も印象に残っています。ほとんど半裸で(笑)。

「蒼井優ちゃんの扱いが雑」・・・あはは、ほんとにその通りですね(^.^)

三浦春馬くんは本当にすばらしかったです。
Frannyさんが恋に落ちるのもさもありなん。
あの綺麗な顔でクールな犯罪者の役とかもいずれ見てみたいです。
これからも映像中心の活躍になるのかな。舞台にもたくさん出て
いただきたいですね。

こちらこそ、春馬くんのお陰で(?)、Frannyさんとこうして
久しぶりにあれこれ舞台のお話ができてうれしかったです。
今後ともよろしくお願いいたします♪
Posted by スキップ at 2013年03月11日 23:01
コメントを書く
コチラをクリックしてください

この記事へのトラックバック