2012年05月17日

これが見納め? 松竹座の「團菊祭」

dankiku24.jpg歌舞伎座が建替えのため休業に入った2010年から3年続けて松竹座で上演されている「團菊祭」。
毎年5月に、九世市川團十郎と五世尾上菊五郎の銅像とともに松竹座にやって来てくれていましたが、来春、新しい歌舞伎座が竣工するともう松竹座には来てくれないかな。

團菊祭五月大歌舞伎 昼の部
2012年5月12日(土) 11:00am 松竹座 2階3列センター


某デパートの半額券にて鑑賞。
松竹座は1階か3階かしか観たことないから2階は初めてかも・・と思いましたが、「朧の森に棲む鬼」を2階1列で観たことを思い出しました。松竹座の2階席、舞台が近くてほんとに観やすいです。一、菅原伝授手習鑑 「寺子屋」
出演: 尾上松緑  市川海老蔵  中村梅枝  上村吉弥  尾上菊之助 ほか


主要四役を“平成の三之助”+梅枝くんが勤めるという、花形歌舞伎のような「寺子屋」。
これが意外にも、と言っては失礼ながら、よかったです。それぞれきちんと自分の役割を果たしているといった趣き。特に梅枝くんの戸浪、菊之助くんの千代がよくて、吉弥さんの園生の前がきりりとした北の方で、ちょっぴり女性上位かしら。
梅枝くんはこれまで、若いお姫様や娘役しか観たことがなかったのですが、こんなに落ち着いた子を持つ女房もハマるなと新しい発見です。
そして菊之助くんの千代は美しさはもちろん、声がほんとにいつもいいなぁ。元より覚悟はできている凛とした武家の妻、だけど我が子への思いは断ち難い哀しい母心がよく出ていて、千代が出て来てからはぐっと舞台の温度が上がった感じでした。舞台上に姿の美しい人ばかりが並ぶ最後の見得も綺麗でした。
ただ、やっぱり、忠義のために何の罪もない子どもの命を犠牲にするというお話はどうも好きになれません。


二、新古演劇十種の内 「身替座禅」
出演: 尾上菊五郎  河原崎権十郎  坂東巳之助  尾上右近  市川團十郎


昼の部の團菊そろい踏みの演目。
菊五郎さんの山蔭右京に團十郎さんの奥方玉の井という布陣。これまでいろんな人の演じる「身替座禅」を観ましたが、新古演劇十種のご本家・音羽屋さんの右京を拝見するのは実は初めて。これがほんとにベストカップルでしたぴかぴか(新しい)

菊五郎さんの右京は、奥方には頭の上がらない弱気な大名ながら、何とも言えない色気と艶っぽさ、そして愛敬があって、これは女にモテるだろうなと思わせます。一方、團十郎さんの玉の井は、コワイのですが、それが夫を愛するゆえというのが感じられ、ほんとに可愛らしい。大きな目のくっきりしたお顔立ちも奥方の扮装に映えていました。
そしてここが肝心なのですが、お二人とも品を失わず、やり過ぎるというところがない。わざと滑稽にしようとかオーバーアクションにするところがなくて自然。だけどおもしろい。・・・こういうのを「巧まざるユーモア」というでしょう。菊五郎さんの笑いのセンスと團十郎さんの天然(?)ぶり。お二人のバランスも絶品でした。


三、恋飛脚大和往来 玩辞楼十二曲の内 「封印切」 新町井筒屋の場
出演: 坂田藤十郎  尾上菊之助  坂東三津五郎  中村東蔵  市川左團次 ほか


藤十郎さん以外はほとんどお江戸の役者さんという珍しい座組の「封印切」。

藤十郎さんの亀屋忠兵衛はもう鉄板で、一人別世界(笑)を行ってる趣き。相変わらすお若くて色っぽい忠さまですが、2階席からだとつぶやくような台詞がちょっと聞き取りにくかったなぁ。
今回が初役の梅川・菊之助くん。あの梅川の薄紫の着物がほんとによく似合って、それはもう匂い立つような美しさです。もちろん美しいばかりでなく、人気傾城としての自負とか、忠兵衛を思う一途な恋心とか、本当のことを知った後の「どうしょう、どうしょう」とうろたえる様とか、もうこんな梅川なら誰だって惚れるでしょっていうオーラ全開でした。この狂言でよく言われるはんなり感とか上方言葉とか、そりゃ課題もありますが、初役でこれは上々のスタートではないでしょうか。これからもぜひ持ち役にしていただきたいです。
三津五郎さんの八右衛門もとてもよかったです。ヤな奴なのですが、この物語、八右衛門がよくないとオハナシになりませんもの。
あと、東蔵さんのおえんさんがテキパキしていていかにもやり手女将といった風情でしたが、やっぱりこの役だけは、秀太郎さんのあのじゃらじゃらした感じが恋しい(笑)。


「歌舞伎座ができても團菊祭はまた大阪で」と菊五郎さんは言ってくれたけど~ のごくらく地獄度 わーい(嬉しい顔) ふらふら (total 926 わーい(嬉しい顔) vs 928 ふらふら)
posted by スキップ at 23:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 歌舞伎・伝統芸能 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
松竹座で実際にこの目で見たのが、遠い遠い昔のことのように思えます。2週間もたっていないのに。これを東京でやってくれてたら、何回も通っちゃいますよ!
寺子屋、菊ちゃんの千代が登場したとたんに、スキップさまのおっしゃるように舞台の温度が上がった気がしました。空気がぎゅっとなったというか・・・。こういう一瞬の感覚を味わうのもまた、生の舞台の醍醐味ですね。
身替座禅も、いま思い出してもニコニコしちゃう楽しさで、まさにベストカップル!! ほんと品よく程よく面白くておおらかで。
・・・などなど、日曜の朝から、すっかり思い出に浸ってます。ありがとう。
Posted by きびだんご at 2012年05月20日 09:59
♪きびだんごさま

「寺子屋」はそれまでも、「わりとやるやん」と思って観ていたのですが、
菊之助くんの千代が登場して、一気に空気が濃くなったような気がしました。
ほんとに、舞台って不思議でおもしろいですね。

「身替座禅」は元々好きなのですが、このカップルで観るのは初めてで、
もうあまりのハマりっぷりに終始ニコニコ笑いながら観ていました。
菊五郎さん右京がハマり役なのは想像つきますが、團十郎さん玉の井が
あんなに可愛らしいとは(笑)。
おおらかで楽しくて品のよい、お手本のようなカップルでした。
Posted by スキップ at 2012年05月21日 00:41
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