2012年04月05日

平成中村座 三月大歌舞伎 昼の部


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昨年11月からロングラン公演が開催されている平成中村座。
予定が合わなかったり演目に食指が動かなかったりして、3月にしてやっと初見参。だから2010年秋の大阪城西の丸庭園以来の平成中村座でした。やっぱりいいなぁ、この芝居小屋の雰囲気。


中村勘太郎改め六代目中村勘九郎襲名披露
平成中村座 三月大歌舞伎 昼の部


2012年3月18日(日) 11:00am 平成中村座 松席 平場3列上手



この日は日帰りで昼夜通し観劇だったのですが、羽田空港から京急電車で浅草駅に降り立って最初に向かったのは松屋浅草。
前日に中村座観劇したお友だちのファザコンサリーちゃんが松屋で長命寺の桜もちを買ったと教えてくれて、帰りだともう売り切れかも・・ってことで開演前に無事桜もちと徳太樓のきんつばをゲット。どこまで食い意地張ってるんだ、自分わーい(嬉しい顔)


一、歌舞伎十八番の内 暫
出演: 市川海老蔵  中村七之助  市川猿弥  
上村吉弥  市川男女蔵  片岡我當 ほか



中村屋さんの角切銀杏と成田屋さんの三升の定紋が入った提灯が並ぶ舞台。中村座の小屋で成田屋さんが出演する歌舞伎十八番が観られるなんて。
海老蔵さんの「暫」を観るのは、2004年の南座顔見世 市川海老蔵襲名披露公演以来でした。

皇位を目論む清原武衡(片岡我當)が自らに反対する加茂次郎義綱(片岡進之介)、桂の前(上村吉弥)ら善良な男女を捕らえ、鶴ケ岡八幡宮の社頭で打ち首にしようとしたところ、鎌倉権五郎景政(市川海老蔵)が「暫く しばら~く~」の一声で颯爽と現われ、超人的な力で荒れ狂い、善男善女を助ける・・・というストーリーはあるものの、人物も設定も荒唐無稽で、華やかな衣装に派手な隈取、たくさんの登場人物、と、理屈抜きに楽しむ祝祭劇といった趣き。舞台面の華やかさや様式美の美しさ、登場人物の多彩さ、「寿曽我体面」と似た雰囲気かしら。

中村座の空間で観ると、鎌倉権五郎の大きさが際立ちます。すべてがすごく近くて大きくて、迫力たっぷり。花道から量感があふれ出る感じ。そして華やか。いろいろ言われますが、海老蔵さんはやっぱりとりわけ華のある役者さんに違いありません。「しばらく し~ば~ら~く~」という声を響かせて揚幕から登場。三升の紋の入った素襖の大袖、長い太刀、きりりと力強い隈取に客席の目は釘付け。「成田屋っ!」という大向こうとともに客席のテンション一気に上がりました。「ここは平成中村座」という文句もツラネに入れて客席を沸かせた後、花道七三にピシリと仁王立ちする権五郎。鯰坊主や照葉など武衡の手下たちが代わる代わる出て来ては脅したりなだめたりするのに、全く意に介さず、「ふんっ!」と横を向く様が日頃の海老蔵さんのイメージと重なってちょっと笑っちゃいました。最後の「やっとことっちゃぁ うんとこな」の花道の引っ込みも迫力満点で、花道横のお客様の首を撥ねるんじゃないか、という勢いでした。

照葉の七之助さんが艶やかで声もよく通り、ひと際抜きん出た印象。
それから、終盤に友切丸を持って出てきた若武者が凛々しくて、誰?と思ったのですが、後で中村梅丸くんとわかってうれしくなりました。あの花がたみがこんなに立派に成長してたらーっ(汗)

赤っ面の中に坂東功一さん発見。やっぱりお腹出してもオトコマエだなぁぴかぴか(新しい)


二、一條大蔵譚  檜垣/奥殿
出演: 中村勘九郎  中村扇雀  中村亀蔵  
中村小山三  中村七之助  片岡仁左衛門 ほか


昼の部の勘九郎さん襲名披露演目。
お父様の勘三郎さんも襲名披露で演じた一條大蔵卿。勘九郎さんは2001年の浅草歌舞伎以来2度目の挑戦だとか。

登場から一條大蔵卿の可愛らしさが際立ちます。無邪気というか、何を見てもうれしそうでまさに「箸が転がってもおかしい」といった味わい。阿呆というより天真爛漫な子どものようです。それなのに公家らしい品があって匂うように美しい。舞台の上を動いているだけで可愛くて目が離せない感じです。とてもつくり阿呆には見えません。ただ、惜しむらくは、この後の展開を考えると、平氏の世の中でつくり阿呆を演じなければならない哀しさを秘めた明るさであることまでが滲まないことでしょうか。
奥殿では一転、きりりと引き締まった表情。太刀を構える姿も凛として美しい。この落差が大蔵卿でもあるのですが、その二つの顔のつながりが少し希薄かなと感じました。でもこれから回を重ねて、きっとすばらしい「勘九郎の大蔵卿」をつくり上げてくれることと思います。

仁左衛門さんの吉岡鬼次郎と七之助くんのお京がちゃんと夫婦に見えたのにとても感心。
感情露わに若々しく能動的な鬼次郎としっとり落ち着いたお京。ステキなカップルでした。七之助くんは昼の部の三演目すべてに出演していて何気に奮闘公演。しかもすべてハイクォリティは立派です。
相変わらずお元気な小山三さんの鳴瀬をたっぷり観られたのもうれしかったです。1回目の幕間に大蔵卿と鳴瀬のツーショット写真が並んでいる間に売り切れちゃった。2月の演舞場でも勘九郎さん弥生と小山三さん老女が一緒に写ったショットはすぐ売り切れていまたし、やっぱり人気ですね。

最初の檜垣茶屋の場面で鬼次郎&お京とあれこれ話す茶屋亭主の山左衛門さんが時々間があいたり台詞もつまり気味でちょっとドキドキ。珍しいなぁと思っていたのですが終演後外の貼紙で松之助さん休演のため急な代役だったことを知りました。大変だったのねあせあせ(飛び散る汗)


nakamura3-1.jpg三、舞鶴雪月花  
  上の巻 「さくら」  中村七之助
  中の巻 「松 虫」  片岡仁左衛門  片岡千之助
  下の巻 「雪達磨」  中村勘三郎


しっとり華やかな七之助くんの桜の精、松虫の親子の情愛あふれる仁左衛門さんと千之助くんの松虫、そしておもろうてやがて哀しき勘三郎さんの雪だるまという舞踊三題。
幕間に舞台写真を観た時、どこのオバQ(古くて失礼)かと思った何ともユーモラスな勘三郎さんの雪だるま。
最初舞台上には雪だるまがひとつ。しばらくすると右手が出て引っ込み、次に左手が出て引っ込みした後、ホンモノの(?)雪だるま登場。何やらひと目ぼれした女の子を思って弾むように機嫌よく楽しく踊っていたのに、朝日が昇ってきてだんだん融けてくる自分の体にアセッて自分であちこち補修(雪を貼り付ける)仕草がまた何ともユーモアとペーソスにあふれています。抵抗むなしく融けてしまった雪だるまはセリ下がり、舞台奥があくと雪景色の江戸の町並みと赤い太陽。そしてスカイツリー・・・は残念ながら上手端の私の席からは見えませんでしたが。さらに最後に雪だるまの目や鼻、帯だけがセリ上がってきて、何とも余韻の残る幕切れでした。



やっぱり中村座は楽しるんるん のごくらく度 わーい(嬉しい顔) (total 906 わーい(嬉しい顔) vs 909 ふらふら)

posted by スキップ at 23:46| Comment(2) | TrackBack(0) | 歌舞伎・伝統芸能 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
まったく、その通り!!
Posted by カロテン at 2012年04月08日 11:18
♪カロテンさま

ご賛同ありがとうございます(^o^)丿
Posted by スキップ at 2012年04月08日 23:52
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