
ただいま絶賛東京公演中(?)の雪組公演。観たのは2ヵ月も前ですが

宝塚歌劇雪組公演
ミュージカル 「仮面の男」
原作: アレクサンドル・デュマ
脚本・演出: 児玉明子
ドリームステージ 「ROYAL STRAIGHT FLASH!!」
作・演出: 齋藤吉正
出演: 音月桂 舞羽美海 未涼 亜希 早霧せいな
緒月遠麻 沙央くらま 愛加あゆ ほか
2011年9月17日(土) 3:00pm 宝塚大劇場 1階5列下手
ディカプリオ主演の映画「仮面の男」は観ていないのですが、ストーリーは大体同じだった模様。
絶対王政時代のフランスの若き国王ルイ14世(音月桂)。暴君として君臨するルイには、鉄の仮面をかぶせられ牢獄に幽閉されている双子の弟フィリップ(音月の二役)がいました。アトス(未涼亜希)はじめ引退していた三銃士はこの事実を知り、フィリップへの同情と正義心から、フィリップを牢獄から救出し国王と入れ替えようと計画します・・・。
私は基本的に宝塚歌劇には寛容(笑)。
歌があまりお上手でないスターさんが舞台の真ん中でソロで歌っていても華やかで輝いていればまぁ許せるし、今イチ乗れないなと感じる作品でも、それなりに楽しみどころはあったりします。
ところがこの作品は・・・。三銃士ものだし、ストーリーはおもしろい。普通にやれば。
時代も衣装もタカラヅカお得意だし、華やかになるはず。普通にやれば。
なのに、どうしてあの演出?
まず、冒頭に、モリエールが登場して一座によるこの時代の説明が延々と続きます。マリー・アントワネットの「パンがないならお菓子を食べればいいじゃない」という台詞なんて今さら聞きたくない上に水戸黄門まで登場するに至っては・・・。
この時点で客席はかなり冷え込んでいました。
物語が進んで気持ちが入ろうとするところに冷水を浴びせるように織り込まれる陳腐な演出の数々。
人間ボウリングだったり、唇型のソファだったり、携帯電話だったり、ドレスの中のミラーボールだったり、今さらのダチョウ倶楽部ネタだったり。
それを懸命に演じている生徒さんがなんだか気の毒にも思えてきました。
と、些末な演出はさておいても、アトスたちが国を憂いフィリップ救出を企てる中、恋人を亡くした私怨のため一人浮いているダルタニアン(早霧せいな)とか、ルイーズ(舞羽美海)の速攻心変わりとか・・・

音月桂は二役をきちんと演じ分けていました。歌はもちろんお上手でとても聴きごたえあります。
特に冷酷で傲慢なルイ十四世がハマっていたのはうれしい驚きでした。
音月さんといえば小柄だし可愛い顔立ちなのでどちらかと言えばフェアリー系かと思っていましたが、意外にもこちらのタイプの男役がお似合いだったのかと。「赤と黒」のジュリアン・ソレルとかいけそうです。
この作品がトップ娘役としての大劇場お披露目公演となる舞羽美海。
銀橋の影絵の場面で顔中に汗をいっぱいかいていたのが印象的。あんなに顔に汗かいてる娘役さん初めて見ました大変なんだなぁ。
「歌劇」誌11月号に小林公一理事長が異例のコメントを寄稿し、東京公演では少なからず改訂が行われたという公演。この大劇場版を観られたことは、ある意味貴重だったのかも。
「仮面の男」に沈みすぎてショーがどんなのだったか忘れてしまった の地獄度




