2011年11月02日

悪魔だって恋をする-「カナリア」

canaria1.jpg2001年 匠ひびき主演で上演された作品の10年ぶりの再演ですが、今回初見でした。

宝塚歌劇花組公演 「カナリア」

作・演出: 正塚晴彦
出演:   壮一帆  愛音羽麗  実咲凛音  朝夏まなと  桜一花  悠真倫  仙名彩世 ほか

2011年10月10月26日(水) 6:30pm シアター・ドラマシティ 2列上手


ストーリー: 舞台はパリ。悪魔学校で数千人に一人の逸材と言われたヴィム(壮一帆)は卒業試験のために人間界にやってきます。課題は、①人間界で最初に出会った人間を不幸のどん底に陥れること ②人間界に悪魔の種をひとつ植えつけること ③魂を売り渡す契約書を交わすこと の3つ。自信満々で乗り込むヴィムでしたが、最初に出会ったのは、アジャーニ(実咲凛音)という、これ以上不幸にしようがないくらい不幸な女性でした。ヴィムは、まず彼女を幸せにして、それからすべてを奪って不幸にしようと作戦を立てますが・・・。

楽しかったるんるん
正直のところ、正塚作品は苦手感が漂う私。何だか台詞ばかり多くて大劇場公演なのに「ストプレですか?」なものばかり続いたから。
でもこの作品は歌ありダンスあり、恋あり笑いあり涙あり、台詞の端々にウィットが効いていて、とてもしゃれたファンタジックコメディでした。カナリアのさえずりが聞こえ、このフライヤーと同じポーズでヴィムが舞台上手の高いところに佇んでスローなバラードを歌い始めるオープニング。これ、終幕あたりにも同じポースあり。
一転して、黒ずくめのコスチュームで♪戦うことを恐れるな と悪魔たちを引き連れハードにクールにカッコよく歌い踊るヴィム。
悪魔世界の黒を基調にした衣装やシンプルな装置、そして照明がとても美しくて現実世界との対比も活きています。

壮一帆はクールな持味と俺様な感じが自信満々の悪魔・ヴィムにぴったり。
アジャーニを不幸に陥れるために幸せの意味を考えるヴィム。 「本当の幸せって何だ? 心の安らぎってもんだ」 ・・・だけど本当に心の安らぎを求めていたのはヴィム自身だったのかもしれません。アジャーニに惹かれている自分の心を認めたくないと悩むヴィムもステキでした。
アジャーニに愛を感じることで「人間らしい」心を取り戻していく(元は悪魔だから取り戻すことにはならないのか?)ヴィム。結果的にヴィムの立場を追い詰めることをしていたアジャーニに、「わかっていたはずだ。お前はやり過ぎた」と怒りもせずに静かに告げるヴィムの表情が切ない。

アジャーニ 実咲凛音はまだ研3。「ファントム」新人公演でヒロインのクリスティーヌを演じて大評判をとった期待の娘役さんです。評判通り、綺麗で品もあって、歌よし踊りよし演技よし。もう少し若さというか、崩れたところがあってもいいのにな、と思うくらい完成されていました。髪型やメイクはこれからもっとセンスを磨いていただきたいところです。

研3といえばヴィムの助手となる悪魔学校の生徒・ウカを演じた水美舞斗も研3。
初演では瀬奈じゅんの演じた役で、台詞もいっぱい、センターでのソロもあって大抜擢の大役です。まだ演技が堅い面もありますが、端正な美貌の男役さんで歌もダンスもOK。軽やかな側転も見せてくれたり、これからも楽しみ♪

アジャーニはじめ、シスター・ヴィノッシュとニュースキャスターの二役を演じた仙名彩世、ティアロッサミの桜一花、と娘役に大きな役があるのもこの作品の見どころ。
仙名彩世。美しいし台詞しっかりだしコメディエンヌの素養もあって、ヒロインもいけそうです。
「ファントム」でエキセントリックなカルロッタを見せてくれた桜一花。ちょっとホームレスの時は可愛いすぎる印象でしたが、このティアロッサミというホームレスがカナリアを飼っているという設定で、タイトルが「カナリア」だし、何かあるとは思っていたところ、最後にあの姿・・・ひらめき

ラブロー神父とニュースキャスター・ジュールの二役の愛音羽麗。やさしい雰囲気で大真面目なのがおかしさを醸し出すゆるキャラのラブロー神父。いや~、みわっちさんの魅力全開でした。
寄付されたお金が盗まれたものと知っても、「出どころはどうでもお金はお金ですから」ですものねわーい(嬉しい顔)
ティアロッサミといいラブロー神父といい、天使キャラの人たちはゆるくてちょっといい加減で、悪魔世界の人はとても真面目で規律正しく描かれいるのもおもしろかったです。
悪魔学校のパシャ校長先生(悠真倫・・・男役が魔女を演じて迫力!)は何かといえば「規則」とか「それが秩序というもの」とか言っているし、悪魔の皆さんは、天使との勝負に1勝差で負けていることを本気で悔しがっているし。
パシャ先生には、 「悪魔の魔力は人間の欲望があって初めて力を発揮するのよ」 という何とも示唆に富んだ台詞もありました。

canaria2.jpg銀髪のような長髪の髪型から一転、フィナーレではオールバックの黒髪でシビれるほどカッコいい男役ダンスをキメてくれた壮一帆さん。
カーテンコールのご挨拶では、後ろからガオ~ッと襲うポーズの愛音さんにガオ~ッで応酬していました。
緞帳が降りるまで、並んで手をふるのではなく、みんなで楽しそうに踊るラストもよかったな。

こちらの画像は、公演ごとに配られるサイン帳カード。
ラッキーにも壮一帆さんと美蘭レンナさんでした。


全列同じ座席番号の人が当たる壮一帆さんサイン色紙、1番違いだったのぉ~ のごくらく地獄度 わーい(嬉しい顔) ふらふら (total 846 わーい(嬉しい顔) vs 845 ふらふら)
posted by スキップ at 23:29| Comment(0) | TrackBack(0) | TAKARAZUKA | 更新情報をチェックする
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