2011年07月15日

つるひめの塔の正体は

sora.jpgMONO主宰の土田英生さんが10年以上前に伊丹の高校生のために書き下ろした作品。構成はそのままに、売込隊ビームの横山拓也さんとの共同執筆という形で新しく生まれ変わった舞台です。

MONO特別企画vol.5 「空と私のあいだ」
作: 土田英生/横山拓也
演出: 土田英生
出演: 岩田奈々 上田康人  紀野莢子  
七味まゆ味  山本麻貴  尾方宣久  金替康博  横山拓也 ほか

7月3日(日) 2:00pm AI-HALL 1列センター


開演30分前には、むしろこちらの方を楽しみにしていたくらいな、土田英生さんが毎回ゲストを招いてのプレトーク “演出家の開店準備”が開催されました。
この日のゲストは男肉 du Soleilの団長 池浦さだ夢さん・・・といっても私はこの日が初見で、男肉 du Soleiのことも存じ上げなかったのですが。

お芝居の舞台の喫茶店そのままに、ホワイトシャツに蝶ネクタイ、ベストとウェイターの扮装の土田さんに対して、ジャージ姿で素足にビーサン、恰幅よいヒゲもじゃの池浦さんは同年代のように見えましたが、聞けば28歳とまだお若い方でした。出囃子(というのかな?舞台に登場する時のBGM)はご本人に決めていただいているそうで、池浦さんは「北斗の拳」でした。理由は「カッコイイから」
まずは、出演予定だった男肉 du Soleilの高阪勝之さんが開幕直前に交通事故のため降板、代役を脚本を共同執筆された横山拓也さんが務められたというお話しから入りました。「若い勢いのいい子が出てくると正直ヤなんですよね。だけどそんなことばかり言ってたらダメなんで今回そういう人たちの話を聴こうかと・・」と語る土田英生さん44歳(笑)。
お二人とも芝居を「つくる」立場からのトークでとてもおもしろかったです。
基本的に台本がないという男肉 du Solei lに土田さんは興味シンシン。「どうやって稽古するの?」とか、「告知とかどうするの?」とか質問攻めでした。
「大体こんな感じ、と決めておいて、あとは稽古場で話し合いながら芝居をつくっていく」という池浦さん。かくいう土田さんも、「チラシができた時にはまだ1行も書いていない時もある」のですって。

池浦さんの野望: ①シルク・ドゥ・ソレイユから訴えられたい。 ②ドーム公演でオーロラビジョンに映りたい でした。②はお金さえ出せばすぐできるんじゃないかと土田さんにツッコマれていましたが。


さて、本題のお芝居。

とある街の喫茶店が舞台。
奥行きのある舞台に4組のお客さんがいて、それぞれの物語・会話が進行するのですが、正面で話しているグループが終われば舞台が回転して次のグループが正面に来る形。観ている方は順番に、ですが、もちろんこれらは同時進行している会話なので、メインのグループが正面で話している時にも奥にいるグループの会話が時々重なったりします。このあたりの「同時感」の見せ方がさり気ないのにとても上手くて唸っちゃいました。
4組のお客さんの4つの物語と、喫茶店を経営する3兄弟の物語

キャリア系OLと彼女に恋する元部下のドロップアウトサラリーマン。
所持金が足りなくて喫茶店代が払えずもめるDV被害妻の会4人グループ。
そしていかにもありそうなメンドクサイ友情関係の女子高生3人。

3番目と4番目の間にはさまれる喫茶店を経営する3兄妹の話。
他の4つが同時進行の物語であるのに対し、この場面だけ時間軸が異なっていて翌日という設定になっています。

言葉遊びにクスっとなったり、会話のズレを楽しんだり、年下サラリーマンの決死のプロポーズにほろりとしたり、DV被害受けている妻たちの言動にイライラしたり、女子高生たちの会話に若いころってこうだったかなぁと懐かしんだり、そんなふうに会話を聞きながら物語が進んでいきます。5つの物語の中では、やはり最初の大学生2カップルが一番見応えありました。「たゆまず」とか「うつしよ(現世)」とか、カップルの片方ずつが無意識に使ってしまって、他の人とは共通しない言葉遣いや仕草のおかしさ。

何もつながりのない4つ+1の物語・・・喫茶店の近くにある「つるひめの塔」を除いては。
最近この街にできたその塔の近くでは原因不明の頭痛で亡くなる人も出ているらしいことが4組の会話の端々にも登場します。

パーソナルで、誰にでもありそうな、「ああ」と同感できるような日々の話題をどこにでもいる人たちの会話で聴かせ、見せていきながら、その背景で何だかとてつもない問題が静かに進行しているような、きゃははと笑いながらどこかで不安がぬぐい去れないような座りの悪さ・・・。

2番目の物語のサラリーマンは亡くなってしまったようです。4番目の女子高生も頭痛で入院しています。兄弟たちの経営難の喫茶店は、つるひめの塔の会社から多額のスポンサー料を受けて救われることに・・・その不安の原因・・「つるひめの塔」の正体は結局明かされないまま。観る側のイマジネーションに委ねられるということでしょうか。まさに今、私たちがイメージする「あれ」と重なる空恐ろしい存在感・・・。


「空と私のあいだ」のブログに5つの物語の担当が明らかにされていました。

テーブル1/大学生4人組: 土田英生
テーブル2/女上司と男部下: 横山拓也
テーブル3/DV主婦4人組: 土田英生
翌日の店員たち: 土田英生
テーブル4/女子高生3人組: 横山拓也



今度は役者・土田英生も観たい のごくらく地獄度 わーい(嬉しい顔) ふらふら (total 800 わーい(嬉しい顔) vs 804 ふらふら)
posted by スキップ at 18:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 演劇・ミュージカル | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください

この記事へのトラックバック