
AIMER この命
AIMER 果てようと
二人の魂だけは
引き裂けない
今でもこのメロディが心に浮かび、涙が出そうになります。
宝塚歌劇 星組公演 ミュージカル 「ロミオとジュリエット」
原作: ウィリアム・シェイクスピア
作: ジェラール・プレスギュルヴィック
潤色・演出: 小池修一郎
音楽監督・編曲: 太田健
出演: 柚希礼音 夢咲ねね 凰稀かなめ 涼紫央 紅ゆずる
白華れみ 一樹千尋 英真なおき 花愛瑞穂 音花ゆり
水輝涼 天寿光希 真風涼帆 礼真琴 ほか
2010年7月21日(水) 6:30pm 梅田芸術劇場メインホール 1階14列下手/
7月24日(土) 4:30pm 1階9列センター
14世紀 イタリアのヴェローナを舞台に、何代にもわたって家同士が対立する家系に生まれたロミオとジュリエットが許されない愛に走ることによって引き起こされる悲劇・・・“世界で最も有名な悲恋物語” シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』をフランスのジェラール・プレスギュルヴィックが新たにミュージカル化し、2001年にパリで初演以来、世界各地で上演されてきた作品の日本初演。
若くして逝ってしまったロミオとジュリエットの人生のように、駆け抜けるような疾走感のある舞台。
とても洗練されていて、現代的かつエネルギッシュ。歌とダンスが弾ける21世紀のミュージカルという印象です。
冒頭 モンタギュー、キャピュレット それぞれの一族が登場して


舞台を映像化したものをあまり好まない私が、TVの舞台中継なんておよそ観ないしDVDもほとんど買わない(例外:「朧の森に棲む鬼」)この私が、「DVD出たら 絶対買うでぇ~」の勢い(笑)。
宝塚ファンのみならず、ミュージカル好きにもシェイクスピア好きにも、いえいえ舞台を愛するすべての人に観ていただきたい作品・・・とはいうものの大阪公演は明日(7/26)千秋楽でチケットはもうありません。まだ観ていない人はぜひとも8月博多座へGO!(笑)

まず音楽がすばらしい

シェイクスピア劇というと装飾や比喩の多い長台詞が特徴でもありますが、これを歌に乗せてうまく人物の心情を表現するようになっています。いわゆる正統派ミュージカルの手法で、台詞を歌で伝えるために、主役級ばかりでなく、多くの人にソロがあるのですが、バラエティに富んだ楽曲にのせて、歌詞もよく伝わり、それそれの役柄をよく表しています。そして、その歌を担う星組の皆さんが期待に応えた歌唱を聴かせてくれています。
ロック・ミュージカルということですが、それほど強いロック調ではなく、どの曲も耳馴染みがよくとても心に残ります。モンタギューの若者たちが唄う「世界の王」は、カーテンコールにも使われていましたが、思わず一緒に唄いたくなるような軽快なメロディ。ジュリエットの乳母(白華れみ・とても好演

バルコニーの場面もあの有名なジュリエットのセリフは歌で紡がれます。そして極めつけ、結婚式の場面の主題歌「エメ」・・・健やかなる時も病める時も、という誓いの言葉を織り込んだ歌詞
AIMER 君だけを AIMER 愛している 例え貧しい時でも 愛している
AIMER あなただけを AIMER 愛している 病に倒れようとも 愛している ・・・あ、泣く

衣装は、キャピュレット・赤 vs モンタギュー・青 という構図ですが、赤といってもワインレッドだったり、深紅だったり、青もエメラルドグリーンや紫もあって、デザインもそれぞれ少しずつ違っていてスタイリッシュ。いつもの宝塚とは違って全体的にシックなトーンの色合いがまたこの物語によく合っていて、踊るたびにひらひらとたなびく質感もステキでした。
ブルーのハートの上に描かれた「Romeo & Juliette」という金色の文字が浮かぶ舞台。幕が上がると、ロレンス神父(英真なおき)の「古今東西 すべての物語は同じように始まる・・・」というナレーションとともに、「愛」と「死」をイメージする二人が登場します。この二人は物語の中でも、たとえばロミオとジュリエットが出会う場面には「愛」が、両家の対立の場面では「死」が、といように場面に合わせて登場しますが、元の舞台では「死」のみで、「愛」を登場させたのは宝塚オリジナルだそうです。それにしても「死」の真風涼帆、いつも思うけど、水夏希そっくり(今回は特に水さんトートに・・・と誰もが思ったことでしょう)。
そしていきなり

今にも争いや殺人が起こりそうな、ある種狂気を帯びたギラギラした一触即発のムードを漂わせていて、「ウエストサイド物語」のジェット団とシャーク団の対立が心に浮かび、「あ、そうだ。『ウエストサイド物語』は『ロミオとジュリエット』が原作だった」と今さらながら思い至りました。
全員が一旦引っ込んだ後、ロミオ(柚希礼音)登場。まだ見ぬ本当の恋人にいつか会える日を思って唄います。そしてその頃、ジュリエット(夢咲ねね)も同じ思いを歌に託しいます。
柚希礼音のロミオ。
ピュアでナイーブで、周りのみんなが自分のことを「オレ」をいう中、ただ一人「僕」と呼ぶ正真正銘のおぼっちゃま。若者の瑞々しい透明感と若さゆえの一途な暴走を体現していて、見事。しかもビジュアル完璧。輝くばかりのロミオです

お得意のダンスはまるで羽のように軽やかでしなやか。誰よりも後からターンし始め、誰よりも早くターンを終えているってどう?
ロミオが「死」にまとわりつかれながら唄う「僕は怖い」の心に言葉が届くような歌唱はどう?
ジュリエットを抱きしめる時、本当に大切なものを抱くような、やわらかな手の動きはどう?
モードな髪型や、長い脚にピタリとキマる衣装の着こなしのセンスの良さはどう?
我ながら大絶賛ですな

二人が出逢う仮面舞踏会の場面は、一転して全員白の衣装。
仮面につけた紅い羽根と青い羽根だけがキャピュレットとモンタギューの目印。ジュリエットはじめ女の子たちの衣装はミニスカートに黒タイツでキュート。
ここはほとんどセリフも歌もなく、音楽に乗せたダンスとマイムで流れていくのですが、二人が一目で恋に落ちる瞬間が鮮やかに描かれています。
バルコニーの場面を経て、ロレンス神父と乳母だけが見守る中、教会で永遠の愛を誓う二人。

このロミオの歌唱も感動的

蜀台の灯りに浮かび上がる礼拝堂のこの場面は、照明も美しくとても荘厳な雰囲気。
1度目に観た時は美しさに感動して涙ぽろぽろ

昨日の2度目は、美しければ美しいほど、この後二人に訪れる悲しい運命が際立って、ほぼ号泣でした


休憩後の第2幕はストップモーションの結婚式の場面から、物語は一気に悲劇へと駆け抜けます。
ロミオとジュリエットが結婚した、と街中で噂になる中、モンタギューとキャピュレット 両家の争いになり、ティボルトがマキューシオを刺殺、親友を殺され逆上したロミオがティボルトを殺害してしまいます。大公によってヴェローナ追放を命じられたロミオは、乳母の導きでジュリエットと最後の別れに一夜をともにし、朝を告げるひばりの声に追い立てられるようにマントヴァに去ります。パリス伯爵との結婚を迫られたジュリエットは、ロレンス神父の提案で毒薬を飲み仮死状態となります・・・。
ジュリエットの死に絶望したロミオが「死」が扮した薬屋から毒薬を買い求め、「死」のあやつりによって、もう少しのところで真実を知らせたロレンス神父の手紙がロミオの手に渡らないあたりからはもう涙ナミダ

そして最後の場面がまたとても美しく、切なく哀しい。
霊廟に横たわるジュリエットにくちづけし、「二度と離れない」と告げて毒薬をあおるロミオ。
入れ違いに目覚めたジュリエットが、迎えに来たロミオが疲れて眠っているんだと無邪気に喜ぶ姿がとてもいじらしく、悲しい。やがてロミオが息絶えていることを悟り、短剣を胸に命を絶つジュリエット。
ロミオとジュリエットの遺体を前に、二人の母親はじめ両家の人々がこれまでの罪を悔い、和解へと向かうコーラスはまるでゴスペルのように力強く霊廟に響き渡って圧巻でした。
そしてここからが宝塚オリジナル。
二人が眠っている寝台が立ち上がって、寄り添って永遠の眠りについた二人がまるで一枚の絵のように舞台上に現れます。そして、AIMER この命 AIMER 果てようと 二人の魂だけは 引き裂けない という歌に乗って、幸せそうに踊る二人。救いようのない悲劇に甘い余韻を残す、宝塚らしいエンディングでした。

600年以上も前の物語なのに不思議なリアリティを持って胸に迫り、とても心を揺り動かされました。
質の高いミュージカル作品に、柚希礼音はじめ星組のメンバーが一丸となって取り組み、すばらしい舞台に仕上がっています。宝塚の財産となるであろう名作誕生。
来年1月 雪組(主演: 音月桂)による大劇場公演がこのほど発表されましたが、もう一度声を大にして言いたい。
星組の、この「ロミオとジュリエット」を観て!
あ~博多座行きたい のごくらく度




今回チケット取らなかったので,取らなかったので。
雪組も今回と同じ演出・ストーリーなら…と思っていたのですが,スキップさんのおススメは星組なんですね。
残念ながら,博多には行けません。
終わっちゃいましたね~、梅芸公演。
>雪組も今回と同じ演出・ストーリーなら
著作権の問題があるので、基本的にストーリーも曲も演出も
変わらないと思います。
ただ、銀橋やセリを使った大劇場バージョンになるでしょうし
フィナーレのショーも追加されるみたいです。
音月桂さんは歌もお上手ですし雰囲気もロミオにお似合いだと
思います。
でも私は絶対、星組!(笑)
博多遠征、本気で画策中です。
大阪のヅカファン以外の方々にこそ
観て頂きたかったですね~。
宝塚の新しい魅力が満載。
フランスミュージカルがオモロイってことも
判ったし。
何より、チエ&ねねが素晴らしかったぁ♪
今となっては、前座扱いだったのかい。
って怒り心頭ですけどね~。
梅田で出会えた幸運に感謝です♪
ひええ!博多座にも!
私は…う~ん。パスです。最初からきちんと計画しとけばよかったぁ。
DVD買って何度も堪能しますです。
行ってらっしゃ~い。
ほんとに、どんなジャンルのファンの方の鑑賞にも耐えうる作品
だと思います。フランスミュージカル、初体験だったのですが
侮れませんね。オリジナル版が来演したらぜひ観てみたいと思います。
ちえちゃんねねちゃんはじめ星組のみんな、とてもがんばっていましたね。
私は完全にちえ落ちです。基本、宝塚の人たちには寛容でみんな好き
なのですが、久しぶりに大きな声で「好きっ!」って言えるスターが
できました(笑)。
で、博多ですよ。
まさか宝塚を追いかけて博多に行くことになろうとは思っても
いませんでしたが、とりあえずお金にモノを言わせて(笑)、
一公演良席チケットゲットしました。
行ってきま~す♪