2010年06月07日

義経にまた逢えた

IMG_3304.jpg去年の壬生寺での公演がとてもよかったので、今年新たなシリーズとなって再演されることを知って、とても楽しみにしていました。

朗読活劇 “一期一会” 「義経」 
〜歴史の巨人たち〜

朗読: 大沢たかお
音楽: 吉田兄弟 (津軽三味線)
井上艦 (編曲・キーボード)
舞: 蟹瀬レナ

6月6日(日) 6:30pm 
薬師寺 大講堂特設舞台  12列下手

大講堂の前、弥勒三尊像が背中を見守るようにステージが作られ、この大講堂と金堂にはさまれた場所に客席が設営されていました。
涼やかな風が吹き抜ける伽藍。開演時にはまだ明るかった空間が次第に闇に包まれていき、煌々としたライトの中に浮かび上がる大講堂と弥勒菩薩様 弥勒如来様のお姿はとても幽玄な雰囲気。

元々の原作が長いので冒頭など切り取る場所が少し違っていたものの、全体の流れはほぼ去年と同じで、幼少期 鞍馬寺に預けられた遮那王こと牛若丸が、見知らぬ法師によって自分が源義朝の9番目の息子であることを知らされ、弁慶と出会い、金売り吉次に導かれて奥州平泉へ渡った後、兄 頼朝の蜂起に呼応して立つところまでが第1部。第2部は鵯越から一ノ谷、屋島、壇ノ浦の戦いで功績を挙げた義経が兄の不興を買い、追いつめられて衣川館で果てるまで。内容的には、今回は特に、母の愛を求め続けながら得られず、兄にも理解されなかった義経の孤独な魂に焦点を当てた構成になっていました。

昨年よりさらに「活劇」の色濃く、書見台は用意されていたものの、そこに座って台本を朗読するのはほんとにわずかな時間で、大沢たかおさんは舞台狭しと動き、走り、義経は元より、頼朝、弁慶、法師、吉次、北条政子、平知盛、後白河法皇、そしてナレーション・・・多くの登場人物を見事に声色を使い分け、演じ分けていました。時には拳を振り上げ、時には土下座して、大きな動きや声の緩急、目線の行方、気迫にあふれた舞台は観て、聴いていてあきることなく、あっという間に時が流れました。今回、ひと言でしたが、後白河法王の雅でやわらかな公家ことばがとても印象に残りました。が、私自身が知盛好きなこともあって、やはり、「名こそ惜しめ。命を惜しむな!」の鬼神のようなセリフを聴いて感動のあまりまたしても落涙たらーっ(汗)
カーテンコールに登場した薬師寺執事長の村上太胤(たいいん)師が、「我々も本当に戦場にいるような臨場感」とおっしゃっていましたが、まさにその通り。甲冑もつけずメイクもせず、舞台装置もなくたった一人で、あの世界観を描き出し、一人ひとりの登場人物を表現できるって、やっぱり役者さんは凄い。

昨年はタキシードのような洋装でしたが、今回は着物だったのも効果的。
漆黒の着物の上に、あれは絽かな?シフォンのように透け感のある着流しを羽織る感じ。首元には同じくシフォンのような真っ白のストールを巻いていて、これが、法師が遮那王に見せる源氏の系図(巻物)として使われたり、着物も片袖を肩に巻きつけて軍服のように見せたり、衣装を小道具として使うワザ、冴えていました。第2部ではこの上衣が裏地が赤の透け感のないものに変わっていて、戦いの場面で翻る赤い裾がとても印象的でした。そして義経が最期を迎える場面では白の着物に。大講堂正面に下げられた何本もの垂れ幕も、1部は白地にお経が書かれたもの、2部では源平を表す紅と白の幕に変わっていて、そこに赤や青のライトが映え、色彩もとても美しかったです。そうそう、2部の冒頭は客席後方から駆け抜けて登場。嬌声が起こっていました。

音楽は、今年は二丁の三味線になったことで、三味線の比重が増し、迫力ある重層的な音色が響き渡ってとてもよかったです。去年の上妻宏光さんもそうでしたが、吉田兄弟の三味線をナマで聴くのは初めて。こうして普段あまり接する機会のない演奏を聴けるのもこの朗読活劇のおかげです。

カーテンコールでは、「僕の声は聴き飽きたでしょうから」と共演陣に一言ずつ促し、村上執事長から薬師寺のお守りが贈られると、6色あるお守りをまわりの人から先に選ばせて、最後に残った2つ(たぶん緑と青)を、「じゃあ、2個」と笑いながら受け取ろうとされていたことが、何だか今日の芸能ニュースになっていました。いろいろ大変だなぁ。
去年もそう感じたのですが、あんなに激しく情熱的な演技を見せてくれる人とは思えないくらい、カーテンコールの大沢さんは穏やかでとてもやさしい雰囲気。鳴り止まぬ拍手に再度一人で登場し、「皆さん早く帰らないといけないのに、また出て来てすみません。」「前の席の人、そんな席からオペラグラスって、近すぎでしょう」と笑っていらっしゃいました。「今日は何だか噛んでしまってすみません。反省してもっと勉強して出直します。」とテレる笑顔がとってもチャーミングムード 確かに、この日は珍しく3回くらい噛んでたりしたけど、そんなことぜーんぜん許す!わーい(嬉しい顔)


yoshitsune.jpg今回はプログラムも制作されていました。
薄い冊子ながら、写真集のような大沢さんのショットあり、源義経の生涯の解説あり、関連人物の紹介ありで充実の内容です。


ご存知の方も多いと思いますが、こちらのサイトで、自分の入力した言葉を、大沢たかおさんが朗読してくれます。ちょっとサイボーグチックな話し方なのですが。「スキップちゃん おやすみ」とか言ってもらっちゃいましたひらめき


この朗読をライフワークにされるという大沢たかおさん。私も観続けることをライフワークにしちゃう のごくらく度 わーい(嬉しい顔) (total 649 わーい(嬉しい顔) vs 643 ふらふら)
posted by スキップ at 23:42| Comment(10) | TrackBack(0) | 演劇・ミュージカル | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント

私も6日に行きたかったです。
『ワルシャワの鼻』を先に取っていたので,5日に行ったんですが。

5日は大沢さんだけがお守りをもらわはったんです。
だから,大沢さんは全部で3つのお守りをもらわはったことに。
ニュースでは大沢さんが2つほしいと言わはったような書き方でしたが,2つ残ったからだったんですね。

私もちゃんと感想を書きたいと思います。
…と,スキップさまを見習おうと思いながらできておりませんが。
(^-^;)

あと,いつもどのようにしてチケットは入手されているんですか?
今回も12列でいいなぁ…と思ったもので,質問させていただきたくなりました。
(*^-^*)
Posted by 佳奈りお at 2010年06月08日 18:55
♪佳奈りおさま

5日もお守りのプレゼントがあったのですね。
>ニュースでは大沢さんが2つほしいと言わはったような書き方
そうなんですよ。
あの記事を読むとそう思いますよね。
新聞とか雑誌の記事がいかに読者を“誘導”しているのかよくわかります。

チケットの取り方はいろいろなのですが、今回はフツーにぴあの先行で取りました。
前回壬生寺の時は20列だったので、12列は上出来でしたね(笑)。
ほんとはファンクラブに入ったらもっといい席が取れるとは思うのですが、
そこまでの思い入れがないので(・・・あ、叱られちゃいますね)。
Posted by スキップ at 2010年06月09日 05:59
薬師寺も美しいし、「義経」も・・・いいなぁ。この公演は築地本願寺でもあったんですよね。気がついた時には完売でした。大沢たかおさんをそれほどチェックしてなかったこともあり。迂闊でしたわー。でも、どうせなら薬師寺で見たかった。
実は舞のお嬢さんは、息子と同じクラス(中学校時代)だったことがあるんです。当時から大人びた長身の美少女で、クラシックバレエの道に進んだとばかり思ってました。
大沢たかおさんの「ファントム」には篠井英介さんもご出演で、心ひかれます。チケットもかなり前から買えるようですが(先行?)、日程的にまだ先だしお値段もムムムなので、手が出せないでいます。
Posted by きびだんご at 2010年06月09日 09:39
♪きびだんごさま

夜の薬師寺は本当に雰囲気よかったです。
中村屋さんの「船弁慶」もさぞかし(くぅ~っ)。

築地本願寺では大雨だったようです。
去年の壬生寺も一度大雨で中止になりましたし、大沢さんは
どうやら雨男のようです(笑)。

蟹瀬レナさん。お坊っちゃま、ステキな同級生をお持ちですね。
プログラムに記載されているプロフィールによると、イギリスや
オランダ、モナコ、などでバレエやダンスを学ばれて、現在は
奈良橋陽子UPSアカデミーで演劇を学び・・とありました。
ご活躍の場を広げていらっしゃるのですね。
ご自身のブログに奈良でお母様とご一緒に撮られた写真もアップ
していらっしゃいましたよ。

大沢さんの「ファントム」は2年前の初演に観ました。
とてもピュアで人間的なファントムでした。
「前に観たからいいや」と今回は観ないつもりでいたのですが
この朗読活劇を観て、「やっぱり『ファントム』も観たいなぁ」
と思い始めているところです(笑)。悩ましいですね。
Posted by スキップ at 2010年06月09日 22:37
二日連続で、義経の世界に浸ってきました。
大沢さんの舞台は初めて、せっかく奈良まで
行くのだからと、最初はFC枠の二日目のみだったのに、ピアさんで一日目も確保。
一日目16列中央通路側、二日目3列中央通路側となかなかの席で、何しろ生大沢さんなので一人で参戦ですが、テンション上がりまくりでした。
それにしても、凄い!素晴しい!大沢さんの後ろに
背景が見えるよう、自分もその場面に一緒に存在しているような錯覚さえ覚えました。大沢さんの、汗やつばきが手にとるように見える、幸せ・・・な
ひとときでした。ファントムは大阪の千秋楽のみしか予約してないですが、義経を見たら後悔してます。もっと予約しとけば良かった。

それにしても、大沢さんって、エネルギッシュな方ですよね。 仁の続編出演を決意されて、来年は半年間は縛られますよね。来週、大沢さんのファンミがあります。色々お話が聞けそうで楽しみです。
Posted by すずらん at 2010年06月10日 09:41
♪すずらんさま

はじめまして。
ようこそお越しくださり、ありがとうございます。

2日間ともいらっしゃったとはうらやましい♪
それに2日目は3列中央!ファンクラブってやっぱりいいお席が
取れるのですね~。
そんな間近であの朗読活劇をご覧になったら、それは迫力あった
ことでしょう。いいなぁ。

ほんとうに場面ごとにまわりの景色や、その人物が目に浮かぶような
朗読でしたね。すばらしかったです。

「ファントム」も「ファンミ」も(笑)いらっしゃるのですね。
お芝居の時とはまた違って、カーテンコールの時のようにやさしく、
ちょっと甘えたような口調で話される大沢さんが大好きなので
ファンミーティングでどんなお話をされるのか興味シンシンです。
Posted by スキップ at 2010年06月10日 23:08
舞台上ではそんなスンバラな事になってたんですね。
衣装の使い方、見たかったなぁ。。。(隙間から見ようと思えば観れたかも・笑)
私は声だけ聞いてましたが、かなり白熱してましたものね、舞台はもっともっとすごかったんだと改めて思いました。
去年は壬生であったんですか。知らなかった・・・←新撰組好きだけど壬生情報は集めてないので^^;
来年もあるようだったら、聴くだけでなく、是非観に行きたいですね。


すんごい細かい事ですが、大講堂のご本尊様は弥勒如来様です。菩薩から如来になられ衆生をお救い下さる姿がご本尊様です。
Posted by ひー at 2010年06月15日 09:46
♪ひーさま

普通の朗読のイメージとは全然違っていて、「ひとり芝居」と
言った方がいいかもしれません。
ほんとに一度ご覧になっていただきたいです。

去年の壬生寺での朗読は、1日目は要潤さんの「新撰組」で
「壬生寺だし、新撰組の方が・・」とも思ったのですが、
大沢たかおさんの方を選んでしまいました(笑)。

弥勒如来様のご指摘、ありがとうございました。
早速訂正させていただきました。
付け焼刃の知識ではすぐに底が知れてしまいますね(恥)。
もっとちゃんと勉強したいと思います。
またいろいろ教えてくださいね。
Posted by スキップ at 2010年06月16日 05:18
いやいやいや。
弥勒と言えば普通は菩薩ですから^^
Posted by ひー at 2010年06月16日 17:05
♪ひーさま

いえいえいえ(笑)。
菩薩様と如来様の違いもはっきり認識できましたし、
教えていただいてよかったです♪
Posted by スキップ at 2010年06月16日 23:21
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