
劇団☆新感線30周年興行(春) 新感線☆RX「薔薇とサムライ~GoemonRock OverDrive」
作: 中島かずき
演出: いのうえひでのり
作詞: 森雪之丞
美術: 堀尾幸男 照明: 原田保 衣裳: 小峰リリー
音楽: 岡崎司 振付: 川崎悦子
出演: 古田新太 天海祐希 浦井健治 山本太郎 藤木孝
神田沙也加 森奈みはる 高田聖子 橋本じゅん ほか
4月18日(日) 12:30pm 赤坂ACTシアター 1階F列上手
5月1日(土) 6:00pm 梅田芸術劇場 1階18列センター
5月13日(木) 12:30pm 梅田芸術劇場 1階14列下手
4/18 東京千穐楽レポ
5/13 大阪大千穐楽レポ
ストーリー: 17世紀のヨーロッパ。日本を離れた石川五右衛門(古田新太)は地中海で女海賊アンヌ・ザ・トルネード(天海祐希)に出会い、用心棒となっています。
イベリア半島の小国・コルドニア王国の亡き国王の娘だというアンヌをめぐって、国の実権を握る大宰相ラーカム・デ・ブライボン(藤木孝)一派、五右衛門を狙う賞金稼ぎ(山本太郎)、アンヌに一目ぼれする隣国の王子シャルル(浦井健治)などが入り乱れて繰り広げる痛快冒険活劇。
新感線30周年記念公演で、「お祭りみたいな公演にしたかった」といういのうえひでのりさん。
その言葉通り、荒唐無稽なお話と次々繰り出されるコスプレやギャグに「楽し~い!!」と盛り上がっているうちに終わっちゃうみたいな、明るく痛快な勧善懲悪ストーリー。
こういうふうになるんだろうなぁ、と想像する通りにお話は展開するし、たとえば粟根まことのガファスなんて、「粟根さんがそんないい人のはずがない・・」と思っていたら案の定、というように、誰がやるかで大体どんな人物かわかっちゃう。古田新太五右衛門の変装なんて、特に2回目はバレバレのお約束だし、最後のどんでん返し?なんて全然意外でもなんでもないし、どこかで観た感満載の大いなるマンネリ・・・でもそれでいいじゃない、楽しければ。それが「新感線」なんだもん!
ただ、スカッとしすぎて、深みに欠けるというか、楽しい中にも新感線のお芝居独特の“翳り”・・・切なさみたいなものが全くなかったのが後になって思えば少し物足りないところかしら。
RXだから、お祭りだから、と言えなくもありませんが、『五右衛門ロック』も新宿コマのサヨナラ記念のお祭りだったけれど、インガやホッタル族の存在とか、クガイ王とカルマ王子の確執とか、切ない場面は散りばめられていました。ドラマという意味では、五右衛門とアンヌの関係とか、アンヌと海賊たちのいきさつとかがもう少し描かれてもよかったんじゃないかな。
舞台は相変わらず映像を多用していますが、今回の使い方は、これまでに感じた「説明のための映像」とはちょっと違った印象を受けました。冒頭の海賊船の場面、LEDスクリーンの映像の船の中から次々出て来る海賊たちがそのまま舞台上に現れたりするところ、楽しい演出でした。
音楽もとても楽しく耳に残る曲揃い。
♪ブラボー! ブライボ~ン! というアンサンブルのコーラスなんて、宮廷の貴族の衣装とも相まって、ミュージカルの1シーンのようでした。
個人的には、舞踏会の冒頭で、マローネ(高田聖子)、ポニー(神田沙也加)、エリザベッタ(森奈みはる)の3人が、


だけど、一番はやっぱり『五右衛門ロック』。自然と拳を振り上げちゃう。あのl高揚感は格別です。
愛があるんじゃな~い というところを今回

が、それもこれも、いろんなことひっくるめて、この舞台は、天海祐希につきます。
(3回分まとめてなので長いです。)新感線の脚本は基本あて書きですが、この作品はまさに天海祐希ありきで、他にこの役をやれる人が全く思い浮かびません。 「いのうえさんも中島さんも、天海祐希に何か借りでもあるんじゃないの?」と勘ぐりたくなるくらい(笑)の持ち上げ方です。そして、天海祐希はもちろんその期待に応えて、というかはるかに上回るすばらしさ。
華がある、とか、存在感、とかいう言葉では言い表し切れないものがあって、何ていうのでしょう、吸引力? 彼女が登場すると自然に目が吸い寄せられてしまうし、舞台の空気そのものが変わってしまうような雰囲気。まわりのすべてを巻き込んで、まさにトルネードですね。オーラという言葉はこのところすっかり安っぽく使われるようになってしまったけれど、主役のオーラを放つ、舞台のセンターに立つにふさわしい女優さんです。
立ち姿、足の上げ方からしなやかな指先まで、動き一つひとつがとてもキレイで洗練されていてカッコイイ

「天海祐希のコスプレの威力を思い知れ」と制作発表の時ふるちんが言っていたコスチュームもどれもよくお似合い。処刑されるときのジャンヌ・ダルク風の衣装とショートカットが一番好きですが、宝塚時代、オスカルはやっていなかったと記憶しているので、今になってブロンドの髪ひるがえす軍服姿が見られたことも

とても聴き取りやすいセリフと歌とのトーンが変わらないのもすばらしいです。
カーテンコールで最後(というかふるちんの前)に海賊の衣装で登場する天海さん。かぶっていたパイレーツハットを脱いで右手で胸にあて、左手を大きく上げて一礼(この左手、すごくキレイだった)した後、そのパイレーツハットを差し出して下手から上手へ会場をなめるように見ていく表情、仕草のカッコよさにゾクゾクして見惚れてしまいました

「天海祐希は映像に行ってしまった」と思っていたけれど、どうぞこれからも舞台を忘れないでね、とお願いしたいです。
あえて唯一穴があるとすれば殺陣でしょうか。
ま、新感線のスピード感あふれる殺陣の中に入ってこれまで見劣りしなかったのは、個人的印象では堤真一、市川染五郎、早乙女太一の3人くらいのものなので、無理からぬことではあります。
そこのところはこの作品の数少ない不満にもつながっていて、「蛮幽鬼」の土門 vs サジ、「蜉蝣峠」の闇太郎 vs 天晴、「五右衛門ロック」の五右衛門 vs クガイ王、そして、「朧」のライ vs マダレ・・・主役級のヒリヒリするような殺陣が観るられなかったのはちょっぴり残念。
その分、古田新太 vs 川原正嗣という超高速&迫力殺陣を観られたのはうれしかったのですが。
キャストが発表された時、主役二人に比べて客演が地味よね~と思ったものでしたが、イエイエどうして。
悪役の凄みさえ感じるブライボン・藤木孝、天然系王子で伸びやかな歌声を聴かせてくれたシャルル・浦井健治、わがままお嬢様だけど実は芯が強くてしっかり者、とってもキュートなポニー・神田沙也加、公演が終盤になるにつれてハジケていったデスペラード・山本太郎、そしてやはり元宝塚トップ娘役の実力を存分に披露してくれたエリザベッタ・森奈みはる・・・みんなそれぞれとっても楽しそうにご活躍。
そして忘れちゃならない高田聖子&橋本じゅん。
高田聖子のセリフの声にはいつもゾクッとさせられますが、今回は、「さぁ、戦争よ!」と叫ぶ声。 あと、ポニーのお見合いの場面の

バルバ・ネグロ橋本じゅんはズルイですよ、あのキャラクター。もう違反でしょ?絶対笑うもん

しかも真剣そのもので全力投球はいつもどおり。 カーテンコールではひと際大きな喝采をあびていました。
以下、順不同でお気に入りや大楽で変わったと思った場面の覚書です。
・じゅんさんバルバネグロが宝箱から現れる時、

この後、大楽では、怒っている聖子さんマローネに向かって、「あなたが失くしたのは金の斧?それとも銀の小野ヤスシ?」と続きました。
・そういえば、右近さんゴンザレスも最初の登場の時、「さて皆さん・・」と明らかに浜村淳のモノマネとわかるイントネーションでしゃべり出していましたが、さすがに東京ではウケてなかったです。「ハハッ」って笑ったの、周りでは私だけだったもの。はずかし~。
逆木圭一郎ドッカーノ伯爵が殺される時、「先輩の1回目~」と叫んでいたのは東西ともにウケいましたが。
・3000シャルルの "This Is It" のパロディも笑っちゃったけど、大阪では河野まさとピエールが登場するたびにムーンウォークをやっていました。大楽で最初の登場の時には「ビリージーン」の曲がちょっと流れていましたが、あれは大楽だけだったような。
・みはるさんエリザベッタは最初の登場の時、マカロンを食べているのですが、髪飾りもマカロン。とってもキュート。
・衣裳部屋で聖子さんマローネが倒れ込む時に沙也加ちゃんポニーが後ろからカンチョーのポーズ。見とがめられて「恐ろしい子ね!」と言われて、ちぇっと指を鳴らしてくやしがるところで暗転。
・大楽の粟根さんガファス。「外交とは戦争なのです」とアンヌに言うところで、「戦争とは外交なのです」ときっぱり言い切っていました。
・ふるちん五右衛門がモンゴエ伯爵に変装して舞踏会に紛れ込み、そこから抜け出そうとする場面の言い訳は日ネタのようでしたが、東京千秋楽の時の、「父がかわいがっていたホトトギスの様子を見てこようと思います」が一番ウケました。
きゃあ~、私ってはふるちんのこと、ほとんど書いていません

前作『五右衛門ロック』も今回の作品も、「この役、別に五右衛門じゃなくてもいいんじゃない?」という思いに変わりはありません。
でも、「絶対、古田新太じゃないとダメ」っていうのは断言できます。
五右衛門のあの度量の大きさ、悠々とした存在感、セリフも歌もシビれる声、実はアンヌに惚れているのにアンヌのためを思ってスッパリ身を引く男気、男っぷり・・・惚れなおしました~

と
ゲキ×シネになったら絶対観に行きます のごくらく度



ほんとに、何から何までかっこいい舞台でしたねv
宝塚時代の天海さんを見たことはありませんが、
こんな風に劇場の空気を全て巻き込むような存在感が宝塚トップスターの力なのでしたら、
いつか是非宝塚の舞台も観てみたいな、と思いました。
個人的には、高田さんの「戦争よ!」が、
もうぞくぞくするくらいかっこよくて、大好きでした。
やっぱり新感線の舞台は最高ですねv
ほんとにカッコいい舞台でした。
天海祐希さんのオトコマエっぷりにはホレボレしますね。
宝塚時代も傑出したトップスターでしたが、やはりキャリアを
積んだ今だからこその輝きなのではないでしょうか。
でも機会があればぜひぜひ宝塚の舞台もご覧になってくださいね。
聖子さんの「戦争よ!」すごい迫力でしたね。
私も大好きでした。
こんばんは♪
天海さん、本当に素敵でしたね!
惚れました!
惚れないのが無理(笑)。
性差を超えてますよね、あのかっこよさ。
私もこの舞台を観て、宝塚の舞台に興味がわいた一人です。
機会がなくて今まで一度も宝塚の舞台を観たことがないのですが、こんなに素敵な俳優さんを育てた劇団って何なの?と。
いつか宝塚の舞台も拝見したいと思います。
(って「薔薇とサムライ」に全く関係のないコメントで終了してスミマセン^^;)
ほんとに、天海祐希さんのカッコよさには男女の区別なく
ホレてしまいますよね(笑)。
私も改めて宝塚を好きでいてよかった、と思いました(ちょっと違う?)
そんな天海さんの魅力を余すところなく引き出した中島さん、
いのうえさん、やはりタダモノではありませんね。
もちろん、ゆったりどっしり相手役を演じたふるちんも!!
>“翳り”・・・切なさみたいなものが全くなかった
言えてます!
確かにすごく楽しい作品だったんですが、、、
物語自体の”ドラマ性”は皆無でしたね。
それだけがちょっと物足りなかったな。
>吸引力?
うははは!
まさに凄い吸引力でしたねぇ~♪
ダイソン並み?(笑)
私もすっかり天海さんの吸引力に吸い込まれてしまいましたよ!
スキップさんはジャンヌ・ダルク風のコスプレがお好みでしたか♪
私は文句なしでフラメンコの時の衣装です。
それこそ「あまりのカッコよさに泣きそう」になってました。(笑)
バルバ@じゅんさんの宝箱ネタ。
たしか東京でも「有馬兵衛の向陽閣へ♪」と唄ってたような・・・。
(記憶が定かではありませんが。)
私、東京人ですが、この唄知ってますよ!
楽しいっていうことで十分すぎるほどなんですけど、
観客とは欲張りですね(笑)。
天海祐希さんはほんとにカッコよかったです♪
宝塚時代ももちろんカッコよかったですが、人生を重ねて
いろんな役を経た今だからこそ出せるカッコよさなのでは
ないかと思います。
フラメンコの衣装は、ドレスが破れた後の下着姿とは(笑)
とても思えませんでしたよね~。
「兵衛向陽閣」東京でもやっていましたか?
そうなんです。私も東京千秋楽の時にも聞いたような気が
したんですけど、あれ?ここはご当地ネタだったかな?と
思って・・・でも麗さんも聞かれたならきっとそうですね!
<5/23 追記>
東京千秋楽を一緒に観た友人情報によると、あの時は
「バスロマン」ネタだったらしいです。
やっぱ有馬兵衛向陽閣は関西バージョンだったのかな。
薔薇サムについては既に直接お話しちゃってますが()、やはりコメントせずには・・(笑)。
歌の中では「ブラボーブライボン~♪」が一番耳に残ってます。
すっかりミュージカルになってましたよね。
天海姐さんの立ち回りは、あれでもかなり良くなった気がします。
プレビューで観た時は、もっとツライ感じでしたから。でも本当にあそこが
バリバリだったら、文句なしでしたね・・!
かずきさんも「ストーリーよりもキャラクター」とおっしゃっていましたが
まさにそんな舞台でした。あとはゲキシネでアップで表情をじっくり観たいです!
はい。たくさんお話させていただきました(笑)。
改めまして、その節はありがとうございました。
♪ブラボー! ブライボ~ン!!は本当に耳に残る曲でしたね。
全体的に『五右衛門ロック』より耳に残るというか、
後で歌いやすい曲が多かったように思います。
それだけ主題曲の「五右衛門ロック」が強烈だったって
いうことでしょうか。
天海さんの殺陣は姿の美しさはカンペキでしたから、あとは
スピードだけなので、やがて慣れると思うのですが。
(慣れるまでやっていただけるかが課題ですね。)
ゲキ×シネは私も楽しみです。
あのカーテンコールの時のパーレーツハットで会場を
なめまわす表情、ぜひもう1回観たいです。それも大アップで!!