歌舞伎座さよなら公演 御名残四月大歌舞伎 第三部
4月17日(土) 6:20pm 歌舞伎座 2階4列上手
一、実録先代萩
出演: 中村芝翫 中村橋之助 片岡孝太郎 片岡千之助 中村宜生 松本幸四郎 ほか
「伽蘿先代萩」にこんなアナザストーリーがあるとは知りませんでしたが、筋書の上演記録によると昭和20年に始まって今回で23回目の上演なのでそんなに頻繁にやる演目ではなさそうです。
亀千代を演じた千之助くん、千代松の宜生くん、二人の子役の健気な演技が印象的で、一部、二部と忠義のために罪もない子供が犠牲になる演目が続いたので、子供の死なないお話に何だかほっとする思いでした。
芝翫さんの浅岡。矍鑠とした雰囲気でいかにも武家の乳人という雰囲気でした。実際はお孫さんである宜生くん千代松がちゃんとわが子に見えるところ、やっぱり役者さんってすごい。

出演: 市川團十郎 坂東玉三郎 中村勘三郎 坂東三津五郎 中村福助 尾上松也 中村梅枝 片岡秀太郎
市川左團次 片岡仁左衛門 尾上菊五郎 ほか
/口上: 市川海老蔵
歌舞伎座最後の公演を飾るにふさわしく、これでもか、というほどの豪華配役で華やかそのもの。今の歌舞伎の栄華を見る思いでした。
そして、大御所揃い大顔合わせのこの最後の演目が、「友切丸」を通して、次代の歌舞伎を担う若手中心の演目である第一部最初の『御名残木挽闇爭』に繋がっていくところも象徴的でした。
昨年末、京都南座顔見世興行で仁左衛門さんの「助六」を観ましたが、その時の外題は『助六曲輪初花桜』。
今回は市川團十郎演じる『助六由縁江戸桜』。成田屋の役者さんが演じる時だけの正式の外題で、正真正銘“歌舞伎十八番”が歌舞伎座最後の演目に選ばれました。また、これも市川家での上演の専売特許である浄瑠璃の河東節。ロビーには本日の出演者が掲示されていました。

「助六」の故事来歴を清々しく言い立てて、とても落ち着いたお行儀のよい口上でした。
助六の持ち物である「鉢巻」「傘」「尺八」は上演する度にご贔屓さんからいただく習わしなのだとか。2階ロビーには、ちゃんと魚河岸会会長から鉢巻が贈られた目録が飾ってあって、お芝居以外のところでも、江戸の伝統が脈々と息づいている演目なのだと実感しました。團十郎さんは、華やかさといい大らかさといい存在感といい、助六そのもの。演技とか台詞回しとか、細かい技巧を超越した感があり、ゆったりした動きでキメる花道の見得も本当に華やか。
そして、これに輪をかけて華やかなのが玉三郎さんの揚巻です。
登場の時から目が吸いつけられて離せません。本当に本当にキレイ&ゴージャス

そうそう、揚巻が歩く時にずっと肩に手を置いて支えている若衆がとても男前だったのですが、功一さんでしょうか。それから、揚巻付の禿として、片岡我當さんの部屋子として今月歌舞伎座でも御披露目された上村吉太朗くんをずっと傍に置いておくあたり、玉三郎さんの心遣いを感じました。
キレイといえば、並び傾城にずらりと揃った御曹司たち。松也くんがこの中ではお姉さん格になるのかな。口跡のよさと美しさで抜きん出ていました。ちょっぴりふっくらして色っぽいこと

仁左衛門さんのくわんぺら門兵衛はカッコよすぎです(笑)。お風呂場で裸で待ちぼうけ食わされるような男には見えませんもの。ほんとは嫌味なヤツなのに、何となく味方したくなっちゃう。
菊五郎さんの白酒売新兵衛はとぼけた雰囲気がぴったり。それにしてもこの新兵衛・助六兄弟は当代随一です。
そしてそして、股くぐりをさせられる通人の勘三郎さん。あのふにゃふにゃっとしたいかにも遊び人といった風情で登場するだけで、客席からは笑いと大拍手。場をさらってしまう力はさすがです。
「股をくぐれ」と言われて、「しぇ~っ」、助六さんには「孝俊もやっと落ち着いてよかったねぇ」、新兵衛さんには「遅くなったけど、しのぶちゃん、おめでとう」とアドリブ?連発で独壇場。客席は笑いの渦で、助六さんも新兵衛さんも思わず肩をゆすらせ笑っていました。裏表にそれぞれ成田屋と音羽屋の紋を入れた袱紗の使い方、見せ方も天下一品。
花道まで出たところで、「こんなことなら木挽町へ行けばよかった。でもチケットなくて大変らしいよ」「歌舞伎座がなくなっても、演舞場、御園座、南座、松竹座、博多座、それに中村座コクーンもよろしくお願いします」
「寂しいけど、新しい歌舞伎座でもっともっと夢を見させてもらいましょうよね」という言葉には、歌舞伎座への勘三郎さんの熱い思いが感じられて、グッと来ました。『助六』の通人で泣かされるなんて

今の歌舞伎座がなくなってしまうのは本当に寂しいことですが、歌舞伎座建て替えというこの時代に生まれ合わせたこと、この時代に歌舞伎を好きでいたこと、こうしてさよなら公演のすばらしい舞台を観られたこと、生まれ変わる歌舞伎座の目撃者の一人となれたことの幸せを心から感じました。
ありがとう歌舞伎座。また逢う日まで、しばしお別れです のごくらく地獄度




配役も豪華だったけど、、、
花魁衣装も豪華で♪
玉三郎さん@揚巻には、ため息しか出ませんでした。
なんなんでしょうね!あの美しさは。
勘三郎さんの客席を空気を一気に変えてしまいましたね。
なんなんでしょうね!あの面白さは。(笑)
とにもかくにも豪華絢爛な演目に大満足でした。
歌舞伎座の最後を飾るにふさわしい演目でしたね。
揚巻の衣装は、南座の顔見世の時にもその豪華さに目を
見張りましたが、歌舞伎座の舞台で観ると一段と豪華でした(笑)。
勘三郎さんの座の持って行き方はすばらしいですね。
まさに千両役者です。
5月の新橋演舞場の「助六」は、海老蔵ですから「水入り」までやって若手への継承のイメージをより強くしてくれるのだと期待しています。
ポスターにでかでかとありましたが、こうして「歌舞伎座から新橋演舞場へ」と世代交代も含めて印象付けるように演目が3つもかぶらせてあるのがまた心憎いですよね。染五郎丈の熊谷は大丈夫かなぁとちょっとハラハラドキドキです、
それと「実録先代萩」は五世歌右衛門の頃には人気狂言だったそうですが、六世は「伽羅~」の方ばっかりやっていたのでしょう。お家の芸の継承という企画でもあったのかなぁと推測しました。
またゆっくりおしゃべりできる機会も楽しみにしています(^O^)/
「助六」は本当に歌舞伎座の掉尾を飾るにふさわしい演目・配役
でしたね。1階席でご覧になったとはうらやましい♪
2階席からではどうしても花道の出などは見切れてしまいますもの。
5月の演舞場の演目が発表になった時、歌舞伎座とのかぶり様に
意図的なものを感じましたが、「歌舞伎座から新橋演舞場へ」
と今日初日のニュースでも大々的に採り上げられているのを見て、
やはり次代を受け継がせる意図があったのだと再確認しました。
染五郎さんは以前トークショーでやってみたい演目に「熊谷陣屋」
をあげてらしたので、がんばってくれると思います(?)
そうですか。「実録先代萩」は成駒屋さんのお家の芸だったのですね。
>またゆっくりおしゃべりできる機会も楽しみにしています
はい。ぜひ!
ぴかちゅうさんにはいろいろ教えていただきたいこともたくさん。
ご一緒できる機会を楽しみにしています。