4月17日(土) 3:00pm 歌舞伎座 1階1列上手
一、菅原伝授手習鑑 寺子屋
出演: 松本幸四郎 坂東玉三郎 中村勘三郎 松本金太郎 片岡仁左衛門 ほか
「寺子屋」はハラハラドキドキ・・・いや、サスペンスっていう訳ではなく(笑)。
菅秀才の金太郎ちゃんが出てくるたび、台詞を言うたびに、「ちゃんと言えるのか」「声が小さくなってきたゾ」「息つぎをして・・」とあれこれ心配で・・・遠縁のおばさんの心境です

仁左衛門さんの源蔵。
忠義のため、何としても菅秀才を守り抜く、そのためには他のどんな犠牲を払ってでも、という気迫にあふれる源蔵で、観ているこちらが肩に力が入るくらい。すばらしかったです。そう言えば「せまじきものは宮仕え・・・」って、源蔵言わなかったな、と思ったのですが、後で調べたところ、今回は竹本さんがおっしゃっるパターンだったのだとか。そこ、完全に聞きもらしてますから

勘三郎さんの戸浪が、いかにも夫に寄り添う妻でステキでした。逞しい親獅子を観た後だったので、改めて勘三郎さんの振り幅の広さに感心。
この源蔵・戸浪夫婦の感情の入りように比べると、松王丸・千代(松本幸四郎・坂東玉三郎)はどことなく冷静な印象を受けたのは、その端正なビジュアルのせいかしら。“忠義のためにわが子を犠牲にすることに納得して差し出す母”というのに私自身が得心できないからかなぁ・・・あ、でも「泣くな 泣くな」と諭す松王丸に「あい」と返事をする千代の声と所作には泣けました。
秀才の身代りになる小太郎を演じた子役さんが凛としていて、「あの子が・・」と思うとさらに涙


出演: 尾上菊五郎 市川團十郎 中村梅枝 中村吉右衛門 ほか
菊五郎さんのお嬢吉三、吉右衛門さんのお坊吉三、そして團十郎 さんの和尚吉三という、スーパースター揃い踏み三人吉三。
三人が舞台上に並んで見得を切った時の華やかさ、大きさ・・・この先、この3人でこの演目を観られることがあるのでしょうか。大川端の場だけでなく、通しで観てみたいと思いました。
中でも、菊五郎さんのお嬢吉三。女から男に変わる声色の変化のゾクっとする感じは天下一品です。「月も朧に白魚の 篝も霞む春の空~」って名調子、聴かせていただきました。
梅枝くんの夜鷹おとせが可憐な容姿と口跡よいセリフで印象的でした。
三、藤娘
出演: 坂田藤十郎
まぁ、藤十郎さんってば御歳○○歳。ただただ脱帽です。
美しいというか、ほんとに“娘”・・・可憐な印象を受けるからすごい。かわいいし、色っぽいし

感想短かっ ・・・踊り若干苦手なんだもん の地獄度



「寺子屋」と「熊谷陣屋」はともに子どもを主のためにお身替りにする物語ですが、「熊谷陣屋」の方が苦手で今回はじめて得心して感想をアップしました。
夫から何も知らされずにうちのめされる相模と、夫とともに覚悟を決めた千代。二つの狂言の母親の対照も浮かび上がり、それぞれの世界を堪能。今回ほど両方の作品が味わえた舞台はなく、配役の素晴らしさの力をつくづく感じました。
仁左衛門・勘三郎の源蔵夫婦のつらさが浮き彫りになるので松王夫婦のつらさ悲しみが増幅するのだと思います。松嶋屋の型だと野辺の送りもふたりでするのだとか。そこにはまだまだ気がつきませんでした。
三人吉三は10年前にこの三人で通し上演しているのをこの場面だけ再演してくれたようです。大顔合わせにうっとりして、しっかり三人揃った舞台写真を買ってしまいました(^^ゞ
コメント&トラックバックありがとうございました。
「寺子屋」と「熊谷陣屋」はこうして並べて観ると、確かに
わが子を犠牲にする二人の母の対照がとてもくっきり浮かび
上がりますね。
ただ、この一幕だけで完成されている「熊谷陣屋」に対して、
「寺子屋」は前後の狂言も観ることで松王丸・千代夫婦への
理解がより深まったのではないか、と少し物足りなさも
覚えました。3月公演を観ていないのでなおさらでしょうか。
「三人吉三」はそうだったのですね!
ほんとに大顔合わせでした。
私ももちろん、舞台写真買いました(笑)。