
世の中に平和を もうちょっとください
神様よ いるなら
星も土地も命もあんたの血をひいた雑種と変種だ
今回のNYLON100℃の舞台は、2007年3月に発売されたケラ&ザ・シンセサイザーズのアルバム「15エレファンツ」に収録されたこの曲「神様とその他の変種」から構想されたものだとか。
NYLON100℃ 33rd SESSION
「神様とその他の変種」
作・演出: ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演: 犬山イヌコ みのすけ 峯村リエ 大倉孝二 水野美紀 山内圭哉 山崎一 ほか
5月24日(日) 1:00pm シアターBRAVA! 1階R列センター
ストーリー: 舞台は動物園の向かいにある古びた洋館。いじめられっ子でひきこもりの小学生のサトウケンタロウ(みのすけ)と、その両親(山内圭哉・峯村リエ、)と祖母(植木夏十)が住んでいます。ケンタロウの話し相手は、家の前にある動物園の動物たち。そのサトウ家へ、家庭教師としてやってくる記憶喪失の女性(水野美紀)、動物園の飼育係のユウチャン(大倉孝二)、ケンタロウの担任の先生(藤田秀世)、わが子がケンタロウに殴られたといって話し合いに来たスズキサチオの両親(山崎一、犬山イヌコ)、おしゃべり好きな隣家の主婦(長田奈麻)らが次々とやってきます・・・。
ケラリーノ・サンドロヴィッチの作品は“シリアス・コメディー”と形容され、普通なら不幸な悲劇ともいうべきシリアスな題材を、コメディとして笑ってしまうといった作風で、今回もその独特のシュールな感覚は存分に発揮されていました。もっとも、ケラさんによると、「毎度異なる肌合いの作品を上演するナイロン100℃の中でも、今回の作品はいつにも増して異色作」なのだそうですが。
サスペンスとナンセンス。極度の緊張から一気に弛緩するような緩急で、おそよ笑えないような状況の中で笑いを織り交ぜながら展開する会話劇。
日常の中、市井の人に潜む狂気を描き、心にザラリとしたものを残しつつ、そうなのだろうなという方向に展開していくと思いきや、予想を裏切る結末が用意されていたり。ケラさん、見事です。
ナイロンの劇団員はもちろん、客演の役者さんも全員がケラ・ワールドを体現していて、とてもクオリティの高い芝居を見せてくれました。
登場人物はみんなそれぞれ心に傷みを抱えていて、どこかバランスを崩しています。
ここに出てくる人たちを観ていると、人間の心ってなんて危うく脆いのだろうと切なくなってきます。私たちはいつだって、ケンタロウにも、ケンタロウの母親にも、サチオの母親にだってなるかもしれない。もしかしたら、舞台には現われないサチオにさえも。
わが子可愛さのあまり、ケンタロウを守るためなら人を傷つけることも厭わない母親-峯村リエの、確実に破綻したこの母親は怖かったです。静かで、一見とても常識的に見えるからなおさら。観ていて背筋がゾクッと寒くなるのを感じました。そんな妻を必死に不器用に守ろうとする少し情けない夫-山内圭哉もちょっとイメージと違う気弱な役がハマッていました。
ケンタロウの母が“静の破綻”だとすれば、“動の破綻”とでも言えそうなサチオの母・犬山イヌコ。
前半と後半ではまるで人が違ったように、見た目、声色、動き、すべてに破綻を感じさせます。
夫の浮気もからんで、山崎一との応酬は息をのむ凄まじさでした。そしてその後に、「ハッピー・バースデー」とイノセントな笑顔・・・ほんとにこの女優さんってば。
オープニングの映像の使い方は相変わらずとてもカッコイイ。
私が観ている中で、オープニングタイトルのスタイリッシュさはナイロンとフキコシが双璧です。
そういえば、会場でもらったフライヤーの中に、フキコシ・ソロ・アクト・ライブ「スペシャル」の告知がありました。今年もやるのね。大阪は10月7日、楽しみ~。
カーテンコールにはケラさん登場。
会場を隅々まで見渡して、「マスクしてるなぁ~」って、何かうれしそうなんですけど。
「どうでしたか?おもしろかったですね。」と勝手に自己完結して、「あまり長くやると役者が風邪ひいちゃうんで」ですって。-ラストの演出は、家の中なのに雨が降って、もちろん本水で、出演者は全員ずぶ濡れだったから。


今さらだけど神よ気まぐれを 謝るなら許してやるぜと のごくらく度



思い出したくなったら、自分のブログを振り返るんじゃなくて
こちらにこさせていただこう・・・!(笑)
>オープニングの映像の使い方は相変わらずとてもカッコイイ。
・・・あ、やっぱりケラさん、お上手なのですね~~!
とっても素敵だなあ・・と感動してしまいました!
フキコシさんの舞台もなんだ~~・・・。
ちょっと興味でてきたなあ・・・。(ボソリ)
・・・そうそう!
登場していないサチオ・・・・この人物って
どんな人なんだろう?!・・と気になってしょうがなかったです。
これだけでも(こう想像させるだけでも・・)
ケラさん・・・あっぱれっ!!・・・です!
なんか私の言いたいことすべて書いてくれていらっしゃる。。(感涙)
もう私と言えば…まったく言葉が見つからずレポも大渋滞^^;
でも今回、初観劇のケラ作品でしたが、面白かったです(#^.^#)
先日はありがとうございました。
インフルエンザをもろともせず、出かけた甲斐のある
見応えある舞台でしたね。
オープニングの映像はねぇ、ケラさんとフキコシでは
タイプが違うのですが、フキコシのも観ていてとても
ひきつけられるものがありますよ。
興味出てきた?10月7日、行く?(笑)
サチオくんはあのご夫妻の子どもですものね。
どんな子どもで、どんな親子の会話があったのか、
そして、どうして死を選んだのか、なんて考えると、
やっぱり深い物語ですね。
ありがとうございます。
いや~、私もうまくまとまらず遅筆で・・・(笑)。
観る人によって、またその時の感情によっても
受けとめ方が違ってくるようなお芝居でした。
ケラさんの作品は、コメディでも、とってつけたような
ギャグで笑わせようとするのではないところも気に入っています。
きばりんさんが初ケラさん観劇を楽しんでいただいたようで
よかったです・・・って、私はナイロンの回し者かいっ!(爆)